eぶらあぼ 2016.2月号
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172SACDCDCDCDカレンダー組曲/千住 明ワルター・バリリ ドイツ・ポリドールSP全録音集/バリリ&シュナイダーハンマーラー:交響曲第6番『悲劇的』/インバル&都響J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ集/川本嘉子千住 明:カレンダー組曲(1月~12月 全12曲)千住 明(指揮)ワルシャワ・フィルハーモニー室内管弦楽団ヴィエニャフスキ:スケルツォ・タランテラ/パガニーニ:モーゼ幻想曲/ブラームス(ヨアヒム編):ハンガリー舞曲第5番/フィビヒ:詩曲/J.S.バッハ:シャコンヌ 他ワルター・バリリ(ヴァイオリン)ヴォルフガング・シュナイダーハン(ヴァイオリン)リッカルド・オドゥノポゾフ(ヴァイオリン) 他マーラー:交響曲第6番『悲劇的』エリアフ・インバル(指揮)東京都交響楽団J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第1番~第3番川本嘉子(ヴィオラ)中野振一郎(チェンバロ)エイベックス・クラシックスAVCL-25884 ¥2500+税*http://www.hitachi-systems.com/company/calendarクヮルテット・ハウス・ジャパン Ltd.QHJ-1011 ¥2000+税オクタヴィア・レコードOVXL-00090 ¥4000+税マイスター・ミュージックMM-3066 ¥3000+税近年、作曲・編曲・音楽プロデュースと多岐にわたってめざましい活躍を続けている千住明。最新アルバムは2015年から3年シリーズで「日立システムズ」の企業カレンダー用に、写真家・山梨勝弘の作品とのコラボから生まれた組曲を収録したもの(同社ウェブでは撮影地の情報や音楽コンセプトなども公開中*)。新春の夜明けを思わせる1月「SUNRISE」から、花開く桜を感じさせる4月「BLOOMING WORLD」、青春を謳歌するかのような8月「SUNFLOWER」、厳かな12月「HOLY NIGHT」と、季節を彩る穏やかな音楽が展開。様々な伝説を生んだワルシャワのホールで録音された響きも素敵だ。(東端哲也)20世紀中盤のウィーン・フィルの名コンサートマスター、バリリとシュナイダーハン。両者10代でのSP録音集で、ウィーン奏法の伝統を守る美音と卓越したテクニックが既に完成の域に入っていることに驚かされる。前者はポルタメントも品良く使って柔らかい表情、後者は端正な造形で明快な表現、個性の違いもよくわかる。現在94歳(1921年6月生)のバリリの回想も興味深い。シュナイダーハンと第1コンマスの座を争って破れたというオドゥノポゾフのシャコンヌも収められ、独特の艶と高い技巧で堂々たる名演。三者をまとめたことで、当時のウィーン・ヴァイオリン界の恐るべき水準が体感できる。(林 昌英)大絶賛を博したシリーズのワンポイント録音ヴァージョン。通常盤は2年前に2枚組で発売されており、今回1枚に収められたことで若干価格が下がっている。音は想像以上に素晴らしい。ワンポイント録音の特徴であるナチュラルな音場と空間性が極上の効果を発揮。各声部もすこぶる明瞭で、特に第4楽章のハンマーをはじめとする打楽器が映えている。演奏自体は、引き締まったテンポによる密度の濃い快演。細部まで息づいた表現や、都響の高い技量に改めて舌を巻く。演奏スタイルと録音の特性がマッチした本作は、生演奏指向の方にこそお勧めしたい。(柴田克彦)川本嘉子の2015年度東燃ゼネラル音楽賞奨励賞受賞を記念してのリリース。1990年代後半、他のバロック作品と組み合わせる形で2枚に分けて発表した、名手・中野との大バッハのガンバ・ソナタ全3曲を、リマスタリングの上で1枚に集成した。本来はガンバ属とは関連性の薄いヴィオラを用いながらも、バロック特有の語法を踏まえつつ、その豊かな語り口を存分に生かして“必然”を感じさせる快演。中野もしなやかな妙技で、これに応えている。わが国を代表する名手として、ソロに室内楽にと大活躍の川本。約20年前の録音ながら、ここに収められた早熟の煌めきは、決して色褪せることがない。(寺西 肇)

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