eぶらあぼ 2015.11月号
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48阪 哲朗(指揮) 紀尾井シンフォニエッタ東京本場の語法が投影された、ドイツ・ロマン派の華文:柴田克彦Les Cinq Parisiens パリ5人組 フランス音楽の系譜~ベル・エポックから新しい時代へ~若き5人が醸す豊穣なパリの響き文:宮本 明第102回 定期演奏会 12/4(金)19:00、12/5(土)14:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp11/23(月・祝)16:00 トッパンホール問 1002(イチマルマルニ)03-3264-0244 http://www.1002.co.jp ドイツ語圏の歌劇場で叩き上げた日本人マエストロが、精緻な敏腕オーケストラを指揮してドイツものを聴かせる得難い公演。それが12月の紀尾井シンフォニエッタ東京の定期演奏会である。指揮は1995年ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝した阪哲朗。その後、欧州各地の歌劇場でキャリアを重ね、なかでもベルリン・コーミッシェ・オーパーの専属指揮者時代には、約20演目170回余の公演を指揮。現在はドイツのレーゲンスブルク歌劇場の音楽総監督(GMD)を務めている。その立場から当然、言語はじめ生活は“ドイツ漬け”。だからこそ今回は、容易に真似できない本場の味わいが醸造される。 阪は、2013年に同楽団と初共演。日本の四季とフランスの粋をテーマにした作品で好評を博し、今回ドイツものでの再登場と相成った。演目はまず、シューマンの「序曲、スケルツォとフィナーレ」。濃密な響きと躍動感に溢れた小交響曲 池村京子、佐野隆哉、島田彩乃、橘高(きつたか)昌男、宮崎明香(はるか)。「パリ5人組」はパリ留学をともに過ごした彼ら5人が結成したピアニスト・ユニットだ。全員の留学時期が重なっていたのは2005年から06年の間。帰国後に5人が集まった時にアイディアが出て、このチームが誕生した。13年の第1回と昨年の第2回のコンサートは7月のパリ祭の時期に合わせて開催したが、今年の第3回はボジョレーヌーヴォーの季節にお引越し。 そんな彼らのコンサートのプログラのような本作は、生演奏が稀なので聴き逃せない。メインもシューマンで、交響曲第4番。重厚でロマンティックな“The ドイツ”たる名曲だけに、阪の真価が存分に発揮される。さらにはR.シュトラウスの歌曲の代表作「万霊節」「献呈」「あした」などで、日本を代表するソプラノ・澤畑恵美が名唱を聴かせてくれるのも嬉しい。これらはむろん阪のキャリアが最大限に生きる作品でもある。また管弦楽伴奏の歌曲は、声とオーケストラの音量のムに並ぶのは、当然ながらパリにゆかりの作曲家たちの音楽。ドビュッシー「映像」第2集(池村)、デュティユー「ピアノ・ソナタ」 (島田)、ラヴェル「鏡」(宮崎)、フォーレ「ヴァルス・カプリス第1番」「ノクターン第3番・第6番」(橘高)、プーランク「フランス組曲」「間奏曲 変イ長調」(佐野)など。それぞれがパリで感じ取ってきたフランス音楽の色や匂いを楽しませてくれるだろう。バランスが重要なだけに、800席の紀尾井ホールでの演奏は、楽曲の本質を体感する稀少な機会となる。その意味でもここはぜひ足を運びたい。 そしてこのコンサートの毎回の目玉が、5人のメンバー全員による2台10手ピアノの演奏だ。もちろん基本的にはこの編成のための既存の作品は存在しないから、コンサートのたびに新たに編曲してレパートリーを開拓している。今回はビゼー《カルメン》の〈ハバネラ〉と、デュカスの「魔法使いの弟子」。ピアノ好きの人でも普段あまり接する機会がない編成の、豊饒なピアノ・サウンドに注目しよう。澤畑恵美阪 哲朗 ©Takashi Imai池村京子佐野隆哉 ©AKIHIKO KONDO橘高昌男 ©Eiji INA島田彩乃 ©Akira Muto宮崎明香 ©Takahiro Sakata
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