eぶらあぼ 2016.3月号
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2623/13(日)15:00 豊洲文化センター シビックセンターホール問 東京シティ・バレエ団03-5638-2720 http://www.tokyocityballet.org東京シティ・バレエ団『シティ・バレエ・サロン Vol.4』世代やジャンルを超えた新たな感性に期待文:上野房子 振付家は見つけるものではなく、自ら手塩にかけて育てるものだ——。1968年の創設以来、脈々と日本人振付家による創作に取り組んできた東京シティ・バレエ団の気概に裏打ちされた7つの新作が、「シティ・バレエ・サロン Vol.4」で初演の幕を開けようとしている。 作者の経歴は七人七様。中島信欣と小林洋壱は、すでにバレエ団内外で大小作品を発表している生え抜きの振付家。石井初美は初出品ながら、オーストラリア留学を経て東京バレエ団でベジャール作品他を踊った経験の持ち主。長澤風海は中国拳法の大会で優勝した後、ミュージカル他の多彩な舞台で踊り、振付も手がけている。世代とジャンルと国境を越えた多彩な経験が、気心の知れた同僚から何を引き出すのだろうか。 豊洲文化センターの上階に位置するホールでの初開催。眼下にウォーターフロントの眺望が拡がるユニークな空間で、振付家の声とダンサー達の熱気を肌で感じたい。3/19(土)18:00、3/20(日・祝)13:30 18:00 東京文化会館問 日本バレエ協会03-5437-0372 http://www.j-b-a.or.jp日本バレエ協会『眠れる森の美女』スペシャリストたちの美技で楽しむ古典バレエの名作文:渡辺真弓『眠れる森の美女』より(2009年) 撮影:スタッフ・テス ペローの童話によるバレエ『眠れる森の美女』は、チャイコフスキー三大バレエの中でも最も豪華絢爛な大作である。主役のオーロラ姫とデジレ王子をはじめ、数多くの主役級ソリストが美技を競い、古典バレエの醍醐味を満喫させてくれるからだ。日本バレエ協会では7年ぶりにこの名作を上演する。演出は定評あるセルゲイエフ版。全国的に幅広い人材ネットワークを誇る協会だが、今回は新国立劇場バレエ団のプリンシパル級を客演に迎え、充実したキャスティングが大きな見どころとなるだろう。主役のオーロラ姫とデジレ王子は、酒井はな&奥村康祐、松岡梨絵&橋本直樹、小野絢子&福岡雄大という名実ともに日本を代表する魅力のトリプル・キャスト。さらにカラボスにはマルチ・アーティストの西島数博、フロリナ王女に昨年の国内舞踊コンクール優勝の塩谷綾菜と今井沙耶、青い鳥にNBAバレエ団の高橋真之を抜擢するなど、新鮮な話題にもこと欠かない。3/16(水)~3/21(月・休) P3 art and environment問 ダンスアンドエンヴァイロメント070-6500-7242 http://monochromecircus.comMonochrome Circus × graf × Toru YAMANAKA『TROPE 3.0 家具と身体の問答』見慣れた生活空間がスリリングに変貌文:竹田真理Photo:下村康典 京都のMonochrome Circus(モノクロームサーカス)は国際ワークショップフェスティバル「京都の暑い夏」を主催するなど、技術の習得に高い意識をもつカンパニー。コンタクト・インプロヴィゼーションの実践でも知られ、応用したレパートリーも多い。その彼らが家具とのコンタクトにより生み出した話題作。2011年の京都初演ではダンスを超えた各方面から関心を呼び、2年後の再演では7日間9公演のロングランを敢行。今回シリーズ初の東京公演を迎える。 家具の製作は大阪のクリエイティブ集団「graf」。「暮らしのための構造」を旨に機能をシンプルに削ぎ落とし、脚のないテーブルなど未完の部位を残している。これに触発されるダンサーの身体感覚が内在する情報を読み取り、機智に富んだムーブメントを引き出していく。両者の深い対話はありがちなコラボレーションではなく「問答」。音楽は元ダムタイプの山中透。見慣れた生活空間が想像力に満ちた新鮮な風景へと開かれてゆくだろう。
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