eぶらあぼ 2016.4月号
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1986月の見もの・聴きもの2016年6月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン芸術週間[会場:無印=ムジークフェライン大ホール(ウィーン)、(TA)=アン・デア・ウィーン劇場(ウィーン)](6月分/主要公演のみ(小ホール分は省略))6月4(19:30)、5(19:30)日 P.ジョルダン指揮ウィーン響 マーラー:交響曲第3番 独/M.シュスターA6月6(19:30)日 R.ブッフビンダーp ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番、第31番、第32番6月7(19:30)日 S.ビシュコフ指揮ウィーン・フィル ビゼー:アルルの女、プーランク:2台のピアノのための協奏曲、R.シュトラウス:英雄の生涯 独/ラベック姉妹(pデュオ)◎6月8(19:30)日 C.ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲、レーガー:モーツァルトの主題による変奏とフーガ、R.シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 独/N.ズナイダーvn◎6月11(19:30)日 M.ポリーニp シューマン:アレグロ、幻想曲、ショパン:スケルツォ第1番、夜想曲 作品55・62、スケルツォ第3番◎6月13(19:30)日 A.S.ムターvn S.カリアー:クロックワーク、モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第42番、プーランク:ヴァイオリン・ソナタ、ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ、サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ共/L.オーキスp6月14(19:30)日 Y.ネゼ=セガン指揮ウィーン・フィル ウェーベルン:パッサカリア、ブルックナー:交響曲第9番★◎6月14(19:30)(TA)、16(19:30)(TA)、18(19:30)(TA)、20(19:30)(TA)日 ベートーヴェン:フィデリオ[プレミエ] 指/M.ミンコフスキ、演出/D.チェルニアコフ、出/M.ケーニッヒ、C・リボール、G.ニグル、E.ニキーティン、F・ハヴラタ、演奏/レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブル6月15(19:30)、16(19:30)日 V.ユロフスキ指揮ウィーン響 ラフマニノフ:死の島、コルンゴルド:ヴァイオリン協奏曲、ツェムリンスキー:人魚姫 独/L.カヴァコスvnウィーン国立歌劇場6月1日 J.カウフマンT 共/H.ドイチュp6月2日 ヴェルディ:ドン・カルロ(4幕・イタリア語版) 指/チョン・ミョンフン、演出/D.アバド、出/R.パーペ、R.ヴァルガス、L.テジエ、A.ハルテロス、B.ウリア=モンゾン6月3、6、9日 R.シュトラウス:ばらの騎士 指/A.フィッシャー、演出/O.シェンク、出/D.レシュマン、L.ヴォルト、D.シンドラム、C.ライス6月4日 ヴェルディ:シモン・ボッカネグラ 指/M.アルミリアート、演出/P.シュタイン、出/D.ホロストフスキー、F.フルラネット、F.メリ、B.フリットリ6月8、12、15、18日 ヴェルディ:マクベス 指/S.ヤング、演出/C.レト、出/A.ドッバー、F.フルラネット、T.セルジャン6月10、13日 ドニゼッティ:愛の妙薬 指/M.アルミリアート、演出/O.シェンク、出/V.ナフォルニタ、S.コステッロ、M.カリア◎6月14、16、19、21日 グルック:アルチェステ指/C.ルセ、演出/C.ロイ、出/J.カイザー、V.ジャンス、演奏/レ・タラン・リリク◎6月20、23、27、30日 プッチーニ:マノン・レスコー 指/M.アルミリアート、演出/R.カーセン、出/A.ネトレプコ、C.ウンターライナー、M.ジョルダーニ6月22、25、28日 モーツァルト:フィガロの結婚指/C.マイスター、演出/J.L.マルティノーティ、出/L.ピサロニ、R.ウィリス=ソレンセン、V.ナフォルニタ6月24、29日 ドニゼッティ:ドン・パスクワーレ指/M.アルミリアート、演出/I.ブルック、出/A.マエストリウィーン・フォルクスオーパー6月1(19:00)、2(18:00)、4(18:30)、8(18:30)、10(18:00)日 J.ボック:アナテフカ(ミュージカル) 演出/M.ダヴィッズ6月3(18:30)、7(19:00)、18(18:30)、22(19:00)、24(19:00)日 ミレッカー:乞食学生[16年4月プレミエ] 演出/A.プライスラー6月5(17:00)、6(11:00)、11(18:30)、12(11:00)、17(18:30)日 L.F.バウム:オズの魔法使い(ミュージカル) 演出/H.メイソン6月12(19:00)、15(19:00)、19(16:30)、23(19:00)、26(16:30)、29(19:00)日 モーツァルト:コジ・ファン・トゥッテ 演出/B.