eぶらあぼ 2015.12月号
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44三浦友理枝 ©Yuji Hori福川伸陽雄大と行く 昼の音楽さんぽ 第4回 福川伸陽&三浦友理枝 ホルンとピアノの万華鏡12/15(火)11:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 http://www.triton-arts.net福川伸陽(ホルン)&三浦友理枝(ピアノ)ランチタイムに多彩な驚きと楽しさを!取材・文:柴田克彦Interview N響首席ホルン奏者・福川伸陽と、人気ピアニスト・三浦友理枝。2012年以来デュオを組む2人が、12月に第一生命ホールで「11時開演、お話付き90分」の公演を行う。これが実に興味深い内容だ。 「ホルンのコンサートが初めての方にも楽器の多面性を分かっていただけるよう、バロックから現代までを網羅した、飽きさせないプログラムです」(三浦) 幕開けは爽やかな、“ザ・バロック”のマレ「5つの古いフランスの踊り」。次のベートーヴェンのホルン・ソナタは大定番だが、今回はナチュラル・ホルンでの演奏に注目が集まる。 「全音域を美しく出せる現代の楽器と違って、当時はいびつな音が普通であり、ベートーヴェンは逆にいびつさを使ってチャレンジングな音楽を書くべく試行錯誤しました。今回はそこを聴いて欲しい」(福川) 「ベートーヴェンですから、ピアノ・パートは容赦なく書いてあります。ホルンより音数も多いし、弦楽器のソナタ同様のスタンスで取り組まないといけません」(三浦)酒井健治と鈴木優人の新作も そのベートーヴェンと関連する酒井健治「ホルンとピアノのための『告別』」は、今年1月に初演された超絶技巧曲だ。 「ピアノ・ソナタ『告別』冒頭のホルン5度から着想を得た作品。現代音楽らしく微分音が出てきますが、実はホルンの自然倍音の中にも微分音が沢山含まれているんです。酒井さんはそれを上手く使い、音楽的な意味をもたせています」(福川)。 「音が凄く多くてリズムも大変。室内楽曲でこれほど譜読みに時間をかけたのは初めてです。しかも全ての音に意味があって、酒井さんに聞くと全部説明してくれるので、ちゃんと弾かないわけにはいかない…」(三浦) 譜面を見るとまさに気が遠くなるほど…。これはぜひ生で体験したい。 ここで三浦によるショパン「バラード第3番」を挟み、委嘱作の鈴木優人「モーツァルティアーナ」の初演へ。 「ホルンの曲で最も有名なモーツァルトの協奏曲第1番の冒頭主題をテーマにした“しりとり変奏曲”。mozarT→ TchaikovskY→Ysaÿe…といった具合に、各作曲家(15人以上)風のフレーズがアルファベット順の“しりとり”で続き、なんと『能』まで登場します。センス抜群で仕掛けと笑い所が満載です」(福川) 最後はローゼンブラット「カルメン・ファンタジー」。いわゆる《カルメン》のメドレー曲だが、これまたひと味違う。 「元々はクラリネット曲で、私がサックス奏者と共演した際に見つけて、福川さんに紹介しました。ジャズ風でノリがよく、お客さんは必ず大喜びしてくれると思います」(三浦) 「クラリネット譜のまま演奏するのでもう大変。練習でひと夏つぶしました(笑)。誰もが無条件に楽しめる“速い動き”や“高い音”が続出しますし、〈ハバネラ〉などの有名曲の他、この種の作品には稀な〈花の歌〉がとても美しい」(福川) なおトーク付き(ご案内:山野雄大)の今回は、各曲のポイントを知ってから聴けるのが心強い。 「ピアノの“道”はすでに“舗装”されていますが、ホルンのソロはまだ“いばらの道”。パイオニアである福川さんが開拓していく様をみていると本当に尊敬し、刺激をもらっています」(三浦) 「三浦さんからはソリストとしての経験やインスピレーションをもらい、新たな引き出しが増えるのを感じます」(福川) お互い認め合い、1月には2枚目のCDもリリースする2人。その前にすこぶる愉しい本公演を満喫したい。

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