eぶらあぼ 2015.11月号
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45レオン・フライシャー(指揮/ピアノ) 日本センチュリー交響楽団苦難を乗り越えた名匠とオーケストラとの共演文:笹田和人藤岡幸夫(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団自然の安らぎと平和への祈りを込めて文:オヤマダアツシ第205回 定期演奏会11/13(金)19:00、11/14(土)15:00 ザ・シンフォニーホール問 センチュリー・チケットサービス06-6868-0591 http://www.century-orchestra.jp第293回 定期演奏会11/6(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp ベートーヴェン直系の演奏家の系譜に名を連ね、「天才」と称されながら、右手の故障により、37歳で引退を余儀なくされたアメリカ出身のピアニスト、レオン・フライシャー。以降は指揮者として活躍を続けてきたが、近年、両手での演奏活動を再開した。そんなフライシャーが日本センチュリー交響楽団と初めて共演し、弾き振りを含めた3曲を披露。苦悩の中から音楽の歓びを見出だした巨匠と、覇気あふれるオーケストラとの出逢いが、熱い名演を紡ぎ出す。 ピアニストとして高い技術はもちろん、骨太な音楽創りが高い人気を集め、特にベートーヴェン演奏で支持を得たフライシャー。65年に神経性の疾患で右手指が不自由になって以降は、指揮の道へ。裏の裏まで踏み込むようなスコア解釈を武器に、世界中の第一線オーケストラと共演を重ねた。そして、今回が初共演となる日本セン 「田園」交響曲といえば多くの人が思い浮かべるのは、もちろんベートーヴェンの第6番。しかし、他にも隠れた名作があるのだなと思わせてくれるのが、イギリスの作曲家ヴォーン=ウィリアムズの「田園交響曲」(交響曲第3番)である。第一次世界大戦時、看護兵として従軍していた作曲者の体験が元になっており、戦場で怪我をした兵士たちを自陣へ連れ帰る毎日を送っていたときに見たフランスの美しい夕暮れの風景が、彼にこの曲を書かせたのだ。 イギリスで長く活動してきた藤岡幸夫は、この作曲家と音楽に触れてシンパシーを抱き、今年の6月には首席指揮者を務める関西フィルの定期演奏会でもこの交響曲を指揮。約35分、全体的に穏やかで不思議な安らぎを与えてくれる音楽だが、未知の作品だからといって敬遠してしまうにはあまりにも惜しい。戦後70年という平和への希求が高まる今だからこそ「こういう曲もあったのか」と発見したい作品なのである。チュリー響もまた、自治体からの補助金カットなどの苦難を乗り越え、音楽の情熱と共に、再び羽ばたきつつある精鋭集団だ。 ステージは、ベートーヴェンの序曲「コリオラン」で幕開け。続いて、モーツァルトのピアノ協奏曲第12番を、注目の弾き振りで。そして、再びタクトをとり、シューベルトの交響曲第8番「グレイト」を披露。「『最高の自由は、訓練から生まれる』とのフライシャーの言葉は、未来が見えず、もがいていた若者を奮い立たせた。“悲運ただし、そうした曲の背景を考慮せずともイギリス特有の田園音楽としても楽しめるため、シベリウスやエルガー、ディーリアスなどの音楽がお好きな方であれば必聴だ。ソプラノ独唱(ヴォカリーズ)は半田美和子が務める。の天才”から紡がれる音の全てを、心に刻みたい」とセンチュリー響の首席クラリネット奏者、持丸秀一郎は期待を露わにしている。 そして共に演奏されるベートーヴェンの「田園」は、あらためて言うまでもない名作。高関時代になってサウンドがよりタイトになった東京シティ・フィルの演奏は、2つの「田園」でどのような世界を描いてくれるのだろうか。レオン・フライシャー ©Koichi Miura半田美和子 ©Itaru Hirama藤岡幸夫 ©青柳 聡

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