eぶらあぼ 2016.3月号
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46庄司紗矢香 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル念願だった初の無伴奏文:寺西 肇がんばろう ! 日本 スーパーオーケストラ毎日希望奨学金 チャリティーコンサート震災遺児たちへの熱いクラシック・エイド文:渡辺謙太郎6/7(火)19:00 紀尾井ホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp3/15(火)19:00 サントリーホール問 毎日新聞社事業本部03-3212-0804/テンポプリモ03-5810-7772 http://www.tempoprimo.co.jp 16歳でパガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールを日本人初、史上最年少で制し、一躍スターダムを駆け上がった、ヴァイオリニストの庄司紗矢香。それから17年を経て、今や“巨匠”への階段を着実に上りつつある彼女が、念願だった無伴奏リサイタルへ初めて挑む。しなやかな音楽性を下支えする、艶やかで芯のある音色と隙のないテクニック。たった1人で臨むステージだからこそ、これらが収斂され、より眩い光を放つ。 「音が“伸びてゆく”感覚が、とても人間的に思えて、すぐに『やりたい』と思いました」とヴァイオリンとの出逢いを語っていた庄司。12歳で全日本学生音楽コンを制し、翌年には渡伊、ウート・ウーギら巨匠の薫陶を受けた。パガニーニ優勝以降は、世界の一線楽団への客演やピアノのメナヘム・プレスラーら巨匠との室内楽での共演など、精力的に活躍。美術など他ジャンルの芸術 東日本大震災から早いもので5年近く。保護者を亡くして苦しむ震災遺児は今も多い。そんな彼らの進学を支援すべく、毎日新聞社が設立したのが「毎日希望奨学金」だ。これまでに約1億9200万円の奨学金が延べ798人に給付されている。その奨学金をサポートするチャリティコンサートとして、2011年から毎年開催されているのが『がんばろう ! 日本 スーパーオーケストラ』だ。 このオーケストラは、世界的に活躍するソリストや、名門オーケストラに所属する有志たちによって結成された。指揮者は昨年が小林研一郎だったが、今年は本名徹次が登場。彼は、現代音楽にも精通し、ベトナム国立交響楽団の音楽監督として初のアメリカ公演を行い、大成功を収めている実力派だ。コンサートマスターの小森谷巧(読響コンサートマスター)とともに、知的で洗練された演奏を聴かせてくれることだろう。 こうした頼もしいサポートを得て、情熱的なソロを披露するのが2人の豪とのコラボレーションなど、多角的な活動にも力を注ぐ。 庄司の無伴奏と言えば、2010年に発表した、J.S.バッハとレーガーを組み合わせたアルバムが、時空を超えた作品が共鳴し合う骨太な音楽創りで、大きな話題に。今回の無伴奏リサイタルは、パルティータ第2番と、フランスの俊英ピアニスト、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェがオルガン作品から編曲した「幻想曲とフーガ」(BWV542)、バッハの2作品を大枠に。ここへ、庄司がハンガリーの名匠ラドシュ・フェレンツに学んで、その真髄を体得したバルトークの名ソナタと、交流のある細川俊夫へ委嘱した新作の初演を挟み込む。華な顔ぶれ。ピアニストの小山実稚恵と、ヴァイオリニストの松田理奈だ。小山の演目は、1993年に録音も発表している得意曲、ラフマニノフの協奏曲第2番。持ち前の優れた技巧と、天衣無縫な音楽性を存分に楽しみたい。松田は、サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」など3曲を演奏。特有の色彩感の豊かな音色にふさわしい好選曲なだけに期待が高まる。 そして最後を締め括るのが、本名と管弦楽のみによるラヴェル「ボレロ」。「毎日希望奨学金」のさらなる発展を予見する大団円となるに違いない。当日は会場に募金箱が設置され、出演者が奨学金への協力を呼びかける。©Kishin Shinoyama小山実稚恵 ©ND CHOW松田理奈 ©Shigeto Imura本名徹次 ©Fukui Takaya
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