eぶらあぼ 2016.2月号
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32ローマ・イタリア歌劇団 《ラ・ボエーム》若さと美貌に恵まれたディーヴァにときめく文:山田治生シルヴァン・カンブルラン(指揮) 読売日本交響楽団“夜の調べ”にゆったりと浸る文:飯尾洋一6/30(木)18:30 府中の森芸術劇場 どりーむホール問 チケットふちゅう042-333-99997/2(土)16:00、7/3(日)15:00 東京文化会館問 コンサート・ドアーズ03-3544-4577 http://www.concertdoors.com第555回 定期演奏会2/12(金)19:00 サントリーホール第184回 東京芸術劇場マチネーシリーズ2/14(日)14:00 東京芸術劇場コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp ヴェルディの《椿姫》と並ぶイタリア・オペラの人気作、プッチーニの《ラ・ボエーム》が、イタリアのスポレート歌劇場を中心にボローニャ歌劇場やローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団のメンバーも加わって編成されたローマ・イタリア歌劇団によって上演される。 〈私はミミと呼ばれているの〉や〈さようなら〉などの名アリアを歌うヒロインのお針子ミミは、アバド、シャイー、チョン・ミョンフンら名指揮者にその才能を高く評価されてきた、カルメラ・レミージョが演じる。若々しさと美貌に恵まれた、今やイタリアを代表する名ソプラノである。その他、ロドルフォにジュゼッペ・ディ・ステファノ、ムゼッタにサビーナ・コルテーゼ、マルチェッロにコスタンティーノ・フィヌッチ、コッリーネにエウジェニオ・ディ・リエト、ショナールにトンマーゾ・バレアらが出演。イタリアの若手歌手の登竜門である声楽コンクールで著名なスポレートらしい人選であり、パリのカルチェラタンの屋根裏部屋に 毎回、意欲的なプログラムを聴かせてくれるシルヴァン・カンブルランと読響。このコンビが2月に披露するのは、マーラーの交響曲第7番「夜の歌」とモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(=小さな夜の音楽)を組み合わせた、「夜曲」のプログラム。なるほど、その手があったかと思わされる。 モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」はだれもが耳にしているだろう超名曲であるが、ここでいう「ナハトムジーク」が意味するのは、天文現象としての夜ではなく、セレナード(ノットゥルノ)と考えるべきだろう。元来は戸外で恋人のために演奏する曲であったセレナードが、やがてさまざまな編成による多楽章の作品のために使われる言葉となった。モーツァルトのこの作品も、あたかも交響曲のような4楽章構成を持つが、本来5楽章構成で書かれた作品から第2楽章が消失して、現行の形になっていることが知られている。住む若い芸術家たちの青春群像劇である《ラ・ボエーム》にふさわしいキャスティングといえよう。 指揮はイタリア出身でオペラを中心に国際的に活躍するカルロ・パッレス この「交響曲のような外観を持っているけれど、本当はセレナード」という図式は、マーラーの全5楽章からなる交響曲第7番「夜の歌」にもあてはまるのではないだろうか。第2楽章と第4楽章に「夜曲」を持ち、交響曲のパロディのような性格も垣間見える問題作を、どうカンブルランが表現するか。読響との精妙なアンサンブルが、新たな発見をもたらしてくれることだろう。キ。演出はジョルジオ・ボンジョバンニ。舞台セットは、スカラ座の名舞台で知られるエルコーレ・ソルマーニの制作だ。“これぞイタリア・オペラ!”というべき上演が楽しめることであろう。カルメラ・レミージョジュゼッペ・ディ・ステファノサビーナ・コルテーゼシルヴァン・カンブルラン ©読響

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