eぶらあぼ 2015.12月号
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77モルゴーア・クァルテット ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全15曲演奏会大晦日に聴くショスタコのクァルテットの全貌文:林 昌英リベラ(ボーイ・ソプラノ・グループ) クリスマス・ツアー 2015 天使のくれた奇跡“エンジェルたち”と過ごす素敵なひととき文:東端哲也12/31(木)第1部 13:00、第2部 17:15、第3部 21:15 横浜みなとみらいホール(小)問 横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000 http://www.yaf.or.jp/mmh ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は、かつては実演の機会があまりなかったが、そんな時期の1992年、「ショスタコーヴィチを演奏するため」にヴァイオリンの荒井英治を中心に結成されたのがモルゴーア・クァルテット。度々の全曲ツィクルスなど名演を重ね、ついには“ショスタコはモルゴーア”という地位を築くに至った。さらに、そのプロセスで作品群の人気も上昇、今世紀にはプロ団体ばかりかアマチュアも積極的に取り組む対象までになった。モルゴーアが果たしたショスタコーヴィチ受容への貢献は計り知れない。 ところで、「ショスタコーヴィチ全15曲一日完奏」は、国内ではこの10年でアメリカとロシアの団体が達成しており、わが国の誇る4人、モルゴーアのチャレンジはあるのか、ファンはかねてから注目していた。それが、この大晦日、ついに実現する。しかも13時に開始して年越し サウスロンドンに住む下町っ子をベースに結成され、世界中に“天使の歌声”を届けているボーイ・ソプラノ・グループ、LIBERA(リベラ)。統制のとれた美しいハーモニーの中から、一人ひとりの個性がちらりと顔を覗かせる絶妙さは、他の合唱団には真似のできないこのグループならではの特長だろう。これこそ、プロデューサーのロバート・プライズマンによる“魔法”かもしれない。日本でも絶大な人気を誇り、ドラマ、映画、CMなどに楽曲が使用され幅広い人々にとって耳馴染みのある存在だ。 さて、2011年から毎冬、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のCM曲に起用されてきた彼らだが、5年目を迎えた今年はついにタイアップ楽曲の制作が実現。これまでにも「彼方の光」などのコラボ実績があり、プライズマンの信頼も厚い作曲家・村松崇継が書き下ろした「天使のくれた奇跡」が、来年1月初旬までUSJで開催される冬のシーズナルイベント「ユニバーサル・ワンダー・クリスマス(天使のくれた奇跡Ⅲ~The Voice までしてしまうという、3部構成で約半日にも及ぶ一大イベントだ。メンバーは結成23年の経験すべてを賭ける「一世一代」の意気込みとのことで、ショスタコ・ファンもモルゴーア・ファンも、大晦日の横浜は要注目だ。 ハ長調の柔和な旋律で始まる第1番から、悲痛な変ホ短調の響きの中でヴィオラのトリルが虚空に消えていく第15番の幕切れまで、ショスタコーヴィチの生涯を一日でたどる旅の充実感は格別。また、予定では年をまたぐ瞬間は第15番演奏中に迎of an Angel)」を彩る。発売中の彼らの最新クリスマス・アルバムには同曲のオリジナル&オーケストラ・バージョンが収録されているほか、ミュージックビデオや秘蔵映像(今年8月の来日時にUSJで撮影)を収めたDVD付きなのが嬉しい。える可能性があり(24:30終演予定)、理想の演奏で作曲家最晩年の孤高の美に浸りながら、最高にシリアスで濃密な年越しの場を体験できるに違いない。 更に12月には大阪・東京で計3回の来日公演も決定。前述の村松崇継もゲスト出演し、「天使のくれた奇跡」などのナンバーを披露する。今年のクリスマスは地上で“エンジェルたち”と過ごしてみてはいかが?©Norikatsu AIDA12/21(月)19:00 大阪国際会議場(グランキューブ大阪)12/23(水・祝)15:00 19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 カジモト・イープラス0570-06-9960http://www.kajimotomusic.comCD+DVD『天使のくれた奇跡』LIBERA RECORDSLIBE-1~2¥2000+税
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