eぶらあぼ 2015.11月号
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274ストラヴィンスキー・トリプル・ビルストラヴィンスキーと“ダンス”のスリリングな出会い文:渡辺真弓石井漠・土ひじかた方巽たつみ 国際ダンスフェスティバル『踊る。秋田2015』秋田が生んだダンスの偉人を称えて文:乗越たかお11/28(土)15:00 19:00、11/29(日)15:00 愛知県芸術劇場(小) 問 愛知県芸術劇場052-971-560912/8(火)、12/9(水)各日19:00 草月ホール 問 スタジオ アーキタンツ03-5730-273212/12(土)19:00 熊本・市民会館崇城大学ホール 問 熊本市文化事業協会096-355-5235http://stravinsky3.comイデビアン・クルー『図案』 11/12(木)18:30 秋田市文化会館大駱駝艦『クレイジー・オラエ』11/13(金)18:30、11/14(土)14:00 秋田市文化会館(小)問 『踊る。秋田』実行委員会事務局018-874-9037 http://www.odoru-akita.org 海外とのネットワークを生かして、質の高い現代作品を提供してきた、アーキタンツと愛知県芸術劇場の共同企画・制作により、「ストラヴィンスキー・トリプル・ビル」と題し、『春の祭典』『火の鳥』『兵士の物語』という重厚な3作品を一挙に上演する。11月の名古屋公演を皮切りに、12月に東京、熊本と全3都市での公演。 まず期待されるのは、振付家の試金石とも言われ数え切れないほどの振付が存在する『春の祭典』が、“シンフォニック・バレエ”の鬼才と称されるウヴェ・ショルツのソロ・バージョン(2003年初演)で見られること。ショルツは04年に急逝、その直前に振付けられた作品である。踊るのは、元シュツットガ 日本のダンスにおける二人の改革者が同郷出身だということは、意外に知られていない。 一人は日本のモダンダンスの父、石井漠。戦前日本の帝国劇場歌劇部でバレエを学び、ヨーロッパでダンスを学び、日本にモダンダンスをもたらした。ただの輸入ではなく、日本の表現を模索した作品を多く残している。また弟子である崔承喜を育て、彼女は故郷・朝鮮半島におけるモダンダンスの祖となった。石井は国の枠を越えて活躍した人である。 土方巽は、1960年代に登場した舞踏の創始者のひとり。舞踏は「アジアからヨーロッパに輸出した、唯一のダンス」といえる。全ての身体をユニークな存在として捉え直す、欧米とは全く違ったオリジナルの動き。それは“BUTOH”として、ある種の哲学的な衝撃を持って世界的に受け入れられたのである。 …という二人を故郷・秋田であらためて考えてみるフェスがこれ。 目玉となる公演はふたつあり、ひとルト・バレエの精鋭、アレクサンダー・ザイツェフと香港バレエ団で活躍した高比良洋のダブルキャスト。2人がこの名作にどう挑むか興味は尽きない。 『悪魔の物語』(「兵士の物語」より)は、香港の振付家ユーリ・ンが04年にダンス・オペラとして、愛知にて創作・初演したもので、今回は、キャストを一新してのリメイク上演。小㞍健太、酒井はな、津村禮次郎、ジョヴァンニ・ディ・パルマという組み合わせが異色だ。マルコ・ゲッケ振付『火の鳥のパ・ド・ドゥ』は酒井はなとザつはキテレツな動きが続々と連なっていくイデビアン・クルー『図案』。既成の概念にとらわれない動きは時代の改革者の視線だ。 また大駱駝艦による美しい金粉の舞『クレイジー・オラエ』も登場する。大駱駝艦は「第29回国民文化祭・あきた2014」でも大人気を博したそうだが、舞踏が本来持っている猥雑な野太いエネルギーを抱えながらも現代的な感覚を融合させている希有な存在だ。 フェスティバルは他にも様々な企画があり、秋田の偉人を検証する重要な機会となるだろう。『悪魔の物語』より ©Tatsuo Nanbuイデビアン・クルー ©Marie Nosaka大駱駝艦 写真:松田純一イツェフの顔合わせ。ストラヴィンスキーの音楽とダンスのスリリングな出会いを体験できる絶好の機会だ。

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