eぶらあぼ 2015.12月号
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74自主企画リサイタルシリーズ リストのいる部屋 Vol.10青柳 晋 ピアノ・リサイタル12/22(火)19:00 浜離宮朝日ホール問 ジェスク音楽文化振興会03-3499-4530 http://www.jesc-music.org青柳 晋(ピアノ)10回目の今年は、リスト自身が主役です取材・文:飯田有抄Interview 青柳晋による自主企画リサイタル『リストのいる部屋』が、今年で10回目を迎える。このシリーズは、「多面的で包容力のある音楽家」として青柳が敬愛するリストがホスト役となり、その彼の“部屋”にゲスト作曲家が訪れるというコンセプトで進められ、ヤナーチェク、ブラームス、ドビュッシーなど多彩なゲストたちが登場してきた。節目となる今年は、「原点に立ち返り、リスト自身にスポットを当てることにした」という。 「私が初めてリスト作品に焦点を当ててリサイタルを開いたのは1999年。今回は当時のプログラムを再構成する形で選曲しました。前半は『詩的で宗教的な調べ』から〈祈り〉〈孤独の中の神の祝福〉〈パレストリーナによるミゼレーレ〉を演奏します。中心となるのは〈孤独の中の神の祝福〉。全10曲からなるこの作品の3分の1を占める長大な曲です。続く『バラード』第2番は、地獄と天国を表す2つのテーマが絡み合う作品。最後の2分間で、地獄のテーマが明るく開花します。ピアニストでよかった! と感動する瞬間ですね」 ピアノを通じてリストの音楽を伝える青柳だが、その弾き姿は音楽する喜びに溢れ、指揮者の身振りのようにも見える。楽器という“ハードウェア”を忘れさせるほどだ。 「ハードを感じさせない演奏は、アーティストとして理想とするところですね。以前、スケートの髙橋大輔さんの素晴らしい演技を観た時、冷たく硬質なアイスリンクの質感を忘れました。私も88鍵を超えた、より大きな概念と繋がりたいです」 99年のリサイタルでは、後半にムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」を取り上げた。今回もあらためてこの大曲に向き合う。 「学生時代の恩師が、『チャイコフスキーの音楽はトルストイの文学に通じ、ムソルグスキーの音楽はドストエフスキーの文学に通じる』とおっしゃったのが印象に残っています。つまり、ムソルグスキーには重さや濁りがあるのです。『展覧会の絵』のモデルとなった画家ハルトマンの絵にも暗さがありますね。ハーモニーを混ぜ合わせるペダル使いなどで、特有の陰りを表現したいです」 過去9回の「部屋」の中で、とりわけ震災のあった2011年の回では「一音一音に自然と想いが籠った」と語る。「今後もリストと他の作曲家のコラボレーションは続きます。その一通過点として、今年は10回目としてのマイルストーンを置くことができたらと思います」12/18(金)18:30 文京シビックホール問 Sony Music Foundation 03-5227-5233http://www.smf.or.jpSony Music Foundation 東日本大震災 復興支援プロジェクト小・中・高校生のための「第九」チャリティ・コンサート2015復興の意識を、「第九」の精神とともに文:宮本 明川島幸子 「すべての人は兄弟となる」。頭ではわかっていても時とともに薄れがちな復興の意識を、「第九」の精神とともに覚醒させよう。東日本大震災の年から続くSony Music Foundationの復興支援「小・中・高校生のための『第九』」。当日募金と入場収入の一部が復興支援団体へ寄付される。子供たちの入場料がS席2,500円、A席1,000円と安価に設定されているうえ、コンサート前半に指揮者が、音楽、第九、震災について、ピアノを弾きながら、あるいはオーケストラを使ってたっぷり語るプログラムが好評。おざなりな曲目解説とはひと味違う。これまで同伴の保護者以外、大人だけでは入場できなかったが、今年から大人専用の「サポーターズシート」が設けられた。料金の中にあらかじめ3,000円の寄付が含まれているから、チャリティの趣旨にもダイレクトに合致する。演奏は秋山和慶指揮による東京都交響楽団。川島幸子、坂本朱、福井敬、山下浩司の独唱陣と東京アカデミー合唱団、司会は中井美穂が務める。坂本 朱 ©武藤 章福井 敬山下浩司秋山和慶
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