eぶらあぼ 2016.3月号
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182SACDCDCDCDロマンス/宮本ミサモーツァルト:交響曲「リンツ」「プラハ」「ジュピター」他 /シューリヒト&パリ・オペラ座管NHK大河ドラマ『真田丸』オリジナル・サウンドトラック Ⅰ日本の歌を集めて2 ふるさとの/小松英典&塚田佳男ショパン:ピアノ協奏曲第1番第2楽章より「ロマンス」(バラキレフ編)、ピアノ協奏曲 第2番第2楽章より「ラルゲット」(ワイルド編)、夜想曲第20番、マズルカop.68-4、前奏曲第15番「雨だれ」/リスト:コンソレーション第3番/ラフマニノフ:楽興の時宮本ミサ(ピアノ)モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」・第38番「プラハ」・第40番・第41番「ジュピター」カール・シューリヒト(指揮)パリ・オペラ座管弦楽団下野竜也(指揮)三浦文彰(ヴァイオリン)辻井伸行(ピアノ)NHK交響楽団 他山田耕筰:秋風の歌、青い小鳥、この道/越谷達之助:初恋/平井康三郎:ふるさとの、月/大中恩:五つの抒情歌(その1)/木下牧子:さびしいカシの木/小林秀雄:落葉松/武満徹:小さな空 他小松英典(バリトン)塚田佳男(ピアノ)オクタヴィア・レコードOVCT-00119 ¥3000+税日本コロムビア/TOWER RECORDSTWSA-1005~6(2枚組) ¥4000+税エイベックス・クラシックスAVCL-25888 ¥3000+税コジマ録音ALCD-9156 ¥2800+税表現したい世界観をはっきりと心に抱いている——ピアニスト宮本ミサのデビューアルバムからは、それが明確に伝わる。ショパンの協奏曲第1番の第2楽章をバラキレフが独奏用に書き下ろした「ロマンス」は、聴く者に癒しと覚醒を与える。音色は優しく力強く、呼吸は深く柔らかい。聴き手にも深呼吸を促すような音楽の流れは、協奏曲第2番緩徐楽章の独奏版(ワイルド編)、リストの「コンソレーション」、ラフマニノフの「楽興の時」へと続く。降り注ぐ光のような高音、低音の間合いのすべてが、動物愛護活動家でもある宮本の温かなメッセージとなって届けられる。 (飯田有抄)名指揮者シューリヒトが「コンサートホール」レーベルに遺した録音が、見違えるような音質で甦った。1960年代収録のモーツァルト集は、オケのアンサンブルは良好とは言えないが、それを補って余りある魅力と内容を誇る。評価の高い38番の演奏はやはりすばらしく、特に第1楽章主部は輝きと生命力に満ち、何度聴いても幸福になる名演。36番第1楽章は後のピリオド奏法団体顔負けの超高速で轟然と進む快(怪)演、40番や41番での全パートに熱い血の通う表現も充実感満点。4曲とも緩急・強弱・音色、いずれも変幻自在、全ての瞬間がニュアンス豊かで、巨匠の天才的な芸と技が堪能できる。(林 昌英)服部隆之がNHK「大河ドラマ」の音楽を手掛けるのは、同じ三谷幸喜脚本『新選組!』(2004年)以来、2度目。前回はオープニングでは珍しい歌詞パートが話題を呼んだが、今回のテーマ曲では新星・三浦文彰のヴァイオリン・ソロをフィーチャー。戦国時代最後の名将・真田幸村(信繁)の躍動感と孤独な心境を鋭く描き出している。サントラ全体も従来の「大河」にありがちな絢爛豪華サウンドとは一線を画し、無骨で土臭く時にコミカルな、生身の人間の匂い漂う雰囲気に仕上がっているのも印象的。番組「紀行」の音楽に起用された、辻井伸行によるピアノ演奏も聴きどころ。(東端哲也)小松英典の日本の歌第2弾。昨夏リリースの第1作には歌謡曲など多ジャンルが収録されていたが、今回はいわゆる芸術歌曲のレパートリー。「ふるさとの」という副題が示すように、詞も音楽も、懐かしい記憶をたぐるような作品を中心に構成されている。CD冒頭から、聴くほどに、自然に小松の歌の世界に引き込まれていくわけだが、ちょうどそのタイミングを見透かすかのように置かれた、自由なテンポで歌われる越谷達之助「初恋」には、素直に持っていかれた。お見事。現在このジャンルの第一人者と言って間違いない、塚田佳男の丁寧なフォローにも深く耳を傾けたい。(宮本 明)
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