eぶらあぼ 2016.4月号
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180CDCDCDCDマーラー:交響曲第2番「復活」/山田和樹&日本フィルアパッショナート/松本健司パリのフルート音楽Ⅱ 笛吹きたちの夢/出口清子荘村清志&イ・ムジチ合奏団 ー夢の共演ーマーラー:交響曲第2番「復活」山田和樹(指揮)日本フィルハーモニー交響楽団林 正子(ソプラノ)清水華澄(アルト)東京混声合唱団 他ドゥヴィエンヌ:クラリネット・ソナタ第3番/ブラームス:クラリネット・ソナタ第1番、クラリネット三重奏曲/ベートーヴェン:三重奏曲「街の歌」第2楽章松本健司(クラリネット)横山幸雄(ピアノ)藤森亮一(チェロ)プーランク:フルート・ソナタ/ルーセル:笛吹きたち/タファネル:アンダンテ・パストラールとスケルツェッティーノ/カプレ:夢と小さなワルツ/ラヴェル(ビルテル編):亡き王女のためのパヴァーヌ/ゴーベール:フルート・ソナタ第3番 他出口清子(フルート)浦壁信二(ピアノ)ヴィヴァルディ:リュート(ギター)協奏曲RV93/ジュリアーニ:ギター協奏曲/フレスコバルディ(セゴビア編):アリアと変奏「ラ・フレスコバルダ」/スカルラッティ:ソナタK11・K380・K391/ブローウェル(イ・ムジチ合奏団編):11月のある日荘村清志(ギター)イ・ムジチ合奏団収録:2015.2/22Bunkamuraオーチャードホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00592(2枚組) ¥3500+税マイスター・ミュージックMM-3069 ¥3000+税コジマ録音ALCD-3109 ¥2800+税ユニバーサルミュージックUCCY-1060 ¥3000+税山田和樹&日本フィルのマーラー・ツィクルスより「復活」ライヴ。実に堂に入った名演だ。第1楽章では、その第1主題をテヌート気味に奏させることにより、物理的なテンポは速めであるにも関わらず重々しい雰囲気を表出することに成功。また展開部冒頭、ティンパニ・ソロの後のヴィオラにアクセントを付けたりと芸が細かいのだが、全曲を通じてこのような読みが“工夫のための工夫”に陥っておらず実に効果的、まるで大河小説の如きこの大曲を分解させずに一本筋の通った流れの上に見事にまとめ上げている。終楽章コーダの深い呼吸による圧倒的な高揚もすばらしく、改めて瞠目すべき指揮者だと感じ入る。 (藤原 聡)このところグングンと輝きを増しているN響首席奏者・松本健司の3枚目のソロCD。芯のある音でナチュラルな表現を聴かせる彼の持ち味を生かした、芸術性の高いクラリネット・アルバムだ。ドゥヴィエンヌはすこぶるチャーミング。ブラームスのソナタはロマンティックな情熱、三重奏曲はトリオならではの濃密な対話が、終始耳を惹きつける。ブラームスは巨匠最晩年の侘しさにもこと欠かず、三重奏曲の第2楽章等のしみじみとした情感が胸に染みる。特筆すべきは横山幸雄のピアノ。管楽器のCDには稀なほど雄弁で、曲の新たな魅力に気付かされる場面も多い。(柴田克彦)フランス近代の作品に格別の思い入れを持って取り組む、出口清子「パリのフルート音楽」の第2弾。プーランクとゴーベールの第3番、ふたつの名ソナタが大枠となり、全篇が独特の空気感に満たされている。特有の美しい音色を基本としつつも、時にエオリアン・トーンや分厚い音などで効果的に楔を穿つことで、陰影を強調。特に、ハイ・トーンの飛翔感は、聴く者に強烈なインパクトを与える。そして、出口のしなやかなアーティキュレーション取りをしっかりトレースする、ピアノの浦壁の名サポートぶりも特筆もの。折に触れて聴き返したい、素敵なアルバムに仕上がった。(笹田和人)日本を代表するギターの名手と、イタリアの至宝と言うべき超人集団。「夢の共演」のタイトルは、伊達ではない。繊細だが彫りの深い、荘村の旋律表現。そして、ここへヴィヴィッドに反応するイ・ムジチの見事さ。例えば、ギターが細かなフレーズで上降する間に、全音符で弾き伸ばすような場面でも、ただ冗長に響きの空間を埋めるのではなく、微妙にダイナミクスを変化させ、ぴったり寄り添う。冒頭のたった1音で、どの時代の作品なのかを聴き手に感じ取らせてしまう、鋭敏な様式感覚にも舌を巻く。さらに、荘村が添えた、滋味あふれる4つのソロ作品も巧みに共鳴していく。(寺西 肇)

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