eぶらあぼ 2016.2月号
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43ユーリ・バシュメット(指揮/ヴィオラ) & モスクワ・ソロイスツチャイコフスキーに聴く“人生の思い出”文:オヤマダアツシ第88回 N響オーチャード定期新時代の星が熱く照らす望郷の名作文:柴田克彦6/9(木)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp 1/31(日)発売他公演6/5(日)宗像ユリックス(0940-37-1483)、6/6(月)小金井 宮地楽器ホール(武蔵野文化事業団0422-54-2011)、6/10(金)いずみホール(06-6944-1188)3/5(土)15:30 Bunkamuraオーチャードホール問 Bunkamuraチケットセンター03-3477-9999 http://www.bunkamura.co.jp 深みのある個性的なヴィオラの音色で多くの音楽ファンを唸らせていたユーリ・バシュメットが、「モスクワ・ソロイスツ」という合奏団を組織し、リーダーとしてさらに雄弁な活動をスタートさせたのが1992年のこと。その真価は来日公演や多くのCDなどで証明され、チャイコフスキーやショスタコーヴィチほかのスタンダード作品に新しい命を与えたのはもちろん、シュニトケほかの斬新な作品も紹介してくれた功績は大きい。 結成24年となる2016年の来日公演では、彼らがまさに自身の“血”で感じることができるであろうチャイコフスキーの「フィレンツェの思い出」(弦楽合奏)と「アンダンテ・カンタービレ」(ヴィオラと弦楽)を演奏。さらにはマーラーが弦楽合奏のために編曲したシューベルトの弦楽四重奏曲「死と乙女」も加わり、このアンサンブルが熟成させてきた豊かな音色を心ゆくまで堪能できるだろう。 さらに今回は、2015年の「チャイコフ また新しい才能が姿を現わす。3月のN響オーチャード定期を振るのは、日本初登場のスタニスラフ・コチャノフスキー。ドゥダメルと同じ1981年生まれ。サンクトペテルブルク出身、ロシア音楽界期待の星である。当地の音楽院で学んだ彼は、2007年から地元のミハイロフスキー劇場で活躍し、60公演ものオペラやバレエを指揮。その後マリインスキー劇場にも進出し、10年にサフォノフ・フィルの首席指揮者に就任した。13年には白夜祭にもデビュー。すでにサンクトペテルブルク・フィル、サンタチェチーリア国立管、フランクフルト放送響などの世界的楽団に客演し、配信されている動画では、的確なタクトで濃密かつエネルギーに充ちた演奏を展開しているから、期待値は相当高い。 今回彼は、常道と思えるロシアものではなく、「オール・ドヴォルザーク・プログラム」で臨む。しかもチェロ協奏曲と交響曲第9番「新世界より」の2大看板。スキー国際コンクール」でピアノ部門の第1位を獲得したドミトリー・マスレエフがソリストとして登場(一部の公演を除く)。実はコンクール直後、15年8月に来日してPMFオーケストラと共演してこれも自信の表れといえるだろう。チェロは同じ1981年英国生まれのガイ・ジョンストン。米英で学び、00年にBBCヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた彼は、ロンドン・フィル、BBCフィル、バーミンガム市響、大阪フィルなどと共演し、プロムス・デビューでも注目を集めた。気品を湛えながらも濃厚な彼のチェロで聴く名協奏曲も大いに楽しみだ。 パーヴォ・ヤルヴィの着任以来さらに充実を極めるN響の演奏で、旋律美に満ちたドヴォルザークの2大傑作を聴けいるのだが、早くも再来日が実現。音楽性がストレートに伝わってくるであろうJ.S.バッハ「ピアノ協奏曲第1番」を演奏するので、一刻も早く若き覇者の演奏を聴きたいという方には朗報だろう。るなら、これだけでも足を運ぶ甲斐はある。ここは土曜午後の渋谷で幸せな気分に浸ろう!モスクワ・ソロイスツ ユーリ・バシュメット ©Oleg Nachinkinガイ・ジョンストン ©Ben Wrightスタニスラフ・コチャノフスキー ©Rabovsky

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