eぶらあぼ 2016.4月号
175/221

182CDCDCDCDピリオド楽器の魅力 うつろい/高田泰治空飛ぶ笛 Ⅲ/江崎浩司シベリウス、チャイコフスキー 他 管弦楽曲集/ベイヌム&コンセルトヘボウ管フォニックス・マリンバオーケストラ/上野信一&フォニックス・レフレクションパーセル:組曲第6番、新しいグラウンド/J.S.バッハ:トッカータハ短調、イギリス組曲第4番/クレメンティ:ソナタWO14/ハイドン:ソナタHob.ⅩⅥ:39/ベートーヴェン:ソナタ第14番「月光」高田泰治(スピネット/チェンバロ/スクエアピアノ/フォルテピアノ)パウエル:カイ・デントロ(サンバに夢中)/サティ:ジュ・トゥ・ヴ/ミヨー:スカラムーシュ/エルガー:愛の挨拶/ドヴォルザーク:交響曲第8番第3楽章「アレグレット・グラツィオーゾ」/ラモー:未開人/アンダーソン:トランペット吹きの休日 他江崎浩司(リコーダー)伊藤一人(チェンバロ)永谷陽子(ファゴット/リコーダー) 他シベリウス:交響詩「フィンランディア」、悲しきワルツ/ドビュッシー:英雄的な子守歌/グリーグ:2つの悲しい旋律/チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」/スーザ:星条旗よ永遠なれ 他エドゥアルト・ファン・ベイヌム(指揮)ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団奥定美和:砂紋/フォスター(奥定美和編):3つのアメリカの歌/フォード:マリンバ・ヘリテージ/山田耕筰/岡野貞一(奥定美和編):3つの日本の歌/安倍圭子:遙かな海、山をわたる風の詩、プリズム変奏曲上野信一(指揮)フォニックス・レフレクションナミ・レコードWWCC-7802 ¥1500+税コジマ録音ALCD-3108 ¥2800+税ユニバーサルミュージック/TOWER RECORDSPROC-1938 ¥1143+税コジマ録音ALCD-7195 ¥2800+税関西とドイツ・レマーゲンを拠点に、独特の感性で歴史的鍵盤楽器を弾き分けて注目される俊英・高田。スピネットとチェンバロ、スクエアピアノ、フォルテピアノという4種の楽器を使い、それぞれに相応しい作品を弾く、というユニークな試みに挑んだ。高田は音の伸び方やタッチの違いを踏まえた上で、楽器ごとに表現を自在に変化。さらに、作品ごとの様式感の違いも、きっちりと捉えている。4つの楽器が同じ空間で演奏されているため、音量やニュアンス表現の比較も容易。グレーバー製作の銘器で弾かれるベートーヴェン「月光」の鮮烈さも、締め括りに置かれているからこそ、いっそう際立つ。(寺西 肇)うわっ、何これ? 楽しい! リコーダーがこんなにイケてるとは! 実はバロック楽器として以外のリコーダーにあまり興味がなかったのだけれど、この楽器を理解していませんでした。ごめんなさい。1曲目の「サンバに夢中」なんて、本家の歌の100倍(!?)エキサイティングだ。それにこの音の安定感。リコーダーとしては異次元の域にあるのではないか。どこか儚げなリコーダーのイメージは皆無。時代もジャンルも超えて、キレッキレの笛サウンドが軽やかに、まさに空を飛ぶ。チェンバロも切れ味鋭い。この3枚目でシリーズ完結だとか。しまった。1、2もすぐにポチらねば。(宮本 明)20世紀中盤オランダの名匠ベイヌムの珍しい小品集。ほの暗くきっちりした名演が残されているベイヌム、小品でも同様にがっちり作り込む。有名作からドビュッシーの珍しい小曲まで、力感はあるが開放的にはならず、当時のコンセルトヘボウ管の品格と陰のある美音が表現を深める。なかでもグリーグの深い感動は印象的。しかし、何と言っても注目は「星条旗」! 最も縁遠そうな選曲で、録音経緯も不明という、まさしく珍品。“迷演”かと思いきや、あくまで格調高く各声部を磨いた音楽的な“名演”ぶりに、ニヤリとしつつ妙に納得させられる。ユニークな形で指揮者とオケの力量を実感できる一篇。(林 昌英)マリンバは深い。上野信一率いるフォニックス・マリンバオーケストラによる当盤では、奥定美和と安倍圭子による世界・日本初録音の現代作品(といっても構える必要なし)と、フォスター、山田耕筰のマリンバアレンジ作品が並ぶ。マリンバ、ヴィブラフォン、曲によってはアンティーク・シンバルやグロッケンをも用いての多彩かつ精妙な響きのコントロールが実に見事で、マリンバは名手たちの手にかかればここまで“やれる”のだ。中でも安倍の「山をわたる風の詩」が傑作。「遥かな海」では波の音も挿入され、言葉の最良の意味でBGMにもなる。深くも聴けて、“ながら”でも聴ける。つまりは傑作CD。(藤原 聡)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 175

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です