eぶらあぼ 2016.4月号
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48チョン・ミョンフン(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団充実のキャスティングで聴く《蝶々夫人》文:柴田克彦日本橋オペラ《トスカ》プッチーニの名作をこだわりの配役と室内オーケストラで文:宮本 明第882回 サントリー定期シリーズ 7/22(金)19:00 サントリーホール第883回 オーチャード定期演奏会 7/24(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 http://www.tpo.or.jp4/30(土)13:00 日本橋劇場問 東京国際芸術協会03-6806-7108 http://www.music-tel.com/wagner やはりチョン・ミョンフンと東京フィルの絆は深い…。それを痛切に実感したのが、2月定期のマーラーの交響曲第5番。精緻な構築による立体的かつ迫真的な音楽に、近年の同曲の演奏には稀なほどの感動をおぼえ、当コンビの底力に改めて唸らされた。この15年来のコンビがマーラーと共に格別な実績を残してきたのがオペラ。《椿姫》《トリスタンとイゾルデ》をはじめ忘れ難い名演ばかりだ。そして遂に7月定期で、プッチーニの《蝶々夫人》が披露される。 当コンビは、2002年に藤原歌劇団・韓国オペラ団の《蝶々夫人》で、劇的かつ精妙な演奏を聴かせて絶賛を博した。今回はその後14年間絆を深めた中での演奏ゆえに、間違いなく聴きものだ。主役は、この3月ヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場におけるチョン・ミョンフン指揮の舞台で同役を歌う2人。蝶々夫人役のヴィットリア・イェオは、1980年韓国生まれの気鋭のソプラノ。近年イ 日本橋オペラは、昨年ワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》で旗揚げしたオペラ・カンパニー。その第1回公演でイゾルデを歌ったソプラノ福田祥子が代表を務めている。今回トスカを歌う福田は、大阪音大ピアノ科卒業後に声楽に転向したという異色の経歴で、大阪芸大大学院修了後、二期会オペラ研修所を経て、ウィーン国立歌劇場やバイエルン州立歌劇場で研鑽を積んでいる。すでに日本国内でも実績を重ねているが、昨年はブルガリア国立スタラ・ザゴラ歌劇場の《蝶々夫人》でタイトルロールを歌ってヨーロッパデビューを果たした。声のレンジにも声量にも余裕を感じさせる歌手。カヴァラドッシには小貫岩夫、スカルピアには斉木健詞と実績のある歌手が配された。 会場の日本橋劇場は、戦前の古い公会堂を建て替えて1999年にオープンした劇場で、基本的には日本の古典芸能の上演を前提に設計されている。当タリアの歌劇場を中心に活躍し、昨年ムーティの指揮でザルツブルク音楽祭にもデビューしている。ピンカートン役のヴィンチェンツォ・コスタンツォは、91年イタリア生まれの若きテノール。既にスカラ座など各地の一流歌劇場で歌い、フィレンツェ歌劇場でピンカートン役のロール・デビューも果たしている。然ピットもないのでオーケストラが舞台上で演奏しなければならない440席のこの中規模劇場に合わせて、伴奏は新編曲による十数人の室内オーケストラ。昨年のワーグナーの記録映像を拝見すると、同様の上演形態(約20人ほど)で功を奏していたから十分な編さらにはウィーン国立歌劇場の元専属ソリスト、甲斐栄次郎がシャープレス役で参加。この万全の態勢による上演を、音楽のみに集中できる演奏会形式で味わえるのも、必聴のゆえんだ。 オペラに長けたコンビで聴く感涙の名作。これまさに極め付けの公演というほかない。成と言えそうだし、やはりオペラは、たとえ小編成でも生の弦や管のアンサンブルで聴けるのがうれしい。指揮は常任指揮者の佐々木修、演出は、鈴木忠志や栗山昌良門下のベテラン十川稔。 古都ローマを舞台にしたオペラをお江戸・日本橋で。甲斐栄次郎ヴィンチェンツォ・コスタンツォヴィットリア・イェオチョン・ミョンフン Photo:KIM WOLF斉木健詞福田祥子小貫岩夫佐々木 修
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