eぶらあぼ 2016.4月号
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66©寺澤有雅4/10(日)14:00 東京文化会館(小)問 ムジカキアラ03-6431-8186 http://www.musicachiara.com東 誠三(ピアノ)意欲的な選曲で、今春から新たなリサイタルシリーズをスタート!取材・文:東端哲也Interview 2008~12年に8回にわたりベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会を福島県の三春で行い、その成果を9枚のライヴ録音CDの全集として発表し高評を得た東誠三。東京芸大や東京音大などで後進の指導も行っている彼が、満を持して臨む新しいリサイタルシリーズの第1回がこの4月に開催される。 「5年間のベートーヴェン漬けの時期を経て、今抱えている激務からも解放される目処がたち、この辺で今まで弾いてなかった曲にじっくり取り組まねばと思い、60歳までの間に毎年リサイタルを開くことを計画しました」 今回はそのスタートにふさわしく、若き日の記念碑的なショパンの練習曲を核に据えたプログラムを用意。 「ピアニストにとっては試験やコンクールなどにおいて“通過儀礼”ともいうべきエチュードを、原点に戻ってあの頃の情熱を思い出しつつ弾いてみようと思ったのです。『3つの新しい練習曲』は一見地味な曲ですが、改めて弾いてみるとノクターンにも通じる叙情的で繊細な表現に溢れ、非常に奥が深く、それでいてテクニックを取得するためのしっかりとした訓練になっている。その2つの異なる側面の高度な次元での一致は『12の練習曲 op.10』がさらに見事で、徹底的なエクササイズの中から豊かな感情が湧き上がってくる。しかも通して演奏することで変化に富み、うまく繋がっていながら意外性を感じさせる面白さもある。つくづく凄い作曲家なんだと思います、ショパンって」 一方、ロマン派でありながら古典主義的な形式を尊重するブラームスからはピアノ・ソナタ第2番をセレクト。 「ブラームスが若い時に書いたソナタには、ベートーヴェンを尊敬しながらも、それを超えようとする彼の野心が滲み出ているし、特に第2番には後のシンフォニーのスケッチのような意味合いもあって、単なるピアノ曲の枠を超えている」 プログラムの最後には、子どもの頃から敬愛していたというスペイン音楽から、アルベニス「イベリア」第4集を選んだ。 「アルベニスの手法は骨格になる和音はシンプルだけれど、たくさんの半音を重ねて複雑な色合いを出し、それを微妙に変化させて感情の変化を表現し尽くしている。第4集の3曲もそれぞれ土着的な風土に根ざしながら“スペインの心”を普遍的なものにまで高めているところが素晴らしい。ラローチャ先生の名盤を聴き、いつか演奏したいと思っていました。他にもまだまだ弾きたい曲がたくさんあります。元気でこのシリーズを続けていきたいですね」4/20(水)13:30 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 http://www.ojihall.jp銀座ぶらっとコンサート #108 ワーヘリ(外囿祥一郎&次田心平)銀座に輝く“世界遺産”級の響き文:柴田克彦©尾崎正茂/ユニバーサルミュージック 「世界遺産=ワールド・ヘリテージ」略して「ワーヘリ」。凄いネーミングだが、ユーフォニアムの第一人者・外囿祥一郎と、読響のテューバ奏者・次田心平が2013年から組んでいる、まさしく“世界遺産並み”に貴重なユニットだ。今回彼らは、王子ホールが行う平日昼下がりの気軽なコンサート『銀座ぶらっとコンサート』に出演する。外見も音色も近い低音金管楽器2本の融合と絡み…。これが実は、まろやか且つ華やかで心地よく、ピアノを交えた構成が基本なので音楽的にも磐石。特にライヴでは、外囿も「両楽器の倍音は凄い。ホールでは2本とは思えないほど包み込むようなハーモニーになる」と話す、他にないサウンドを体感できる。プログラムは、気鋭の金井信、人気の加羽沢美濃、ピアノの松本望によるオリジナルの作編曲。しかも、《魔笛》やモンティ「チャールダーシュ」、カッチーニ「アヴェ・マリア」などの有名作を含む多彩な楽曲を聴かせてくれる。トップ奏者が奏でる唯一無二のエンターテイメントを、“ぶらっと”楽しんでみてはいかが?

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