eぶらあぼ 2016.4月号
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208ロッシーニ《セヴィリアの理髪師》と、その後日譚であるモーツァルト《フィガロの結婚》。同じボーマルシェの戯曲を原作とする両作品を再構築し、物語としての一貫性と、音楽の魅力の両方を追求する野心的なプロジェクトが、《セヴィリアの理髪師の結婚》だ。主人公フィガロは村松恒矢が演じ、相手役のスザンナは今野沙知恵と田川聡美によるダブルキャスト。田尾下哲と家田淳が翻案と演出を担当する。幅広いレパートリーを鮮烈な感性で弾きこなす、パイプオルガンの塚谷水無子。そして、多層的な演奏活動を展開する、東京フィル首席フルート奏者の斉藤和志。2人の名手が、対象を変えた気楽な2つのステージを通じて、音の花束を届けてくれる。親子向では、ドラえもんやジブリなど、アニメの主題歌などを中心に。一方、大人向(小学生以上)では、バッハの小フーガや、「ダース・ベイダーのテーマ」などを演奏する。先鋭的な作風で知られる、作曲家としての高橋悠治。しかし、声楽作品は先鋭さをスパイス程度にとどめ、柔らかな表情を纏ったものが多い。高橋自身との共演や録音も多い波多野睦美が、ピアノの廻由美子と組んでの「ソングブック」。モノオペラ「めをとうし」をはじめ、自ら命を絶った少年の詩をテクストに、朝鮮古謡の要素を採り入れた連作「ぼくは12歳」からの数曲、ほかに「ゆめのよる」「おやすみなさい」などを。現代フルート界の巨匠パトリック・ガロワの60歳のバースデーを、音楽の響きで祝うコンサート。工藤重典や瀬尾和紀ら日本を代表するフルーティストたちが共演し、華を添える。しかも、ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」に始まり、フォーレ「シシリエンヌ」、ボワモルティエの「5つのフルートのための協奏曲第1番・第3番」、ヴィドール「組曲」など、名曲をこれでもかと満載。これ以上の贅沢が、他にあろうか。田村明子は中学時代に全日本学生音楽コンクールの全国大会を制し、桐朋学園大を経てドイツに学んだ実力派ピアニスト。マリア・カナルス国際音楽コンクールなどの登竜門でも実績を積み、国際的に活躍している。ベートーヴェンの第7番とベルク、2つのソナタに、ブラームス「4つの小品 op.119」、シューマン「交響的練習曲」(遺作付き)というプロに、音楽史上の道程と彼女自身が歩んで来た演奏家人生が交錯する。個性が滲む美音と確かな技巧、ジャンルを超越した豊かな音楽性で、聴衆を魅了し続けているフルートの高木綾子が、シリーズ「『楽器の秘密』シーズンⅡ」の第4回に登場する。ピアノの坂野伊都子の共演によるステージ。ボルヌ「カルメン幻想曲」やマスネ「タイスの瞑想曲」、バッハ「パルティータ」など、様々なスタイルの楽曲を通して、息継ぎをしない管楽器独特のテクニック「循環呼吸」の不思議に迫る。月の4高橋悠治 ソングブック波多野睦美(メゾソプラノ)& 廻 由美子(ピアノ)パトリック・ガロワ 60thバースデー フルート コンサート田村明子(ピアノ)Der Weg... 道田尾下哲シアターカンパニーOPERA《セヴィリアの理髪師の結婚》楽器の秘密 第4回フルート 高木綾子 プロムナードコンサート Vol.211~パイプオルガン&フルート~4/3(日)16:00 東京オペラシティ リサイタルホール4/17(日)14:00すみだトリフォニーホール4/10(日)14:00 浜松市福祉交流センター4/23(土)14:00 ヤマハホール4/9(土)13:00 17:30JTアートホール アフィニス4/21(木)13:30かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール4/16(土)10:30(親子向) 14:00(大人向)府中の森芸術劇場 ウィーンホール文:笹田和人廻 由美子波多野睦美田尾下 哲家田 淳塚谷水無子斉藤和志

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