eぶらあぼ 2015.11月号
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44 ©Hiroki Sugiuraピエタリ・インキネン(指揮) プラハ交響楽団 ニューイヤー・コンサート2016.1/18(月)19:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp※プラハ交響楽団の全国ツアーの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。成田達輝(ヴァイオリン)初コラボ&運命の楽器がもたらす、耳新たな名協奏曲取材・文:柴田克彦Interview 2010年ロン・ティボー、12年エリザベート国際コンクールで第2位を受賞して脚光を浴びた俊英ヴァイオリニスト・成田達輝。彼は今年から来年にかけても、リサイタルや協奏曲、チョン・ミョンフンらとの室内楽など、充実した活動を展開するが、その中でも特筆されるのが、来年1月のインキネン指揮プラハ交響楽団との初共演。これは彼にとって「海外オーケストラとの日本初ツアー」でもある。 「インキネンさんとは、日本フィル(現在首席客演指揮者を務め、来年9月首席指揮者に就任)の演奏を聴いた後、楽屋を訪れて少し話しましたが、それでも未知の存在。またプラハを訪れた際には、日本語にも似たチェコ語の繊細さが印象的でしたが、この国のオーケストラとの共演も初めてです。ただ私は、その場でしか生まれないものを作るのが演奏家の使命だと思っていますし、最初に合わせたときのインスピレーションを大切にしています。ご自身でヴァイオリンを弾くインキネンさんとの共演では、互いにより深いところに入っていける可能性もあるので、化学反応がとても楽しみです」 演目はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。 「7歳時の発表会で母のピアノと共に第1楽章を弾いて以来、最も多く演奏している協奏曲。エリザベートの入賞者コンサートのツアーで、ブリュッセル・フィルと1週間に6回弾いたりもしました。ただ、いまだ習得していないと感じるときも、また、クリヴィヌさんと共演したときのように直す必要を感じない場合もあります。やはり演奏者同士のコミュニケーション=化学反応次第で大きく変わりますね」 もちろん「日本ではとりわけ愛されている名曲」であり、彼自身「大好きな曲」だという。 「先日NHK-Eテレ『ららら♪クラシック』の収録で第1楽章を弾いたのですが、その後、番組中でアナリーゼがなされた際に、天才による作品だと改めて痛感しました。演奏者側からみれば、楽曲のスタイルが魅力的で、ムダな音が1つもない曲。リスナー側からみれば、完成度の高い、いつ聴いても面白い曲だと思います」 実は彼、昨年10月より、匿名の所有者から貸与された1738年製のガルネリ・デル・ジェスに使用楽器を変えた。 「この楽器を手にする前と比べると、全てが大きく変わり、この1年がまるで5年分にあたると思えるほど充実していました。楽器に教えられることが非常に多く、ベートーヴェンを何年もかけてやっていきたいと考えるようにもなりました」 今回ほとんどの聴衆は、彼がこの楽器で弾くメンデルスゾーンを初めて耳にすることになる。その意味でも大注目の公演だ。第442回 日経ミューズサロンパノハ弦楽四重奏団 結成45周年記念公演~音楽で綴る45年の軌跡~不動のメンバーで聴くクァルテットの真髄文:寺西 肇11/30(月)18:30 日経ホール問 日経ミューズサロン事務局03-3943-7066 http://www.nikkei-hall.com イルジー・パノハ(第1ヴァイオリン)、パヴェル・ゼイファルト(第2ヴァイオリン)、ミロスラフ・セフノウトカ(ヴィオラ)、ヤロスラフ・クールハン(チェロ)という、プラハ音楽院に学んでいた4人によって結成され、45周年を迎えた現在まで、“不動のメンバー”で活動を続けているパノハ弦楽四重奏団。1975年にプラハの春国際弦楽四重奏コンクールで最高位入賞を果たして以降、弦楽器王国チェコを代表する名門クァルテットとして、世界中の檜舞台で名演を重ねてきた。 そんな超人集団が日経ミューズサロンに登場。『音楽で綴る45年の軌跡』と題して、モーツァルトの第17番「狩」、ドヴォルザークの第12番「アメリカ」、スメタナの第1番「わが生涯より」と弦楽四重奏の王道の名曲を届ける。彼らが紡ぐ響きは、単にアンサンブルの精緻さにとどまらず、音楽の感じ取り方や歌心まで共有し、実は心臓の鼓動まで一致しているのでは、とすら思わせるほどの深遠さ。クァルテットの真髄を堪能できること、お約束できよう。

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