eぶらあぼ 2016.5月号
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32菊池洋子 ©Marco Borggreveゲント・ブラスアンサンブルO'Brassラデク・バボラークアンヌ・ケフェレック ©Geoffrey Arnoldy栗コーダーカルテット 金沢のLFJもテーマは「ナチュール」。金沢オリジナルの公演も多く、音楽における自然の世界を一層広げてくれそうだ。交響曲とピアノ協奏曲が彩る、人と自然の世界 まず注目したいのは、マーラーの交響曲第1番「巨人」。青年期のマーラーが書き上げたこの交響曲は、青春時代を生きる人間と自然とが織りなす壮大なドラマ。のちに削られた甘美で優しい第2楽章「花の章」も含めた演奏を、マーラーの演奏で定評のある韓国のオーケストラ、プチョン・フィルが披露する(5/4)。 作られた時代も土地も個性もまったく違う3つのピアノ協奏曲を、3日間にわたって聴き比べられるのも今年の注目ポイントだ。ウィーンの柔らかな風を感じさせるモーツァルトのピアノ協奏曲第27番は、LFJでお馴染みのピアニスト、アンヌ・ケフェレックがカンマーアカデミー・ポツダムと共演する(5/3)。地元金沢が誇るオーケストラ・アンサンブル金沢は、今をときめく菊池洋子とともに、グリーグのピアノ協奏曲で北欧の響きを届ける(5/4)。小山実稚恵はプチョン・フィルとチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を取り上げる。エネルギッシュで大陸的な音風景を聴かせくれそうだ(5/5)。吹奏楽や合唱が描くナチュールにも注目 吹奏楽ファンにぜひ聴いてほしいのは、ベルギーから来日する新進気鋭のゲント・ブラスアンサンブルO’Brass。12人の若手が織りなす瑞々しい演奏で、風景や動物にちなんだブラス作品やアレンジ曲を存分に楽しめる(5/3、5)。ホルン界における神様のようなプレイヤー、ラデク・バボラーク率いる彼のアンサンブルの公演も聴き逃せない。バスクラリネットや弦楽器によるユニークな編成で、ドイツの3大B(バッハ・ベートーヴェン・ブラームス)からピアソラの「タンゴの歴史」までを取り上げる(5/3、4)。 話題の栗コーダーカルテットもLFJ金沢に登場だ。リコーダーのほのぼのとしたサウンドを生かした「ピタゴラスイッチ」の楽曲や、「やる気のないダースベーダーのテーマ」で話題となった彼ら。リコーダーのほかに鍵盤ハーモニカやサックス、テューバなどの凄腕の演奏で、文句ナシに楽しく「花鳥風月」の世界を堪能させてくれるだろう(5/5)。 作曲家の池辺晋一郎が自作の指揮と解説を行う合唱のコンサートにも注目を。石川県合唱連盟が歌う組曲「水の旅」や「故郷は遠きにありて思ふもの」などを通じ、日本の自然風景にも思いを馳せたい(5/4)。ラ・フォル・ジュルネ金沢20164/28(木)~5/5(木・祝)石川県立音楽堂、金沢市アートホール、北國新聞赤羽ホール ほかhttp://lfjk.jp金 沢

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