eぶらあぼ 2016.2月号
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48日本フィル in Kyusyu 2016 第41回九州公演実力者が渾身で臨む、九州ツアー文:柴田克彦2/5(金)~2/17(水)大分、唐津、福岡、長崎、佐賀、北九州、大牟田、熊本、鹿児島、宮崎※九州公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認くださいhttp://www.japanphil.or.jp 40年間継続しているとは本当に凄い。日本フィルが2月に第41回九州公演を行う。指揮は快進撃を続ける下野竜也、ソリストは実力・人気を兼ね備えた小山実稚恵(ピアノ)と宮田大(チェロ)。中でも10年ぶり2回目登場の下野は鹿児島出身で、学生時代は「日本フィルの公演を楽しみにしていた」(九州公演の記者会見より/以下同)だけに、思いのこもった演奏が期待される。 「過去5年のツアーで取り上げていない名曲(下野)」から周到に選ばれたプログラムは2つ。 まずは、グリンカ《ルスランとリュドミラ》序曲、ラフマニノフが十八番の小山の中でも「一番付き合った期間が長い」ピアノ協奏曲第2番、「鹿児島大学時代に取り上げた曲で、近年日本フィルがラザレフのもとで成果を上げている作曲家(下野)」ショスタコーヴィチの交響曲第5番が並んだ“ロシア・プログラム”。ショスタコのシリアスな高揚感はもちろん、雄大かつ繊細でロマンあふれる小山のラフマニノフは必聴だ。 もう1つは、モーツァルト《フィガロの結婚》序曲、宮田が「沢山思い出があり、チェロで歌う曲」と語る、同楽器の大看板であるドヴォルザークの協奏曲、「ブラームスの性格が実は明るくて朗らかであるのが見え隠れする(下野)」交響曲第2番という“中欧プログラム”。こちらは下野の濃密な表現と、チェロ界のホープの妙技や清新な歌心に耳を傾けたい。 ソリスト2人が口を揃えて「演奏は会場の響きや雰囲気で毎回変わる」と話すように、7県10公演の複数鑑賞も一興。パッションと堅牢さを相もつ下野&常に全力投球の日本フィルがおくる白熱のライヴに、ぜひ足を運ぼう!宮田 大小山実稚恵 ©ND CHOW下野竜也 ©Naoya Yamaguchiジョージ・リー(ピアノ)卓越した技術と表現力を持つ新星、初来日!文:飯田有抄6/6(月)19:00 浜離宮朝日ホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp 1/31(日)発売 最高峰の国際コンクールで上位入賞を果たすピアニストたちは、卓越した技術なり表現力なりを持ち合わせているのはもちろんのこと、どんな大舞台でも「その人」にしか作りだせない音楽のうねりを堂々と生み出し、聴き手を魅了する強い引力を備えている。アメリカはボストン生まれのジョージ・リーも、間違いなくそうしたエネルギーに恵まれた一人である。昨年の第15回チャイコフスキー国際コンクールにおいて、シルヴァー・メダリストに輝いた20歳のピアニストだ。すでに名が知られており有力視されていたピアニストたちが次々と落選していく中、目映い光を放つ奏者たちが鎬を削った。そんな中、最終ラウンドでも輝くような音色で、凛々しさと軽やかさに溢れたチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を弾ききったジョージ・リー。彼の演奏をインターネット中継で耳にした人も多いことだろう。 コンクール後は、数多のオーケストラとの共演やリサイタル、そして音楽祭出演などで忙しいリーだが、日本においても6月にデビュー公演を行うべく初来日する。聴かせるのは、ピアニストの力量を遺憾なく伝えるショパンのソナタ第2番「葬送」、シューマンの「アベッグ変奏曲」、リストの「ハンガリー狂詩曲第2番」を中心としたプログラム。コンクールの熱気とはまたひと味違ったステージで、若き才能が真摯にその音楽を紡ぎ出すコンサートに、期待をもって駆けつけたい。©Christian Steiner

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