eぶらあぼ 2016.5月号
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194古典はもちろん、現代作品に独創的で刺激的なアプローチを続けるピアノの菊地裕介。「時空のスケールを、俯瞰するひとときを」と語るリサイタルでは、自身も直接の薫陶を受け、今年1月に逝去した巨匠への深い哀悼の意を込めるブーレーズ「アンシーズ」を核に。ちょうど100年前に世を去ったグラナドスの「ゴイェスカス」全曲を対置して主軸とし、リゲティの練習曲第2、5番や武満徹「閉じた眼」を共鳴させる。時代や国、宗教といった枠組みを超え、生きとし生けるものへの無償の愛と祈りを乗せて生み出されてきた無数の「アヴェ・マリア」。欧米の檜舞台で活躍を続けるソプラノの田村麻子が、これらの中から、シューベルトやフォーレ、ヴェルディ、ビゼー、カッチーニらの手になる珠玉の16篇を厳選し、ベルギー出身の俊英ジャン=フィリップ・メルカールトのパイプオルガンの荘厳な音色を伴い、心を込めて謳い上げる。2000年に開かれた第8回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールのジュニア部門で、日本人として最年少で最高位を獲得し、一躍、時の人となった木嶋真優。現在はヨーロッパを中心に精力的に活動するミューズが、新緑に抱かれた八ヶ岳高原音楽堂に降臨。バッハのソナタ第1番全曲にパルティータ第2番から「シャコンヌ」、イザイのソナタ第4、6番と、豊かな音色で彩られた無伴奏の調べで、空間を満たす。好評が続く『どりーむコンサート』シリーズに、情熱的な指揮ぶりで知られ、国際的に活躍する大植英次が初登場。東響を振り、日本を代表するソプラノの幸田浩子を迎える前半では、プッチーニやヴェルディ、サン=サーンスの名オペラ・アリアの数々を。後半では、チャイコフスキーの交響曲第4番を聴く。魅力的なオペラとダイナミックな交響曲の組み合わせ。まさに大植ワールドのエッセンスと言えよう。目で見て、体で感じて楽しめる、ドキドキワクワクのオペラ。絵本『スイミー』で知られるレオ=レオニの作品を下敷きに、声優の新田恵海(えみ)の朗読とともに、バリトンの加耒(かく)徹が演じるネズミのジェラルディンが、初めて音楽を聴いた驚きと感動を伝えてくれる。全篇に散りばめてられているのは、管弦楽のアンサンブルで奏でられる、ビゼー《カルメン》やチャイコフスキー「白鳥の湖」などの名曲。親子で一緒に、楽しみたい。円熟の名演がお約束できよう。ショパンとブゾーニ、2大ピアノ・コンクールを制し、高い音楽性と卓越した技巧で、世界中の聴衆を魅了し続けてきたギャリック・オールソン。日本での24年ぶりのリサイタルとなった4年前に続く、待望のステージ。ベートーヴェンのソナタ第31番とムソルグスキー「展覧会の絵」を大枠に、スケルツォ第4番や「12の練習曲(作品25)」から第5、6番など得意のショパンを挟み込む。月の5木嶋真優無伴奏ヴァイオリン・リサイタルどりーむコンサート Vol.96 大植英次(指揮)東京交響楽団 & 幸田浩子(ソプラノ)ギャリック・オールソン(ピアノ)菊地裕介(ピアノ)こどもオペラ 親子で楽しむクラシック名曲コンサート おんがくねずみジェラルディン はじめて おんがくを きいた ねずみの はなし*田村麻子(ソプラノ)~珠玉のアヴェ・マリア5/4(水・祝)14:30八ヶ岳高原音楽堂5/14(土)14:00府中の森芸術劇場 どりーむホール5/9(月)19:00 浜離宮朝日ホール5/8(日)14:00 音楽サロン A PIACERE in 豊田5/15(日)14:00 東京文化会館(小)5/15(日)10:30 13:00かめありリリオホール5/13(金)19:00GLORIA CHAPEL キリスト品川教会文:笹田和人田村麻子 ©Yoshinobu Fukaya_aura.Y2ジャン=フィリップ・メルカールト ©Paul Body大植英次 ©飯島 隆幸田浩子加耒 徹新田恵海 ©須藤敬一*©1979 by Leo Lionni Rights arranged through Japan UNI Agency.Inc.,Tokyo

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