eぶらあぼ 2016.3月号
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新倉 瞳 Hitomi Niikura/チェロ8歳よりチェロを始める。当時ドイツにて、ヤン・ヴィミスリッキー氏に師事。11歳で帰国後、毛利伯郎氏に師事。桐朋学園大学音楽学部を首席で卒業。2015年には、ポルトガル/リスボンで開催された「Internacional Verao Classico 2015」チェロ部門にて第1位受賞。奥村:新倉さんは私の学校の後輩で弟の同級生でもあり、チェリストとして本当に素晴らしい方です。いつまでも向上心を失わずに海外で勉強する姿勢も、凄いですね。私は作曲ができないのですが、今回は初挑戦にもかかわらず、大人の「キットカット」の上質感が音楽的に表現されています。Q:奥村さん、作曲家の加藤さんの作品へのこだわりがかなり凄い、とうかがっています。奥村:ヴァイオリンがカカオが弾ける感じ、サックスがウェハースの上質なクリームを表現しているんです。また、タイトルは「キットカット ショコラトリー」の「サブリム ビター」のカカオ66パーセントからとった「Cacao 66」で、しかも66小節なんです。「キットカット」に関する曲を作るなら、おそらくチョコに対する思い出などをテーマに書くと思うのですが、チョコレート“そのもの”を題材にするなんて加藤さんらしいと思いました。三者三様の個性的な作品Q:斎藤さんと新倉さん、それぞれの方の曲についてどう思われましたか?斎藤:いずれも素晴らしい作品ですね。二つともタイプが違うし、それぞれの個性がうまく出ています。今回のプロジェクトでクラシック音楽以外のアーティストがどのような曲を作ったかも、非常に興味がありますね。新倉:奥村さんの参加した曲はコンセプトの明解さが伝わってきます。カカオがヴァイオリンで、ウェハースのクリームがサックスを表現しているなんて、まさにその通りだと思います。ヴァイオリンのピッチカートがカカオ豆が弾けるイメージにぴったりですし。斎藤さんの曲は、スイスでクレズマー音楽(東ヨーロッパから発祥したユダヤ人の音楽)を勉強している私にとって、非常に興味深いです。そしてコンセプトの「探究心」も躍動感と共に表現されていますね。Q:斎藤さんの「SEEKER」ではヴァイオリンのヴァスコさんの超絶技巧も炸裂しますね。斎藤:ピアノでは簡単に弾けるフレーズもヴァイオリンでは難しいと思います。しかし、簡単に弾きこなしてましたね。ヴァスコのヴァイオリンの“味”も出ていて満足です。また、今回はヴァイオリンとピアノという編成ですが、僕と兄とのユニット「レ・フレール」でのピアノ連弾や、オーケストラといったように、この曲は様々な編成に編曲できると思うのです。そうすればより多くの人に聴いていただけるのではないでしょうか。斎藤圭土 Keito Saito/ピアノ1978年11月18日生まれ。6歳から17歳までクラシックピアノを学ぶ。15歳よりルクセンブルク国立音楽学校に留学し、ガーリー・ミューラー氏に師事。日本人として初めて国際ブギ・ウギ・フェスティバルに招聘されるなど、海外での演奏活動を数多く展開。

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