eぶらあぼ 2016.1月号
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びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 https://www.biwako-hall.or.jp/滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは、関西随一のオペラ劇場として、一流のオペラやバレエに加えコンサートも開催。また、国内外の実力派アーティストが充実したアンサンブルやソロも披露するほか、講座なども開催しています。このコーナーではびわ湖ホールで行われる注目公演をご紹介します。びわ湖ホールPreviewびわ湖ホール・神奈川県民ホール・iichiko総合文化センター・東京二期会・京都市交響楽団・神奈川フィルハーモニー管弦楽団・九州交響楽団共同制作びわ湖ホール プロデュースオペラワーグナー:歌劇《さまよえるオランダ人》(新制作)指揮:沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)演出:ミヒャエル・ハンペ 装置・衣裳:ヘニング・フォン・ギールケ合唱:二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部管弦楽:京都市交響楽団2016.3/5(土)、3/6(日)各日14:00 びわ湖ホール 大ホール他公演:2016.3/19(土)、3/20(日) 神奈川県民ホール 大ホール 指揮:沼尻竜典 管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団3/26(土) iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ 指揮:大勝秀也 管弦楽:九州交響楽団取材・文:東条碩夫のも大きな魅力だが、《さまよえるオランダ人》では、合唱も大活躍だ。第2幕での「糸紡ぎの合唱」、「水夫の合唱」など聴きどころが多いが、沼尻芸術監督は、「ココ! と言うなら、やはり全曲のクライマックスにあたる第3幕の船員同士の二重合唱の部分です」と言う。つまり、ノルウェー船の水夫たちと、幽霊船の水夫たちとの壮烈な応酬の合唱である。一般の上演では、幽霊船水夫の陰コーラスは、人員のやりくりの都合その他の理由から、録音での演奏となることも多いのだが、今回の上演では「全員が基本的にナマの声です! こんな贅沢は、今どきなかなかできないことですよ。新国立劇場、東京二期会、藤原歌劇団の3つの団体が協力して、最高の合唱を目指します」とのこと。 今回は、3幕切れ目なしの上演形式になるという。 「上演しやすさをも考慮して、各幕ごとに休憩を入れられるようにも書かれているわけですが、ワーグナー自身は一気に連続して上演する事を望んでいたと考えられるので、このような形としました。休憩があった方が、売店の売り上げも増えるのですけど、ここは作曲家の意思を優先しまして」 思えば昔、びわ湖ホール前芸術監督の若杉弘が1974年に東京二期会でこのオペラを「日本人による日本初演」した際にも、3幕連続演奏の方法が採られていたのだった。 沼尻芸術監督は言う——「今の僕は、ワーグナーやR.シュトラウスを指揮する時に、なんか特殊な脳内麻薬が分泌されるようです。ブルックナーやマーラーもね。多分この辺が自分と最もマッチするレパートリーなんだと思います。そして『ショスタコーヴィチと三善晃の毒』を死なない程度に時々あおり、毒消しにモーツァルトと武満。そして強烈に甘いものが食べたい時にプッチーニ。これが自分にとって今考えられる最高の指揮者生活ですかね」 びわ湖ホールで沼尻竜典芸術監督が取り上げるワーグナーの舞台作品は、《トリスタンとイゾルデ》《タンホイザー》《ワルキューレ》に続き、これが4作目になる。今回《さまよえるオランダ人》を選んだのは、「今まではやりたい順に上演して来たという感じでしたが、そろそろ戦略的に考えないといけなくなってきたので、今日上演されるワーグナー作品の最初期のものである《さまよえるオランダ人》を、私たちの劇場としてもまずやっておかなくてはと考えたから」ということであった。 そして今回迎えた演出家は、《タンホイザー》の舞台を任せたこともある正統的なスタイルの演出家ミヒャエル・ハンぺ。 「きちんと音楽をリスペクトし、テクストに即したハンペ氏のような演出が、今や世界的に『絶滅危惧種』となっている状態は残念なことです。彼の演出から受ける音楽的な示唆は、指揮者にとっても歌手にとっても成長の糧となり得ます」 ソリストにも青山貴、福井敬、横山恵子ら名手が集結する沼尻竜典(指揮/びわ湖ホール芸術監督)ワーグナー 歌劇《さまよえるオランダ人》〜作曲家の意思を尊重して3幕を一気に上演します!interview 出演     3/5(土)   3/6(日)オランダ人  青山 貴   ロバート・ボークダーラント   妻屋秀和   斉木健詞ゼンタ    橋爪ゆか   横山恵子エリック    福井 敬   樋口達哉マリー    小山由美   竹本節子舵手     清水徹太郎  高橋 淳

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