eぶらあぼ 2015.11月号
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62きりく・ハンドベルアンサンブル クリスマス・コンサート12/18(金)19:00 浜離宮朝日ホール問 ミリオンコンサート協会03-3501-5638 http://www.millionconcert.co.jp大坪泰たい子こ(きりく・ハンドベルアンサンブル主宰)ホール全体が楽器になったかのような、めくるめく体験を取材・文:東端哲也Interview 500グラム程度(高音)から5キロ以上にもなる低音のものまで、音域ごとに3セットで総勢130個以上のハンドベルに加え、6オクターブ近くあるクワイアチャイムがずらりとステージに並び、声部を重ねて美しいハーモニーを紡ぎ出す「きりく・ハンドベルアンサンブル」。国際的にも高く評価されているこのアンサンブルの演奏は、パズルを解くように楽譜を詳細に解析する綿密な下準備の上に成り立っている。 「ピアノの鍵盤をいったんバラバラにして、誰が何をやったらすべての音がとれるのか、一つひとつ振り分けるような地道な作業です。一通り全部の担当が決まっても、実際に音を出してみると、どうしてもうまくいかない箇所が出てきて再検討することも。ベルが際限なくあるわけではないし、結局、手は2つしかありませんからね」 メンバーは男性1名を含む8人。 「1つのフレーズを何人もの手で繋いでいくわけだから、お互いに目が行き届く8人が限度。しかも音のラインは複数あって、右手で上のラインに加わった次の瞬間、左手で下のラインに加わるみたいな、そういうアンテナの張り方が求められる。人材の配置の決め手となる要素には各自の得意分野や持ち味もあれば、本人の好みもあります。たとえば中音域は、大きなホールだと沈みやすい特性があるので、特にメロディになると、うまく響かせて歌わせるには独特のテクニックが要ります。他の音域で必要な技術はまた別ですし、曲ごとの事情も加味して、皆が最も表現しやすい配置が自然に決まっていきます。個性の違いがグループの強みでもありますね」 12月18日には浜離宮朝日ホールでクリスマス・コンサートを開催。ヘンデルの「パッサカリア」やリストの「愛の夢」にシベリウスの「フィンランディア」、そしてケルトをベースに様々な民族音楽をミクスチュアしたアイルランドのバンドKiLA(キーラ)の 「GWERZY」など、魅力的なプログラムだ。 「『パッサカリア』はうちの定番で人気曲のひとつ。旋律に動きのある『愛の夢』のような曲はある程度予想がつくのに対して、『フィンランディア』は最初手探り状態で、実際に演奏してみてどんどんアイディアがひらめき、その度にやることも変わってくるタイプの作品です。〈フィンランディア賛歌〉だけではなく、全曲演奏しますのでご期待下さい」 まるでホール全体が楽器になったかのような、めくるめく体験を。 「目もくらむような超絶技巧と注目されがちですが、例えば歌曲のような一見シンプルな楽曲を複数の手であることを感じさせず歌い上げていくのが私たちの持ち味。会場でお待ちしています!」11/29(日)15:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール問 彩の国さいたま芸術劇場0570-064-939 http://www.saf.or.jp/arthallピアノ・エトワール・シリーズ アンコール! Vol.4 フランチェスコ・トリスターノ自作を交えて捧げるバッハへのオマージュ文:高坂はる香©Aymeric Giraudel 音楽界に新風を吹き込み、クラシックだけでなく多様なジャンルの音楽ファンから注目を集めるフランチェスコ・トリスターノ。今年の彩の国さいたま芸術劇場公演では、バッハと自作を組み合わせたクリエイティビティあふれるプログラムに挑む。子供の頃、ピアノの先生に「僕が弾きたいのはバッハと自分の作品だけ」と主張していたというから、今回はまさに彼の希望を現実にした形だ。 その内容は、「KYEOTP」、「主題と変奏」(新作・世界初演)、「シャコンヌ」という3つの自作曲の間に、バッハのパルティータ第1番&第6番、そして第2番をはさむというもの。自作はいずれもバッハとの関連性が意識されていて、中でも彼が“最も完璧な音楽の形”だと考える主題と変奏のスタイルで作曲された新作は、長らくしまい込んでいた構想をこの夏に形にした、出来立ての1曲だ。この流れの中にあれば、聴き慣れたバッハもまた違った新鮮さを見せることだろう。作品の知られざる魅力を次々と我々の目の前に示す彼の、次なる試みを聴こう。

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