eぶらあぼ 2016.2月号
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61第9回 トッパン チャリティーコンサートクラシック音楽で「識字能力の向上」に貢献文:長井進之介仲道郁代 3/10(木)19:00 吉田恭子 3/12(土)14:00トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222http://www.toppan.co.jp/charityconcert創業以来、印刷事業を中心に情報・文化の発展に寄与してきた凸版印刷株式会社。印刷博物館やトッパンホールを軸とした社会文化貢献活動をはじめ、企業の社会的責任を果たすために幅広い活動を展開し、2006年には国連が提唱する「グローバル・コンパクト」への参加・支持を表明。よりグローバルな視点に立った活動を行う中で、国際社会の課題である「識字」に着目し、「識字能力の向上」を支援するチャリティーコンサート(寄附金が主にアジアの途上国における識字教育支援に役立てられる)を08年より開催している。 第9回となる今回は、ピアノの仲道郁代(3/10)、ヴァイオリンの吉田恭子(3/12)(共演:鈴木慎崇/ピアノ)が出演する2公演を開催。両者は共に幅広い演奏活動、メディアへの出演と共に、近年ではチャリティーやアウトリーチの活動にも力を入れており、この企画にこれ以上ない適任者だ。極上の響きをゆったりとした空間で堪能できるトッパンホールで、仲道はショパンの「バラード第1番」をはじめ、「別れの曲」や「革命」といった練習曲、リストの「メフィスト・ワルツ第1番」やベートーヴェンの「月光」ソナタなど、物語性の強い作品を演奏。彼女の抒情的な音楽性を最大限に活かした選曲だ。吉田も「ツィゴイネルワイゼン」や「チャールダッシュ」といった情熱的な作品や、「タイスの瞑想曲」やベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ「春」といった情感豊かな作品を選曲。彼女の幅広い表現力を堪能できることであろう。仲道郁代 ©Kiyotaka Saito吉田恭子 ©岩切 等ペーター・レーゼル(ピアノ)のバッハ、そしてモーツァルト巨匠が“原点”に立ち返る文:飯田有抄5/11(水)19:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp1/23(土)発売 自らの音楽的なルーツとピアノ音楽の歩みを辿るようにして、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲(2008~11年)、ドイツ・ロマン派の多彩な作品群(12~14年)、そしてモーツァルトのピアノ協奏曲(13年~)に取り組んできたドイツの巨匠ペーター・レーゼル。 5月11日、2年ぶりに紀尾井ホールで開かれるリサイタルにおいて、彼がいよいよバッハを聴かせてくれる。曲目は「イタリア協奏曲」と、「パルティータ第4番ニ長調」。二段鍵盤のチェンバロを想定した前者はその名のとおり、イタリア風の華やかな作品。後者はフランス風の序曲に始まるピアニスティックな技巧が光る組曲だ。多声部による音楽の立体感を余すところなく伝えるレーゼルのタッチが、バッハの鍵盤楽曲の傑作をいかに構築し、2作の曲想の違いをいかにプレゼンテーションしてくれるのか、じっくりと耳を傾けたい。 後半は、上述のとおりレーゼルが近年協奏曲の録音プロジェクトを進めてきたモーツァルトのソロ作品。「ピアノ・ソナタニ長調 K576」は、モーツァルトが完成させた最後のソナタ。そして対で演奏されることの多い「幻想曲 K475」および「ソナタ K457」は、モーツァルトには珍しい短調の作品。幻想曲が自由な展開によって伝える重苦しさや夢見るような甘さ、ハ短調のソナタが織りなすシリアスな世界観を、レーゼルの正統的でありながら瑞々しい演奏が、明確な輪郭をもって届けてくれることだろう。Photo:Takehiro Yamano
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