eぶらあぼ 2016.1月号
203/215
246Noism1 × Noism2合同公演 劇的舞踊『カルメン』話題作が早くも再演文:小野寺悦子シルク・ドゥ・ソレイユ『トーテム』才人ルパージュがサーカスで描く“人類の進化”文:藤本真由2016.1/29(金)~1/31(日) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場問 りゅーとぴあチケット専用ダイヤル025-224-55212016.2/19(金)~2/21(日) KAAT神奈川芸術劇場 ホール問 チケットかながわ0570-015-415 http://noism.jp2016.2/3(水)~5/22(日) お台場ビッグトップ問 インフォメーションデスク0570-020-520※公演の詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。 http://totem-jp.com Noism設立10周年を記念し、昨年上演された劇的舞踊『カルメン』が早くも再演される。初演から一年半の月日を経た今、新たなキャストを投入し再び舞台に蘇る。 2010年の『ホフマン物語』に続く劇的舞踊シリーズとして、14年6月に発表されたNoism芸術監督・金森穣演出振付作『カルメン』。メリメの原作小説をベースに金森自らオリジナル台本を書き上げ、欲望渦巻く物語世界をドラマティックに描き出したのは記憶に新しいところである。学者の語りで進むステージに、影絵を使った巧妙なトリック、ビゼーの華やかな楽曲の背後に蠢く人間模様。キャラクターたちはそれぞれ明確な役割を与えられ、ステージに躍動感と息吹を注ぐ。なかでも野生の女・カルメンは、井関佐和子の当たり役。本能のまま奔放かつ真摯に生きる鮮やかなカルメン像は、舞台をひた走る井関の姿にそのまま重なって見えた。 カナダ・モントリオールが世界に誇る「シルク・ドゥ・ソレイユ」。“ヌーヴォー・シルク(新サーカス)”を旗印に、人間が行うアクロバットを中心としたそのパフォーマンスは世界的に人気を博している。イキのいい演出家を起用することでも知られており、昨年から今年にかけて日本各地で上演された『オーヴォ』の演出を手がけたブラジル出身のデボラ・コルカーは、来年のリオ・デ・ジャネイロ五輪のオープニング・セレモニーの演出・振付を担当することが発表されている。 2016年2月から日本5都市を回る新作『トーテム』の演出を手がけているのは、カナダ・ケベック州出身の演出家ロベール・ルパージュ。映像を駆使した作品作りで“映像の魔術師”の異名をもつルパージュは、演劇作品からオペラまで幅広いジャンルの舞台を手がけ、日本にもそのファンは多い。シルクではラスベガスで上演中の『KÀ』を 本公演でもカルメン役を演じる井関、理性の男・ホセ役を演じる中川賢をはじめとしたオリジナルキャストのほか、再演を迎える今回は新メンバーも続々登場。メインカンパニー・Noism1と研修生カンパニー・Noism2、さらにゲスト俳優の奥野晃士(SPAC-静岡県舞台芸術センター)や元カンパニーメンバーで現在Noism2専属振付家兼リハーサル演出し、大好評を博した。“人類の進化”を描く『トーテム』でも、ルパージュお得意のプロジェクション・マッピングと、アーティストたちが繰りひろげるアクロバットの超絶技巧がテーマに見事に融合、両生類から宇宙飛行士までが登場する、ユーモアあふれるハッピーな作品に仕上がっている。類人猿から進化した人間は、今や宇宙へと飛ぶ存在となり、月面上を飛び跳ねる——。随所にルパージュらしさが織り込まれたテンポのよい展開で、子供から大人まで楽しめること請け合いの作品だ。Photo:Kishin ShinoyamaPhoto:OSA Images Costumes: Kym Barrett © 2010 Cirque du Soleil監督を務める山田勇気と、総勢20名以上のキャストが集い劇的舞踊を壮大に繰り広げてゆく。
元のページ