eぶらあぼ 2016.1月号
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247谷桃子バレエ団『眠れる森の美女』古典的名作を満を持して上演文:上野房子2016.1/15(金)~1/17(日) 東京文化会館問 谷桃子バレエ団03-3717-7806http://www.tanimomoko-ballet.comPhoto:Tetsuya Haneda 谷桃子バレエ団が新春公演で『眠れる森の美女』全幕を上演し、2016年の幕開けを飾る。 1949年の創設以来、初めてこの不朽の古典バレエを制作するにあたり、キーロフ・バレエ(現マリインスキー)の往年のプリマ、イリーナ・コルパコワを監修者に迎え、同じく元キーロフのエルダー・アリエフに改訂振付を託した。同団が2015年3月に『海賊』全幕を初上演した際にも指導にあたり、ダンサーの資質を熟知したコンビである。ロシアを代表する舞台美術家、ヴャチェスラフ・オークネフが装置と衣裳をデザインすることも、本プロダクションの眼目だ。 本作の上演が正式に決定したのは15年の春先、奇しくも谷桃子が94歳で他界する直前のことだった。副題いわく「夢と未来を誓って愛を込めて谷桃子に捧ぐ」。総勢100名の出演者が一堂に会し、男女主役はトリプルキャストが組まれる。新旧世代が一丸となって臨む公演は、亡き創設者への何よりの餞(はなむけ)になることだろう。2016.1/15(金)~1/17(日) KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ問 GERO 080-9145-4021 http://www.gero.kimGERO 旗揚げ公演『くちからでる』キーワードは“声・言葉”文:乗越たかお伊藤キム ©竹田岳 日本のコンテンポラリー・ダンスの黎明期から話題作を連発して活躍していた伊藤キム。しかし2005年に「ダンスに興味がなくなった」と創作活動停止を宣言して世間を驚かせた(過去作品・他人の作品へは出演する)。そんな伊藤が20代の若手と50代も含む8人で構成する新カンパニーを立ち上げて、旗揚げ公演を行う。 変わったタイトルだ。口から出るものと言えば、声・言葉、呼気、そしてゲロである。カンパニー名「GERO」はここから来ている。芸術とは内部に抱えているものを掴んで引っ張り出すこと、すなわちゲロである、という伊藤のこだわりだ。 そして作品のテーマとなるのは「声・言葉」だという。身体と「声・言葉」との関わりをカンパニー全体のテーマとしつつ、ダンスがさらに多くの人に浸透するように活動をしていくのだそうだ。 10年間冷めていた伊藤の魂を、ふたたび創作に向かわせたものとは何なのか。新しいメンバー達と何をしでかすか、注目して待ちたい。2016.1/7(木)~1/9(土) 象の鼻テラス 問 アネックス仙川ファクトリー03-3309-7200『クロスグリップ』ダンスと音楽がスリリングにクロスする文:高橋森彦 横浜港発祥の地にたたずむ「象の鼻テラス」はアートスペースを兼ね備えたレストハウス。そこを舞台にダンスとライヴ演奏が響きあい、未だ見ぬ景色が浮かびあがる——。『クロスグリップ』は、世界的なダンスカンパニー「ローザス」の結成メンバーで、ベルギーを拠点に国際的に活動する舞踊家・振付家の池田扶美代が展開するプロジェクトだ。 標題の『クロスグリップ』とは「マリンバ等のバチ(マレット)を左右の手に2本ずつ使用するグリップ奏法」。池田をはじめ、サシャ・ヴァルツ&ゲスツの活動に参加する畦地亜耶加、ストリートダンス出身の個性派である川合ロン、商業舞台出演から国内外での自作発表まで活発な木原浩太という出自もキャリアも異なる4者が、日本を代表するパーカッショニスト加藤訓子の奏でる音色にのせてスリリングに交錯していく。 スティーヴ・ライヒ、アルヴォ・ペルト、J.S.バッハの音楽とともに5人のアーティストが紡ぐ豊かな時間に浸りたい。Photo:Naoya Ikegami

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