eぶらあぼ 2016.1月号
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60ラドミル・エリシュカ(指揮) 札幌交響楽団 東京公演2016エリシュカ&札響のコンビ、遂に東京に登場!文:山田治生2016.3/8(火)19:00 サントリーホール問 カジモト・イープラス0570-06-9960同一プログラムの他公演第587回定期演奏会2016.3/4(金)19:00、3/5(土)14:00 札幌コンサートホールKitara問 札幌交響楽団011-520-1771 http://www.sso.or.jp チェコ指揮界の重鎮でありながら、長く国内での演奏活動が中心で旧西側諸国ではその実力が知られていなかったラドミル・エリシュカ。2006年の札幌交響楽団と大阪センチュリー交響楽団(現・日本センチュリー交響楽団)への客演で大きな成功を収めて、日本でも注目されるようになった。08年には早速、札響の首席客演指揮者に就任。その後、NHK交響楽団や東京都交響楽団とも共演した。札響とはドヴォルザークの交響曲第5番から第9番までをライヴ録音するなど強い信頼関係を築き、15年からは名誉指揮者のポストにある。 そんなエリシュカ&札響のコンビが東京に初登場する。プログラムは、前半がエリシュカの故郷チェコの音楽、後半が彼の得意とするチャイコフスキーである。スメタナの連作交響詩「わが祖国」はN響定期でも名演を残した彼の十八番といえるレパートリー。今回は「シャールカ」だけだが、とても楽しみである。ドヴォルザーク「弦楽セレナード」では札響の弦楽セクションの美しさを際立たせ、チャイコフスキーの交響曲第4番ではかつての東欧の“きっちり”とした音楽が聴けそうである。 今回の札響東京公演は1931年生まれのマエストロの至芸を堪能する良いチャンスとなるであろう。札響は、長く尾高忠明に率いられて大きな進化を遂げたが、2015年春に、尾高が音楽監督の任を離れ、ドイツの名匠マックス・ポンマーが首席指揮者に就任した。札響がどのように変わったのかも注目される。ラドミル・エリシュカ Photo:佐藤雅英鈴木秀美(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団重要なのは作曲家の響きの意図を明らかにすること文:笹田和人第294回 定期演奏会2016.1/16(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp 創立40周年の節目を迎えた東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団にとって、新たな扉を開くステージとなろう。世界的なバロック・チェロの名手として活躍を続ける一方、自ら主宰するオリジナル楽器によるオーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)をはじめ、数々の一線楽団に客演、近年は指揮者としても知られる鈴木秀美が、東京シティ・フィルの指揮台へ初めて登場。シューベルトの傑作交響曲である、第8番「ザ・グレイト」に挑む。 「雄大な叙事詩のような規模の大きさと、そこここに現れる、歌曲のように親密な雰囲気とのバランスが絶妙な作品」と、この作品を評する鈴木。「特に両端楽章の執拗な繰り返しには疲れるかもしれませんが、聴くうちに、必要な理由が分かると思います。そして、2つの中間楽章の魅力を言葉で表すことは難しい。ただ、彼にこんな音楽を書かせたものは何か。時の流れとは。人が生きるとは。様々に思い巡らされます」と語る。 今回は、さらに、鈴木がOLCと精力的に取り組んでいるハイドンの交響曲の中から、第103番「太鼓連打」を併せて披露。「オリジナル楽器でも、モダン楽器でも、基本的に目指すことは同じ。作曲家の響きの意図を、明らかにすることが重要です。時と場合によって、少し方法やバランスが異なることはあり得ますが、求めようとするイメージや音像が変わるわけではありません」。 東京シティ・フィルとの“化学反応”によって描き出される、鮮烈な作品像。体感しない手はあるまい。鈴木秀美 ©K.Miura

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