eぶらあぼ 2015.11月号
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70CD『アジアに吹く風』発売記念安田芙充央コンサート featuring Akimuse11/17(火)19:30 20:45 JZ Brat 問 JZ Brat 03-5728-0168 (入れ替えなし)http://www.jzbrat.comCD『アジアに吹く風~安田芙充央サウンドトラック集』Roving SpiritsRKCJ-2058¥2500+税©Susie Knoll安田芙ふみお充央(作曲/ピアノ)音楽で巡る“今のアジア”取材・文:東端哲也Interview シュテファン・ウィンターが主宰するドイツの“こだわり”CDレーベル、WINTER&WINTERから10枚のリーダー作をリリースし、ジャンルの壁を超越したコンポーザー・ピアニストとして欧州を中心に活躍中の安田芙充央。今年は、NHK-BSプレミアムのザ・プレミアム『井浦新 アジアハイウェイを行く』でサントラを担当し話題を集めている。 「総延長で13万キロメートルにも及ぶアジアハイウェイが貫く広大な地域を紹介する番組で、既に放送されたシーズン1(全3集)では、欧州寄りのトルコやジョージアからイランと中央アジアをまわりました。11月からのシーズン2では東南アジアを巡る旅を放映予定です。作曲にあたっては、エネルギッシュな“今のアジア”を表現し、特定の地域に限定されない汎用性を持った音楽を目指しました。また、案内役である俳優の井浦新さんも含めて、旅する人の心象風景も描きたかった」 とりわけ、主要テーマや挿入曲など様々なナンバーで起用している女性ヴォーカリストAkimuse(アキミューズ)の存在感にも耳を惹かれる。 「“aki語”という独特な表現方法で言葉にならない微妙なニュアンスを伝えるのです。彼女は即興でメロディもどんどん作れるんですが、それはジャズのイディオムとも違うし、ただ声を楽器のように駆使しているだけでもない。“aki語”はスキャットというよりは、やはり言語であり、文法を越えて情感を伝えるものだと思います。彼女には、フランス・中国合作の映画『Before the Full Moon Returns』のテーマにも参加してもらったのですが、とても好評でした」 チェロを使ったポップでメロウな楽曲から、ベースが参加するジャジーなナンバーまでサントラは実に多彩。自身でもピアノに加えて鍵盤ハーモニカを演奏し、素敵なアクセントを添えている。 「ジャズベース界の巨匠・井野信義さんの参加している曲はどれもワンテイク、一発録り。他にも第一線で活躍する演奏家の皆さんの協力を得て、それぞれの個性が楽曲の味になっていますね」 11月には渋谷の人気クラブ「JZ Brat」で発売記念ライヴを開催。Akimuseをはじめ、選りすぐりのメンバーが集結する。 「日本打楽器界の第一人者・細谷一郎さん、コントラバス界の重鎮・齋藤順さん、日本ではなかなかお目にかかれないターキッシュ・クラリネットを演奏する鈴木直樹さんらによる豪華な布陣です。でも単にサントラ盤と一緒ではなく、チャレンジングな楽曲も演奏予定。リラックスした雰囲気のなかで、イマジネーションを搔きたてる壮大な音楽の旅を楽しんでもらえたら嬉しいです」12/20(日)14:00 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット問 横須賀芸術劇場046-823-9999 http://www.yokosuka-arts.or.jpなんでもあーりーミュージック vol.2 洋の東西ふえ、こと、ゆみ古楽器と和楽器が織り成すダイナミックなステージ文:寺西 肇吉永真奈濱田芳通彌勒忠史 古楽をテーマに掲げつつ、先入観にとらわれることなく時代や地域を超えた音楽的なコラボレートを試みる、横須賀芸術劇場のシリーズ『なんでもあーりーミュージック』。第2回では、シルクロードの東西の終着点である、ヨーロッパと日本の笛や箏、弓に焦点を当てる。ヨーロッパの古楽は、シリーズの企画・監修を務める彌勒忠史(カウンターテナー)をはじめ、濱田芳通(リコーダー&コルネット)と石川かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、矢野薫(チェンバロ&ハープ)によるアンサンブル「アントネッロ」という布陣。そこへ、岩田卓也(尺八)、吉永真奈(箏)という邦楽器奏者が加わる。彼らが取り上げるのは、アロンソ・デ・アルバ「ラ・トリコテア」など16世紀初頭のスペインから、ファブリツィオ・カローゾ「花の舞」など16世紀末のイタリア、さらにはジョン・ダウランド「溢れよ、我が涙」など17世紀イギリスまで、様々な時代や国の魅力的な旋律の数々。古い楽器と古い楽曲から、音楽の未来像が紡ぎ出される。
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