eぶらあぼ 2016.4月号
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184CDCDCDCDシューベルト:弦楽四重奏曲第15番 他/ロータス・カルテット&カニュカベートーヴェン:交響曲第4番&第5番「運命」/アーノンクール&ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスタケミツを歌う~フォルテピアノと共に~/青木洋也&重岡麻衣ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番 他/小林有沙シューベルト:弦楽四重奏曲第15番/シューベルト(カニュカ編):アルペジオーネ・ソナタ(ソロチェロ&弦楽四重奏版)ロータス・カルテットミハル・カニュカ(チェロ)ベートーヴェン:交響曲第4番・第5番「運命」ニコラウス・アーノンクール(指揮)ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス武満徹:めぐり逢い、翼、昨日のしみ、小さな部屋で、雪、うたうだけ、ワルツ、小さな空、死んだ男の残したものは、見えないこども、三月のうた、雲に向かって起つ、ぽつねん、さようなら 他青木洋也(カウンターテナー)重岡麻衣(フォルテピアノ)ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番(1931年改訂版)、コレルリの主題による変奏曲、ひな菊、ヴォカリーズ(コチシュ編)/クライスラー(ラフマニノフ編):愛の悲しみ、愛の喜び小林有沙(ピアノ)ナミ・レコードWWCC-7799 ¥2700+税収録:2015.5/8~11、ウィーン(ライヴ)ソニーミュージックSICC-30250 ¥2600+税コジマ録音ALCD-7198 ¥2800+税オクタヴィア・レコードOVCT-00122 ¥3000+税シュトゥットガルトを拠点に目覚ましい活躍を続ける、名門ロータス・カルテット。当盤を聴くと、持ち前の明晰な解釈にますます磨きがかかっていることがよくわかる。シューベルトの第15番では、時に過剰になりがちな“歌謡性”をある意味潔く“捨てる”ところから出発。だが、テンポ設定やフレージングに一切無駄のないその演奏には、結果として紛れもないシューベルトの“歌心”がしっかりと宿っているのが素晴らしい。続く「アルペジオーネ・ソナタ」は、チェロの名手ミハル・カニュカを加えた五重奏版。こちらも緩急自在な名演で、色彩や陰影の移り変わりに細心の注意が払われている。(渡辺謙太郎)本来は全集の1枚目だったが、結果的にアーノンクールの遺作となったディスク。60年以上率いた手兵との最初で最後のベートーヴェン録音でもある。ライナーノーツ(興味深い見解が満載!)で彼が、「過小評価され続けている」と語る第4番は、まさにそのイメージを覆す巨大な表現。全ての音符が命を主張しているかのような演奏が展開される。また第5番は「ベートーヴェン唯一の政治的交響曲」との由。その真意は第4楽章に顕著であり、全曲にわたって独特の間合いも耳を驚かせる。しかし本作のあらゆる面白さをここに記すのは不可能。とにかく聴いて欲しい。(柴田克彦)日本を代表するカウンターテナーによる没後20年の武満のソング集。収録されている20曲が出版譜の全曲。武満自身がほとんど伴奏譜を残さなかったので、どんな伴奏にするかが演奏者のセンスに委ねられているのも、武満ソングの面白いところ。フォルテピアノの響きと、奏者自身によるさまざまなアイディアを施した編曲が新鮮だ。青木の声はあくまで清澄で美しい。そこから古楽的解釈云々を聴き取ろうとする行為はここでは不要だと思う。武満がはにかみながら自分の情緒的な内面をそっと見せたような旋律に自由に寄り添って、しかし彼ら自身の“うた”が提示されている。(宮本 明)ベルリン、ウィーン留学を経てリリースした2013年のデビュー盤が話題を呼んだ小林有沙。2作目はオール・ラフマニノフ。ソナタや変奏曲、編曲もので作曲家のさまざまな顔を届ける。潔く力強い小林の音はラフマニノフに合う。ピアノ・ソナタ第2番では幾重にもなる厚い和音と輝かしい高音を、実に効果的に鳴らす。「コレルリの主題による変奏曲」は、しなやかだが甘すぎず、凛々しい。彼女ならではの感性で選んだ編曲ものから、クライスラー=ラフマニノフでは、一転、女性らしく、優美で気品に満ちた音楽を奏でる。作曲家のみならず小林自身のさまざまな顔が見られるアルバム。(高坂はる香)

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