eぶらあぼ 2015.11月号
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35エル・システマ・フェスティバル2015 in TOKYOテレサ・カレーニョ・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ「エル・システマ」からの衝撃が再び!文:飯尾洋一バロック・ライヴ劇場 第4回 鈴木優人(チェンバロ/オルガン) & 藤木大地(カウンターテナー)~シンプロン・オリエント急行~ヴェネツィアからロンドンへ向かう“音楽の旅”文:笹田和人11/17(火)19:00、11/21(土)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296/カジモト・イープラス0570-06-9960※ワークショップなどのフェスティバルの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.geigeki.jp11/12(木)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 http://www.ojihall.jp ベネズエラ発祥の青少年音楽教育システム「エル・システマ」が生んだオーケストラといえば、グスターボ・ドゥダメルとシモン・ボリバル・ユース・オーケストラの名前がまっさきに思い出されるが、今回初来日するテレサ・カレーニョ・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ(TCYO)もそのひとつ。シモン・ボリバル・ユース・オーケストラより下の世代にあたるオーケストラで、2007年より活動を開始している。メンバーは16歳から25歳までの精鋭たち。これまでにドゥダメルやラトル、アバドら多くの世界的指揮者と共演を果たしている。また、ザルツブルク音楽祭への出演など、すでに3回ものヨーロッパ・ツアーを成功させている。今回、TCYOを指揮するのは音楽監督のクリスティアン・バスケス。バスケスは13年に東京フィルに招かれて好演を聴かせてくれたのが記憶に新しいところ。彼は1984年カラカス生まれ、エル・システマ育ちの新鋭で、すで 鍵盤楽器の名手であり、指揮や楽譜校訂や復元の分野でも八面六臂の活動を続ける鈴木優人。そして、日本音楽コンクール初のカウンターテナーでの優勝者となり、日本人カウンターテナーとして初めてウィーン国立歌劇場と客演契約を結ぶなど、国際的な舞台へと羽ばたく藤木大地。王子ホールのシリーズ『バロック・ライヴ劇場』の第4弾「シンプロン・オリエント急行」は、そんな2人の俊英が誘う、ヴェネツィアからロンドンへ向かう“音楽の旅”だ。 東京芸大の同窓であり、藤木がテノールからカウンターテナーへ転向する際、鈴木へ相談してから一気に距離を縮め、何度も共演を重ねた2人。今回は、鈴木がヴァイオリンの山口幸恵らと結成した、バロックから現代までの作品へ自在に取り組む「アンサンブル・ジェネシス」も出演。モンテヴェルディ「アリアンナの嘆き」やパーセル「夕にフィルハーモニア管やウィーン放送響、ベルリン・フィルなどに客演し、国際的な活動を展開している。 プログラムは2種類。11月17日の公演では、「ドン・ファン」「英雄の生涯」といったR.シュトラウスの壮麗な交響詩を堪能できる。小曽根真独奏によべの賛美歌」などの歌曲や、ヴィヴァルディやヘンデルのオペラからの名アリアに、フレスコバルディ「トッカータ ト長調」など器楽曲を交えて、彩り豊かに聴かせる。「アリアでは狂おしく陶酔してもらって、一息つく形で器楽曲が入って来る構成です」と鈴木が言えば、「曲名だけだと、知らない曲ばかりかもしれませんが、実際に聴いていただくと『ハレルヤ!』な気分になれるプログラム」と藤木。特に、ステージ後半で特集するヘンデルのアリアについて、「(解釈に)“自由な場所”が必ずある。本番になると、自分の中に渦巻く感情を詩に乗せてぶちまけられるように書かれていて、どんなに即興をのせても大丈夫」と語っている。るラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」も聴きもの。21日の公演ではヒナステラやチャベスのラテン・アメリカ作品とともに、ベルリオーズの「幻想交響曲」が演奏される。色彩感豊かでダイナミックなサウンドを楽しめるだろう。テレサ・カレーニョ・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ&クリスティアン・バスケス左:鈴木優人 右:藤木大地 ©藤本史昭

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