eぶらあぼ 2016.1月号
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56秋山和慶(指揮) 東京交響楽団リズミックで躍動感溢れる名作を集めて文:江藤光紀トーマス・ダウスゴー(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団“伝説”を生んだ名匠の実像に迫る文:オヤマダアツシ第637回 定期演奏会2016.1/16(土)18:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp#552定期演奏会2016.1/22(金)19:15、1/23(土)14:00 すみだトリフォニーホール#553定期演奏会2016.1/27(水)19:15 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp 2015年2月の公演で指揮者生活50周年を祝った秋山和慶だが、正確なタクトさばきはそのままに、最近は趣味や好み(鉄道もの企画など)をストレートに反映させたプログラミングで聴き手を楽しませてくれている。『リズムは踊る』と題した東京交響楽団との1月定期も聴きどころ満載だ。ジャズやライト・テイストの作品上で二人のスーパー・ソリストを交差させるという、とにかく欲張りなプログラムなのだ。 コンサートはヒンデミットのシニカルな冗談といった風情の管弦楽曲「ラグタイム」で幕を開ける。続くケルシェック「トランペット・ダンス」のソリストを務めるマティアス・ヘフスは、ハンブルク国立歌劇場管のトランペッター。超絶技巧の持ち主で、2つのベルを持つダブルトランペットを自由自在に吹きこなす。ケルシェックはビック・バンドのアレンジや指揮を手掛けている作曲家で、肩の凝らない、そしてエキサイティングな音楽が聴けるだろう。 2012年に新日本フィルに客演し、古典的造形美を際立たせたシベリウスの交響曲第7番と、勇壮なニールセンの「不滅」交響曲を聴かせてくれたトーマス・ダウスゴー。母国デンマークの誇りであるニールセンほかを鮮烈な響きで聴かせ、聴衆からは称賛が、オーケストラからは再客演のリクエストが送られた結果、今回は2プログラムでの客演が実現した。 1月22&23日(すみだトリフォニーホール)は、そのニールセンとシベリウスの作品。「不滅」同様に立体的かつ雄大な音楽である交響曲第5番は、東京であってもなかなか実演で聴けない作品。シベリウスの「レンミンケイネン」(レンミンカイネン)組曲も、幻惑的な名作「トゥオネラの白鳥」を含む“もうひとつの交響曲”であり、力強い響きに圧倒される一夜になるだろう。 1月27日(サントリーホール)は、ダウスゴーの実像へと思いきり迫れる2曲 ショスタコーヴィチの「ピアノ協奏曲第1番」では、鋭いセンスを武器にクラシックとジャズの境界を軽やかに往還する小曽根真をソリストに招聘。この曲は弦楽合奏の他に独奏トランペットが配置されてピアノと火花を散らし、フィナーレでは絶頂に向かってピアニストをがんがんと煽り立てる。ヘフス を。モーツァルトの「ハフナー」交響曲は、彼がスウェーデン室内管と録音しているベートーヴェンやシューベルトの交響曲が頭をよぎり、切れ味の良い演奏が期待できそうな作品。そしてマーラーの交響曲第5番は、大編成を要するスコアをどう料理し、CDで聴かせるブラームスやシューマンなどのように私たちを驚かせてくれるのか興味が尽きない。より多くの聴衆がダウスゴーの真髄を体験できる作品でもあるため、新日本フィルとの幸福な再会には期待大だ。新しい“伝説”誕生の場に、ぜひ立ち会いたい。vs 小曽根—— 何かきな臭いことが起こりそうな異種格闘技戦ではないか。 締めには同じくショスタコーヴィチ「ジャズ組曲第2番」。ジャズとは言い条、マーチやワルツ、ポルカが並ぶ人を食った、しかしどこかお茶目な音楽だ。演奏会全篇に漲る秋山ワールドを共に楽しみたい。マティアス・ヘフス©Per Morten Abrahamsen小曽根 真 ©Yow Kobayashi Yamaha秋山和慶
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