eぶらあぼ 2016.2月号
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170SACDCDCDCDプッチーニ:歌劇《トゥーランドット》/バッティストーニ&東京フィルマーラー:大地の歌/飯森範親&日本センチュリー響ラヴェル作品集/春口 巌&ヴィエナ・インストゥルメンツシューベルト/シューマン/ブラームス/澤 和樹&蓼沼恵美子プッチーニ:歌劇《トゥーランドット》アンドレア・バッティストーニ(指揮)ティツィアーナ・カルーソー(ソプラノ)カルロ・ヴェントレ(テノール)浜田理恵(ソプラノ)東京フィルハーモニー交響楽団新国立劇場合唱団 他マーラー:大地の歌飯森範親(指揮)福井 敬(テノール)与那城 敬(バリトン)日本センチュリー交響楽団ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲、ボレロ、ラ・ヴァルス、左手のためのピアノ協奏曲春口 巌(プログラミング)シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第1番、3つのロマンス/ブラームス:ヴィオラ・ソナタ第2番/シューベルト:ヴァイオリンとピアノのための幻想曲澤 和樹(ヴァイオリン/ヴィオラ)蓼沼恵美子(ピアノ)収録:2015.5/18、サントリーホール(ライヴ)日本コロムビア COGQ-85/6(2枚組) ¥3800+税収録:2015.4/10,4/11、ザ・シンフォニーホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00584 ¥3000+税ディスク クラシカ ジャパンDCJA-21030 ¥2500+税収録:2015.3/15、Hakuju Hall(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00582 ¥3000+税「オペラを超えるオペラ!」好録音盤の誕生だ。演奏会形式上演のライヴ録音。そこに華麗な装置や衣裳はない。が、これほどプッチーニの音楽の魅力を余すことなく伝える舞台があったろうか?正直に言おう。彼の音楽をこよなく愛する筆者だが、本作だけは長く理解できなかった。しかし、本公演に立ち会う幸運を得た筆者は、そこで生み出される音楽に取り憑かれ、それまでの認識を恥じ、熱い想いで会場を後にした。若きマエストロと、その意図を完全に表現しきったすべての演者に賛辞を贈るが、成功の影に、コーディネーター・演出家、菊池裕美子の存在があったことを書き添えたい。(唯野正彦)2014年4月から日本センチュリー響の首席指揮者に飯森範親が就いているが、同年末発売のブラームス全集に続き、就任一年後に行われた第200回定期がディスク化された。「大地の歌」は連作歌曲ともいうべきもので、管弦楽も全体に薄めに書かれているが、アンサンブルが細かく丁寧に組み立てられ、また録音が優れているのだろう、マーラーのオーケストレーションの持つ空間性もしっかりと再現されている。器にすっきりと歌を乗せ、声を殺さない演出だ。福井敬(テノール)と与那城敬(バリトン)の二人の“敬”が、伸び伸びと歌っている。長大な終楽章(告別)の結尾など、しみじみとした感興を呼び起こす。(江藤光紀)「打ち込みじゃないんだから」と、表情に乏しい楽器演奏を評した経験があるが、認識を改めるべきだろう。名手たちの音色をサンプリングしたソフト「ヴィエナ・インストゥルメンツ」を使い、20段スコアに詰め込まれた音符一つひとつにニュアンス付けしてゆく膨大な作業の末に構築された、響きの世界がもたらす衝撃は大。「ダフニス」冒頭のさざめきをはじめ、特に弱音部の表情の豊かさには唸らされる。そう、もはや“制作”ではなく、“演奏”と呼ぶべきなのだ。楽譜管理のためと割り切り、フロッピーの時代からDTMを利用して来た身にも、深い感慨を抱かせるに十分な1枚であった。(寺西 肇)澤和樹は真の名手である。フレージングと造形が実に端正で、恣意的なものが一切介入しない。そして深い歌と美しい音がある。これはシューマンの冒頭から明らかだが、ヴィオラも善くする澤が弾く2曲目のブラームスでのヴィオラの音の美しさはいかばかりのものか。そして最後のシューベルトでは、晩年のシューベルトの特異な息の長い楽想による、ある種の非現実的で浮世離れした独特の世界を全く緊張の糸が途切れることなく見事に音化している。技術的に優れているだけではシューベルトはどうにもならないが、ここには技術も内実も卓越した真の音楽がある。蓼沼のピアノも非の打ち所なし。(藤原 聡)

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