eぶらあぼ 2015.12月号
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283勅使川原三郎 連続公演『ある晴れた日に』『ゴドーを待ちながら』勅使川原がシュルツを題材に新作を発表文:小野寺悦子Co.山田うん 春の祭典ツアー 『結婚』『日本の三つの抒情詩』『春の祭典』ストラヴィンスキーの音楽で多彩なダンスの世界を体感文:高橋森彦『ある晴れた日に』(新作)12/3(木)~12/6(日)『ゴドーを待ちながら』12/10(木)~12/14(月)シアターX(カイ)問 KARAS 03-3682-7441 http://www.st-karas.com12/5(土)15:00 高知県立美術館ホール12/19(土)18:00、12/20(日)15:00 金沢市民芸術村 パフォーミングスクエア問 Co.山田うん080-9640-5361 高知県立美術館088-866-8000(12/5のみ) 金沢芸術創造財団 事業課076-223-9898(12/19、12/20のみ)http://yamadaun.jp 両国・シアターXを舞台に、勅使川原三郎率いるKARASが連続公演を行う。『ある晴れた日に』は、ポーランドの作家ブルーノ・シュルツの短編から得た着想のもと、過去3年間で7作にわたり発表してきた、シュルツ・シリーズの最新作。本作は、シュルツの芸術をリスペクトしていたというポーランドを代表する演出家タデウシュ・カントルにも深く関連し、言葉と身体の関係性により鋭く切り込んでいく。今年12月の日本公演に先駆け、10月にポーランドのカンパニー、アマレヤシアターと共に現地でクリエイションを実施。勅使川原三郎、佐東利穂子のほか、キャストにアマレヤシアターのダンサーを迎え、新たな風を送り込む。初演は10月29日、ポーランド・グダンスクのシェイクスピア劇場にて。続いて11月にクラコフのカントール記念館内ホール・クリコテカで上演を行い、シアターXでの日本初演を行う。 このところ破竹の勢いで躍進するダンスカンパニーCo.山田うん。今春、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した舞踊家・振付家の山田うんのもとに若く個性的な面々が集い、パワフルかつ肌理細やかなダンスを持ち味に話題作を連打する。近年の『季節のない街』『十三夜』『舞踊奇想曲 モナカ』といった傑作群は、作品ごとに固有のコンセプトが明確にあるけれども、何よりもダンスに凄みがあり、その強大なパワーに圧倒されざるを得ない。ダンスそのもので雄弁に物語る態度を貫き、独自の豊饒な世界を開拓するのが真骨頂だ。 Co.山田うんが新作発表とともに力を入れているのがレパートリーの巡演で、2013年に初演された『春の祭典』は国内外で再演を重ねている。ストラヴィンスキーの同題曲に奇を衒うことなく正面から取り組んだ力作であり、不協和音や変拍子で表される深遠で根源 一方、『ゴドーを待ちながら』は、勅使川原及びKARASが拠点とする荻窪「カラス・アパラタス」で開催されているアップデイトダンスシリーズの一環として、今年6月に初演を迎えた話題作。サミュエル・ベケットの金字塔といわれる同名戯曲を勅使川原のひとり語りにより描き出し、その独創的なステージで大きな反響を読んだのは記憶に新しいところである。今回は“シアターX版”として改訂・再演。作中は勅使川原によるオリジナルテキストを用い、自らの身体を通しベケットの不条理世界を改めて浮き彫りにする。的な世界観に肉体を駆使して挑む。地面をしっかりと捉えエネルギッシュに踊られる群舞の密度の濃さとパンチ力はハンパない。12月の高知、金沢公演では『春の祭典』に加え、『結婚』『日本の三つの抒情詩』という、同じくストラヴィンスキーの名曲にのせた秀作を上演する。前者は山田と川合ロンのデュエット、後者は伊藤知奈美のソロだ。 今回のツアーはストラヴィンスキーの音楽をソロ、デュエット、群舞のダンスで堪能できる趣向も心憎く、お買い得である。ダンスファンに留まらず、多くの方々にお薦めしたい。『春の祭典』より ©羽鳥直志 『ゴドーを待ちながら』より
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