eぶらあぼ 2016.1月号
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70黒田大介アントネッロ「オペラ・フレスカ」 カッチーニ:歌劇《エウリディーチェ》オペラ最初期に書かれた“もう一つのエウリディーチェ”に挑む文:寺西 肇ビルボード クラシックス ザイラーピアノデュオ グランドコンサート2016ブラームスとその周辺に光りを当てる文:笹田和人2016.1/23(土)17:00 川口総合文化センター・リリア 音楽ホール問 リリア・チケットセンター048-254-9900 http://www.anthonello.com2016.1/9(土)15:00 兵庫県立芸術文化センター(小)問 大阪アーティスト協会06-6135-05032016.3/6(日)14:00 京都コンサートホール問 エラート音楽事務所075-751-06172016.3/26(土)14:00 よみうり大手町ホール問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 http://www.billboard-cc.com コルネットとリコーダーの達人・濱田芳通が率いる古楽集団「アントネッロ」が展開するバロック・オペラ・プロジェクト「オペラ・フレスカ」。モンテヴェルディの三大作品に続く第4弾では、イタリアのルネサンス末期からバロック初期を生きたジューリオ・カッチーニの歌劇《エウリディーチェ》(本邦初演)を取り上げる。1600年12月に発表された本作は、出版譜としては最古のオペラ作品。濱田やカウンターテナーの彌勒忠史ら、名手たちの躍動感と生命力によって、現代に新たな生命を得る。 上演された最古のオペラとしては、1600年10月にフィレンツェで上演されたヤコポ・ペーリ作曲の《エウリディーチェ》が知られているが、後輩による上演を快く思わなかったカッチーニが、同じ台本で“競作”し、先んじて出版したのが本作。この後も、グルックらによって何度もオペラ化を繰り返されることとなるギリシャ神話に基づく物語は、妻エウリディー 45年もの長きにわたり、国際的な演奏活動を通じて、4手連弾の魅力と奥深さを聴衆へ伝え続けている、エルンストとカズコ夫妻による「ザイラーピアノデュオ」。ブラームス没後120周年となる2016年、音楽史の謎へと迫る『ブラームス×マルクス 光と影の旋律』と題したコンサートを東西3ヵ所で開く。 京都府中部・胡麻の郷にある「かやぶき音楽堂」を拠点とした、自然と音楽が一体となる“晴耕雨奏”のライフスタイルも、広く人々の共感を得ているザイラー夫妻。全国津々浦々、時にホールの無い地域にも精力的に赴いて、廃校や寺でコンサートを行うなど生の音楽を届ける一方、未出版や絶版のピアノ・デュオ作品の蘇演にも力を注いでいる。 今回のステージでは、「G.W.マルクス」の名で1852年に出版した知られざる曲集「ロシアの思い出」からの数曲や、有名な「愛の歌」などブラームスの作品を軸に。その憧れの存在であっチェを追って黄泉の国へと向かう、英雄オルフェオの愛の喪失と復活を描く。 キャストには、舞台回しの役割を担う“悲劇”を演じる彌勒をはじめ、高山潤子(エウリディーチェ)、黒田大介(オルフェオ)ら実力派歌手たちが集結。さらに、簡素かつオーソドックスな家田淳たクララ・シューマン最後の作品「行進曲」の本邦初演、彼女やブラームスとも親交のあったテオドール・キルヒナー(1823~1903)の「12の小品」、やはりブラームスが高く実力を評価したドヴォルザークの「ボヘミアの森」からの抜粋も披露する。 「クララ・シューマンやキルヒナーの作品は、スイス在住の楽譜コレクターの友人が、私たちのもとへ送ってくれたものです」とカズコ。「ブラームスがマルクスと名乗って出版した“謎の曲”による演出や、「アントネッロ」の器楽陣も、濵田の指揮のもとで一体となり、「作品が生まれた時のスピリット」をステージ上で蘇らせると共に、しなやかな感性で、作品から鮮烈な躍動感を引き出してゆく。今回もまた、「初演時もかくや」という衝撃体験が、お約束できよう。などと併せて、魅惑的で心に深く響く、数々の作品を演奏いたします。ご来場をお待ちしています」と語る。高山潤子彌勒忠史濱田芳通

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