eぶらあぼ 2016.1月号
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170SACDCDCDCD感動のショパン・コンクール・ライヴ 2015/チョ・ソンジンオリエンタル/渡邊方まさこ子フランス・ヴァイオリン作品集/小林美樹メロディ~幸こうだ田延のぶのヴァイオリン・ソナタと同時代の作品を集めて/相川麻里子ショパン:24の前奏曲、夜想曲第13番、ピアノ・ソナタ第2番、ポロネーズ第6番「英雄」チョ・ソンジン(ピアノ)グラナドス:《ゴイェスカス》より「間奏曲」、オリエンタル/カサド:緑の悪魔の踊り/サン=サーンス:白鳥/ドヴォルザーク:森の静けさ、我が母の教えたまいし歌/ラフマニノフ:ヴォカリーズ 他渡邊方子(チェロ)小森谷裕子(ピアノ)イザイ:サン=サーンスの「ワルツ形式の練習曲」によるカプリース/サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番/フォーレ:夢のあとに/ショーソン:詩曲/ラヴェル:ツィガーヌ/マスネ:タイスの瞑想曲小林美樹(ヴァイオリン)田村響(ピアノ)ラヴェル:ツィガーヌ/ヴィエニャフスキ:スケルツォ・タランテラ/幸田延:ヴァイオリン・ソナタ/ポルディーニ(クライスラー編):踊る人形/サン=サーンス(イザイ編):ワルツ形式の練習曲によるカプリス 他相川麻里子(ヴァイオリン)高木早苗(ピアノ)収録:2015年10月、ワルシャワ(ライヴ)ユニバーサルクラシックスUCCG-1719 ¥2600+税マイスター・ミュージックMM-3063 ¥3000+税オクタヴィア・レコードOVCL-00579 ¥3200+税コジマ録音ALCD-9154 ¥2500+税2015年ショパン・コンクールを21歳で制した韓国の俊英のライヴ録音。第1〜3次予選の演奏を収めた、コンクールの足跡の一端を知り得る構成だが、知らずに聴けば、スタジオ録音による美しいアルバムにしか思えないであろう。09年浜松国際ピアノ・コンクールで最年少優勝を果たして以来、第一線で活躍しているだけあって、競争の場の硬さは皆無。あくまで自然体の音楽が丁寧に紡がれていく。「24の前奏曲」は優しさにあふれ、ソナタ第2番は劇的性格が表に出されるなど、曲の特質に沿った描き分けも見事。稀有の才能を如実に示す好ディスクだ。(柴田克彦)2010年よりN響のチェロ奏者を務める渡邊方子のソロデビューアルバムだ。まず一聴、音が大変に美しい。派手さはないが底光りするような芯のある美音。使用楽器は存じ上げぬが、しかしこれは楽器云々というよりも渡邊の個性だろう。ここに収録されているのは有名なチェロの小品たちだが、どの曲もすばらしく表情が豊かな奏楽で、サン=サーンスの名品「白鳥」やラフマニノフの「ヴォカリーズ」ではしっとりとした情感を見事に表出、あるいはカサドの「緑の悪魔の踊り」では鮮やかな技巧をさりげなく提示。総じて大変にセンスがよい。これからのさらなるソロ活動に期待!(藤原 聡)小林美樹は、これまでにコンチェルト&ソナタのカップリングで2枚のCDをリリースし高評を得たヴァイオリンの俊英。ロシア、ドイツに続く第3弾では趣向を変え、同じく若手注目株の田村響との共演で、フランス音楽の“彩と陰翳”を小品&ソナタで聴かせる。華麗なる技巧のイザイを皮切りに、彼と親交のあったサン=サーンスのソナタとフォーレ「夢のあとに」は情感で魅せ、ショーソン「詩曲」はバレエを思わせる静謐なドラマで締めくくるのが見事。そして、ラヴェル「ツィガーヌ」でピアノと一緒に高みに上り詰め、最後にマスネ「タイスの瞑想曲」でしなやかに“着地”する。(東端哲也)作曲家、ヴァイオリニスト、ピアニストでもあった幸田延(1870〜1946)は、文人・露伴の妹で、ウィーンなどへの留学を経て、日本の西洋音楽のパイオニアとして活躍した。当盤は、留学中に彼女が書いたヴァイオリン・ソナタを軸に構成。決して当時の最新モードではないが、ベートーヴェンの初期作品を思わせる明るい楽想には、輝かしい未来へ羽ばたいてゆく幸田の姿が重なる。多彩なスタイルが交錯する同時代の作品も併せて、相川は骨太な音楽創りをベースとしつつ、引くべき場は引いたメリハリのある名演を披露。何より、女性ヴァイオリニストの先駆けへの熱い想いが感じられる。 (笹田和人)

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