eぶらあぼ 2016.5月号
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46Photo:M.Terashi/Tokyo MDEマリインスキー歌劇場《エフゲニー・オネーギン》10/16(日)14:00 東京文化会館問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040※コルチャックが出演するのは上記公演のみ。他のマリインスキー歌劇場来日公演の情報は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.japanarts.co.jpディミトリー・コルチャック(テノール)偉大な詩人の言葉に寄り添う取材・文:yokanoInterview ロシア生まれの若きテノール、コルチャックのオペラ・キャリアは華々しい。ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、ローマ歌劇場、パリ・オペラ座など、主要な歌劇場に出演。近年では2015年11月、ウィーン国立歌劇場で世界的プリマドンナ、アンナ・ネトレプコがヒロインをつとめた《エフゲニー・オネーギン》でのレンスキー役が絶賛されたのが記憶に新しいが、同役を今秋、日本でも披露する。 この4月には、新国立劇場での《ウェルテル》でも急遽指名された代役ながら、題名役を堂々と歌い上げた。《ウェルテル》と《エフゲニー・オネーギン》は、共に、偉大な詩人ゲーテとプーシキンの作品をもとにしている。詩人が作品の中で描こうとしたのは、愛、悲劇、男、女、夢、一方的な愛や答えの無い愛など、人間に渦巻く様々な感情ではないか、とコルチャックは言う。 「わたしの歌うレンスキーという男は『詩人』です。この『詩人』という役、そして歌手に求められていることは、登場人物の誰よりも多く、内側で熱く渦巻いている感情の数々を表現することだと感じています。プーキシンという偉大な詩人の言葉の一つひとつに丁寧に寄り添い、様々な声の音色を使い分け、そこに込められた意味を、柔らかく、そしてドラマティックに表現していきたいと思っています」 日本ではなかなか上演されないため、今回が貴重な上演機会となる《エフゲニー・オネーギン》。しかも、ロシアの歌劇場ならではのプロダクションという魅力もある。 「ロシアの歌劇場であるマリインスキー歌劇場が《エフゲニー・オネーギン》を日本で上演するということは、私にとっても、とても嬉しいことです。歌手たちはみな、ロシア音楽をいかにして歌い上げるかを知り尽くした、素晴らしい人ばかりです」 初めて日本に来たのは25年前、10歳の時だ。 「国立モスクワ・アカデミー少年合唱団に所属し、日本ツアーにも5回参加しました。日本のファンの皆様からは、私たちに対する熱い想いを感じ、温かい雰囲気の中歌わせていただいたことに感動したのを、とてもよく覚えています」 最後に、日本公演にかける意気込みを聞いた。 「プーシキンのひと言ひと言を理解して作りあげるマリインスキー・オペラのプロダクションにより、この音楽と物語の深さや美しさを必ずや日本の皆様にご理解いただけるでしょう。そしてマエストロ・ゲルギエフの力で、素晴らしい舞台になることをお約束いたします」6/22(水)18:30 杉並公会堂問 杉並公会堂03-5347-4450 http://www.suginamikoukaidou.com杉並公会堂開館10周年記念ジャン=ギアン・ケラス 無伴奏チェロリサイタル バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)名匠がつむぐバッハ不朽のバイブル文:寺西 肇©Marco Borggreve 今、「世界で最も目が離せないチェリストを挙げよ」と問われたならば、迷わずジャン=ギアン・ケラスの名を口にするだろう。この男のゆくところ、必ず旋風が巻き起こる。様式感をしっかり踏まえて古典作品を弾きこなし、現代作品には生命を吹き込む。またある時は弦楽四重奏の一員として鉄壁のアンサンブルを披露。世界の一流オーケストラをバックに協奏曲を弾き、古楽アンサンブルと共演してピュア・ガットの清冽な響きも聴かせる。しかも、すべてが卓越した技巧と音楽性に裏付けられている一方、彼自身の熱い息吹を反映させた“生きている音楽”なのだ。 そんな名匠が、「チェリストにとってのバイブル」と言われるJ.S.バッハの無伴奏組曲全6曲を、一夜で一気に披露するとあれば、期待するなと言う方が無理だろう。第1番からスタートし、2回の休憩を挟みつつ、第4、3、5、2番と進行して、締め括りの第6番へ。移ろいゆく豊かな色彩が、10周年の節目を迎えた杉並公会堂の空間を包んでいく。
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