eぶらあぼ 2015.12月号
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72東京ヴィヴァルディ合奏団 2016年 ニューイヤーコンサート第29回 新春は「四季」を聴きたい2016.1/17(日)14:00 紀尾井ホール問 東京ヴィヴァルディ合奏団03-6277-8450 http://vivaldi.jp服部百もね音(ヴァイオリン)新星ヴァイオリニストが紡ぐ情感豊かな「四季」取材・文:伊熊よし子Interview 1999年生まれの若きヴァイオリニスト、服部百音は、8歳でオーケストラと初共演し、数々のジュニア、シニア・コンクールを制覇。現在は、東京音楽大学附属高等学校特別特待奨学生として、またスイスのザハール・ブロン・アカデミーに在籍しながらヨーロッパ各地と日本で活発な演奏活動を展開している。 そんな彼女が、新春1月17日に紀尾井ホールで行われる東京ヴィヴァルディ合奏団のニューイヤーコンサートのゲストとして登場。ヴィヴァルディの「四季」で共演する。 「お話をいただいたときは、ウワーッすごい、ぜひ演奏したいとすごくうれしかったです。でも、半面、大丈夫かなあと(笑)。『四季』は初めての挑戦ですし、編成の大きいオーケストラとのコンチェルトともまったく違う。指揮者もいないですから、自分がリードしていかなくてはならない。ベテランの東京ヴィヴァルディ合奏団のみなさんとのコミュニケーション、音楽の一体化が一番の課題ですね」 服部百音は楽譜を深く読み込むとともに、YouTubeの映像などを見て、さまざまな角度から「四季」を研究している。 「アンネ=ゾフィー・ムターの弾く“夏”が大好きなんです。ものすごく速いテンポですが、情熱的ですばらしい。私は、“春”はとてもさわやかで小鳥のさえずりなどが聴こえる感じの曲ですから、繊細さとさわやかさを表現したいと思います。“夏”はイタリアのカラッとした暑さと嵐、けだるさなどを感じますので、情熱的でありながらもそれらを表現しながら奏でたい。“秋”は一番難しいと思います。いま、深みを出すためにはどうしたらいいか、いろいろ学んでいるところです。“冬”はガチガチ震える寒さを表し、以前4月のミラノで体感した雪の寒さを思い描いて弾いていきたい」 服部百音の演奏は、みずみずしく躍動感にあふれている。曲が進むにつれ、一気にギアチェンジするかのようにテンポが速くなり、フィナーレまで突っ走る場合が多い。 「自分ではごく自然に弾いているのですが、どうしても速くなってしまう。でも、今回は合奏団の方たちと一緒に音楽を作り上げていくわけですから、抑えます(笑)。ヴィヴァルディはとてもヴィルトゥオーゾ的なすばらしい曲をたくさん書いていて、この曲には弦楽器ならではの繊細で流麗で華やかな音色が詰まっていますので、それを表現したい。また、『四季』にはオペラ的な要素があるように感じるので、本当は着る物も変えられたら良いのですが、それは出来ませんので、どうすれば良いのか考えています」 新春を彩る華麗で情感豊かな「四季」は、愉悦の時間をもたらしてくれるに違いない。ウィーン=ベルリン・ブラス・クインテット垣根を越えた最高峰のドリーム・ブラス文:柴田克彦12/17(木)19:00 文京シビックホール問 シビックチケット03-5803-1111※全国公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。 http://www.proarte.co.jp ブラス・アンサンブルは金管楽器愛好家だけのものではない! 強くそう思わせるのが、ウィーン=ベルリン・ブラス・クインテットだ。“ウィーン&ベルリン・フィルのトップ奏者の夢のコラボ”だけでも興味津々だが、強靭なベルリン・フィル3名が高音と低音、柔らかなウィーン・フィル2名が中音を受け持つ布陣がまた絶妙。中でもベルリン・フィルの首席トランペット奏者ガボール・タルケヴィの鮮烈な妙技は、必聴・必見だ。 2012年と13年の来日公演は、まさに“圧巻”の一語。まずは前記の融合が効果を発揮し、輝かしくもマイルドな響きが創出される。ソロでは各々が個性を表に出し、総奏になると完全に一体化する点も見事。そして何より、豊かな表情と生気を湛えた“聴かせる”音楽に会場中が酔いしれた。今回はより熟成された名演必至だし、五重奏の定番曲、最新曲、クラシックの名曲に、お約束の「クリスマス・メドレー」が続く多彩なプログラムも魅力充分。ドリーム・サウンドとハイクラスの音楽を、広い層のファンに味わって欲しい。

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