eぶらあぼ 2015.12月号
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190CDCDSACDCDチェロ・リサイタル Vol.8/山崎伸子アニー・ローリー/郡恭一郎ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ「クロイツェル」 他/矢部達哉&横山幸雄ウィーンのクラリネット吹き/ダニエル・オッテンザマーベートーヴェン:《魔笛》の主題による7つの変奏曲ブリテン:チェロ・ソナタショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ 他山崎伸子(チェロ)小菅優(ピアノ)ラングフォード:トロンボーンとブラスバンドの為のラプソディー/ロッシーニ:《セビリアの理髪師》序曲/プライヤー:愛の想い、アニー・ローリー/トマジ:トロンボーン協奏曲/ガーシュウィン:3つのプレリュード/J.ウィグハム:組曲 他郡恭一郎(トロンボーン)林浩子(ピアノ)ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」・第10番矢部達哉(ヴァイオリン)横山幸雄(ピアノ)シューベルト:君はわが憩い/フランソワ・シューベルト:ミツバチ/モーツァルト:クラリネット協奏曲/ヨゼフ・シュトラウス:ポルカ「休暇旅行で」 他ダニエル・オッテンザマー(クラリネット)ポール・グッドウィン(指揮)ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団収録:2014.11/28、津田ホール(ライヴ)ナミ・レコードWWCC-7795 ¥2700+税プロアルテムジケPAMP-1043-2 ¥2857+税オクタヴィア・レコードOVCL-00580 ¥3200+税ソニーミュージックSICC-30249 ¥2600+税チェリストの山崎伸子が2007年から行ってきたソロ・コンサート。その第8回目のライヴ録音で、ピアノは11年以来の登場となる小菅優が務めている。総じて、前回よりも親密度が増した印象で、緩急自在で燃焼度の高い掛け合いが光る。中でも白眉は、アルバム中央に並ぶ2曲。20世紀チェロ・ソナタの傑作、ブリテンとショスタコーヴィチの作品だ。前者では静謐さと雄弁さの対比が明確で、陰影感と立体性がバランスよく調和した仕上がり。後者も音楽作りの基本は同じだが、楽章が進むにつれて高揚感が徐々に高まり、より鮮やかで中身の濃い対話を聴かせてくれる。(渡辺謙太郎)シエナ・ウインド・オーケストラの顔ともいえるトロンボーン奏者の3枚目のソロCD。バロックからジャズまで盛り沢山な内容だ。同楽器の定番曲をはじめ全体に真摯な演奏だが、ジャズも学んだ彼らしく、ガーシュウィンやウィグハム(世界的なジャズ・トロンボーン奏者)の作品がとりわけ魅力的。前者の前奏曲第1曲は特に聴きものだし、後者では、楽譜に記されたものでなく自身のアドリブを演奏するなど、持ち味を大いに発揮している。「セビリアの理髪師」序曲がメロディアスなトロンボーン小品に変身し得るのも新発見。愛好家には様々な刺激のある1枚だ。(柴田克彦)「待望」の二文字がこれほどふさわしいディスクは、そうそうないだろう。2人の名手が録音で共演するのは実に17年ぶり。しかも、演目はヴァイオリン・ソナタの王道、ベートーヴェンの第9番&第10番なのだから。「クロイツェル」は堂々とした風格のある演奏。そこに切れ味の鋭さやしなやかさも程よく加味されているため、何度聴いても鮮烈で、聴き飽きることがない。続く第10番も、きめ細やかに歌い出す第1楽章の冒頭から早くも惚れ惚れするような美しさ。終始、滋味豊かな味わいにあふれている。ソナタ全集としての完成を心から願ってやまない。(渡辺謙太郎)ウィーン・フィルの首席クラリネット奏者を務めるオッテンザマー初のソロアルバム。しっとりとした潤いと粘りのあるまろやかな音色それ自体がまずすばらしい。古の時代とは異なるだろうが、確かにウィーンの味わいだ。その上スムースな技巧で難しいブラヴーラな走句でも余裕をもってどこまでも音楽的に吹ききり、これはもはや大家の芸(「ミツバチ」の見事さ!)。モーツァルトの協奏曲では緩徐楽章の“うた”も気品に溢れ、向かうところ敵なし、か。クラリネット学習者やこの楽器のファンはもちろん、クラリネットをじっくり聴いたことがない方にもおすすめ。グッドウィンのサポートも見事。(藤原 聡)

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