eぶらあぼ 2016.1月号
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47ジャニーヌ・ヤンセン(ヴァイオリン) 大曲と小品で披露するオールマイティな魅力文:飯尾洋一有田正広(指揮) クラシカル・プレイヤーズ東京上原彩子が初めてフォルテピアノを演奏文:寺西 肇2016.2/17(水)19:00紀尾井ホール問 紀尾井ホールチケットセンター  03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp2016.2/6(土)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 http://www.geigeki.jp ラトル指揮ベルリン・フィルとの共演をはじめ、今シーズンも活発な活動を続けるオランダ生まれのヴァイオリニスト、ジャニーヌ・ヤンセン。この2月、紀尾井ホールで2012年以来となる待望のリサイタルを開く。 今回のリサイタルで目をひくのは、プログラミングの妙。前半がずしりとした聴きごたえを残す本格派プロ、後半がぐっとリラックスして楽しめる小品集といった構成になっている。 その前半に演奏されるのはブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番とバルトークのヴァイオリン・ソナタ第2番。晴朗で穏やかな曲調のブラームスと、モダニズムと民族主義が一体となったバルトーク、それぞれ作風はまったく異なるが、ともに内省的で真摯な手触りを持った作品である。 対して後半は、バルトークの「ルーマニア民俗舞曲」を入口に、クライスラー 古楽界の先駆者であり、近年はオリジナルとモダン双方の楽器の特性を生かしたマルチな活動を展開するフルートの有田正広が、指揮者として率いるオリジナル楽器オーケストラ、クラシカル・プレイヤーズ東京(CPT)。名手として国際的に活躍する上原彩子が、初めてフォルテピアノを披露するモーツァルトの協奏曲第17番をはじめ、メンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」や序曲「フィンガルの洞窟」と、今回のステージも野心的なラインナップへ挑む。 1989年に結成され、先鋭的な活動を展開した日本初の本格的オリジナル楽器による楽団「東京バッハ・モーツァルト・オーケストラ」を発展させ、2009年6月に組織されたCPT。古典派以降に焦点を当て、日本ではオリジナル楽器での演奏経験がなかった作品へ、果敢な挑戦を続けている。今回は、02年にチャイコフスキー国際コンクールを制した上原が、19世紀前半のルイ・デュルケン製作の楽器に基づくレプリカをの「ウィーン小行進曲」や「愛の悲しみ」、ファリャの歌劇《はかなき人生》第2幕から「スペイン舞曲第1番」(クライスラー編)、「7つのスペイン民謡」からの抜粋等、まるでアンコールを先取りするかのような親しみやすい小品が並ぶ。 一回の演奏会でジャニーヌ・ヤンセンの持つ多面的な魅力をすべて伝えようかとするような、意欲的なプログラムが実現した。ピアノは名手たちがこぞって共演者に選ぶイタマール・ゴラン。息の合ったところを聴かせてくれることだろう。駆り、モーツァルトの佳品を披露するのが、大きな話題に。 さらに、このステージがオリジナル楽器による日本初演となる「スコットランド」は、クリストファー・ホグウッドの校訂による、最終稿(1842年版)に基づくもの。さらに、有名な「フィンガルの洞窟」も、「ヘブリディーズ諸島」と題されていた、ローマ版第2稿(1830年)を採用する。聴き慣れたように思える名曲も、オリジナル楽器独特の響きを纏うことで、全く異なる印象を与えるはず。特にメンデルスゾーンのほの暗い楽想とは、絶妙に共鳴することだろう。©Decca/Sara Wilson上原彩子 ©三浦興一有田正広 ©Hikaru★

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