クリメク6月20(19:00)、25(19:00)、30(19:00)日ヴェルディ:椿姫 演出/H.グラツァー6月28(19:00)日 ヨハン・シュトラウス:こうもり演出/R.ヘルツル、新校訂演出/H.ツェドニクアン・デア・ウィーン劇場★◎6月14(19:30)、16(19:30)、18(19:30)、20(19:30)日 ベートーヴェン:フィデリオ[プレミエ] 指/M.ミンコフスキ → 〔ウィーン芸術週間〕参照ウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(D)=コンツェルトハウス(ドルトムント)、(K)=フィルハーモニー(ケルン)、(BB)=祝祭劇場(バーデン・バーデン)、(FRA)=アルテオーパー(フランクフルト)、(P)=シャンゼリゼ劇場(パリ)、(M)=アウディトリオ・ナシオナル・デ・ムジカ(マドリード)、(B)=パラウ・デ・ラ・ムジカ・カタラーナ(バルセロナ)、【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 6月になると夏に先駆け、音楽祭形式の企画が増えてくる。本文でもいくつかの主要音楽祭を紹介したが、可能であれば、オーストリア/シュヴァルツェンベルクの「シューベルティアーデ」(www.schubertiade.at/)、ドイツ/ライプツィヒの「バッハ・フェスティバル」(www.bach-leipzig.de/)、ポツダム「サンスーシ音楽祭」(www.musikfestspiele-potsdam.de/)、ガルミッシュ・パルテンキルヒェン「リヒャルト・シュトラウス・フェスティバル」(www.richard-strauss-festival.de/)などについても言及したかったところだ。 さて、6月は、まず何人かの人気アーティストの出演動向から。今やレジェンドともいうべきプラシド・ドミンゴが2つの劇場に登場する。パリ・オペラ座(バスティーユ・オペラ)で「椿姫」(17/20日)、英国ロイヤル・オペラで「ナブッコ」(6/9/12/23日)。同じく人気歌手であるネトレプコは、ウィーン国立歌劇場で「マノン・レスコー」に出演するほか、ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンのツアーにも同行する。ただ、こうした特定の人気歌手の出る演目のチケットは、残念ながら発売直後に完売というケースが多い。 そのティーレマンは、シュターツカペレ・ドレスデンを率いて地元の他に、ウィーンとバーデン・バーデンで公演を行う。数年後にベルリン・フィルからロンドン響の首席指揮者に移ることが決まっているサイモン・ラトルも、最近はすでにロンドンでの公演が増えている。6月もロンドン響で、ピアノのツィメルマンと組んだ面白そうな演奏会を予定。ベルリン・フィルとも、レパートリーの穴を埋めるような珍しい曲を含んだ意欲的なプロが続いている。バレンボイム指揮のシュターツカペレ・ベルリンは、アルゲリッチを独奏者とした彼女の誕生日コンサートを開催。ヤンソンスは、オランダ国立オペラでチャイコフスキーの「スペードの女王」を上演(ピットに入るのはロイヤル・コンセルトヘボウ管)する。ペトレンコはミュンヘン・オペラ・フェスティバル幕開けの「トスカ」を振るほか、バイエルン州立管とR.シュトラウス「家庭交響曲」他を演奏する。器楽奏者に目を移すと、ヴァイオリンのムター(ウィーン、ケルン、パリ等)、ポリーニ(ウィーン、ミラノ等)のツアーもある。ルガンスキー(ピアノ)、カヴァコス(ヴァイオリン)、カプソン(チェロ)による室内楽も、おそらく精度の高い演奏が聴けるだろう(ケルン、パリ等)。 古楽系では、ミンコフスキのベートーヴェン「フィデリオ」(アン・デア・ウィーン劇場)、クリスティ指揮レザール・フロリサンのバッハ「ロ短調ミサ」(ライプツィヒのバッハ・フェスティバル/トーマス教会での演奏(19日))といった古楽ファンでなくてもお薦めできそうな公演がある。現代音楽系では、この時期に行われるベルリン州立歌劇場での「インフェクション!現代ムジークテアーター・フェスティバル」(staatsoper-berlin.de/de_DE/infektion-2016-cal)が重要。7月にかけて意欲的な作品・企画が登場する。個人的には、ウィーン芸術週間が終わった直後にムジークフェラインで公演を行うデニス・ラッセル・デイヴィス指揮リンツ・ブルックナー管に惹かれる。ジャズ・トランペットの巨人マイルス・デイヴィスの大ヒット作であった「スケッチ・オブ・スペイン」がどのように大オーケストラで再現されるのか興味津々。 他には、ベルリン州立歌劇場とライプツィヒ歌劇場でのワーグナー「リング・ツィクルス」やビエイト演出の3公演(ミュンヘン・オペラ・フェスティバルでの「ユダヤの女」、パリ・オペラ座でのライマン「リア王」、フランドル歌劇場でのワイル「マハゴニー市の興亡」)にも過激な演出がお嫌いでなければ要注目。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)
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