eぶらあぼ 2016.2月号
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34©Dario Acosta東京春祭 歌曲シリーズ vol.17 タラ・エロート(メゾソプラノ)3/25(金)19:00 東京文化会館(小)問 東京・春・音楽祭チケットサービス03-3322-9966 http://www.tokyo-harusai.comタラ・エロート(メゾソプラノ)リサイタルを一つのストーリーとして表現したい取材・文:小林伸太郎Interview この3月、東京・春・音楽祭で日本デビューするタラ・エロートは、今世界で一番注目されているメゾソプラノの一人である。1986年にアイルランドのダブリンで生まれた彼女は、21歳のときにバイエルン国立歌劇場の研修所メンバーとなって以来、ミュンヘンを拠点としている。現在は、同歌劇場専属となって6シーズン目となる。 最初に彼女が世界的注目を浴びたのは、2011年にバイエルン国立歌劇場の《カプレーティとモンテッキ》に、わずか5日間でロメオ役を学んで出演した時だろうか。ここのところオペラでは、《チェネレントラ》表題役などのロッシーニや、モーツァルトの諸役での活躍が目立つ。高音も伸びやかで自由な彼女、今シーズンは《コジ・ファン・トゥッテ》デスピーナ役でのデビューを既に果たし、6月には《フィガロの結婚》スザンナ役も初めて歌う。 「ミュンヘンは、素晴らしいところです。私のような若い歌手の成長を長い目で見ながら応援してくれる、温かさがあります」 数年前にキャリアの3分の1をリサイタルに取り組む時間と決めた彼女、日本デビューも歌曲リサイタルで飾る。去る12月初旬にカーネギー・ホールで歌ったプログラムを基本に、東京でも歌うという。 「歌いたい曲が沢山あって、レパートリー選びにはいつも苦労します。そこで最初に作曲家を選び、それから曲を選びました。R.シュトラウスは、今の私にとても合っていると思うので、歌わなくてはと思いました。ブラームスは大好きなので、どうしても入れたかったのです。それから、ミュンヘンで研鑽を積んでいますし、今の私のスペシャリティーはドイツ語だと思うことも、二人を選んだ理由の一つです」 リサイタル全体で「一人のキャラクターが積む人生経験を伝えたい」という彼女。今回は前半でリストの曲を歌うが、これらは音楽的なバランスとともに、全体の“ストーリーテリング”という意味でも、後半のブラームスとシュトラウスとぴったりなのだという。 「“ストーリーテリング”は、アイルランド文化の奥深くに根ざしています。アイルランド人なら、詩人であれ、歌手であれ、誰もがストーリーを伝える能力を持っているのです。ストーリーを伝えることによって、人を幸せにする。それを私は歌を通じてできることに、深く感謝しています」 彼女自身は今回が初来日であるが、実は妹さんが東京に留学していたことがあったという。 「妹は、日本で素晴らしい経験をしたみたいです。今回、思いがけない形で日本にお礼をする機会ができて、とても嬉しく思っています」2/16(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 http://www.operacity.jp東京オペラシティ Bビー・トゥー・シー→C 尾池亜美(ヴァイオリン)さまざまな“対比”を愉しむプログラム文:東端哲也 J.S.バッハ(Bach)から現代音楽(Con temporary)を並べた、東京オペラシティの人気リサイタル・シリーズ『B→C』に期待のヴァイオリニスト、尾池亜美が登場。これまで、フランスの至宝ジェラール・プーレやハイフェッツの愛弟子といわれるピエール・アモイヤルら多くの師に学び、現在は日本とオーストリアを行き来しつつグラーツ芸術大学で研鑽を積んでいる。プログラムへのこだわりと探究心には定評があるだけに、今回の選曲にも注目だ。 尾池は『B→C』のコンセプトを踏まえた上で「さまざまな“対比”をくっきりとさせる」べく、相反する要素を配置した。すなわち、「邦人の現代音楽 vs 欧州の古典」、「“得意な曲”(ルクーやタルティーニなど) vs “初挑戦の曲”(池辺晋一郎『ファンタジー』やバッハのソナタなど)」、「共演が佐野隆哉のピアノ(前半)vs 桒形(くわがた)亜樹子のチェンバロ(後半)」といった具合に。また、休憩中にはロビーやステージで「能動的三分間」と題した即興演奏も予定しているという。これは何とも楽しみだ!
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