eぶらあぼ 2015.11月号
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192クラシック新刊情報戦後、民主主義が輝く時代に生まれた音楽祭は、サロンから生まれたものと、結社から生まれたもの、2つの水脈を持つ。大阪万博のあった70年代からバブル期を経て2000年頃まで、音楽祭はどのような変容を遂げたのか。主に〈サロン〉型の『大阪国際フェスティバル』と〈結社〉型の『現代音楽祭』の2つの音楽祭を中心に考証する。音楽祭の戦後史結社とサロンをめぐる物語山本美紀 著白水社 ¥2400+税ハンガリー出身のヴァイオリニストで、天才少女でありながら極度の緊張症と結婚のため18歳で引退した著者だが、力みをとり、あがりを克服するアプローチを育児の傍ら磨き上げた。アマチュアからプロ、演奏者から指導者まで、多くの人へ向けて1961年に刊行され、世界中で支持されてきたヴァイオリンの古典的名著の待望の邦訳。ハヴァシュ・バイオリン奏法カトー・ハヴァシュ 著 石川ちすみ 訳ヤマハミュージックメディア ¥2100+税自らも演奏家であり教師である著者が、「日本人が西洋音楽に出会い、西洋音楽が日本文化に出会ったことによって浮かび上がってきた興味深いことがら」を解明する。様々な経験や研究など独自の視点から、“日本人とクラシック音楽”について論じ、日本らしさを再認識しながら、楽器上達のための大きなヒントを与える。音楽は何語?日本人はクラシック音楽をどう把握するか!傳田文夫 著メトロポリタンプレス ¥2400+税2004年に発刊され、大好評を博し重版を重ねた「図解 クラシック音楽大事典」を改訂復刻、05年発刊の同シリーズ『吉松隆の空耳!クラシック名曲ガイド』の一部を合本した。日本を代表する作曲家の一人である著者が、自ら描いたイラストでクラシック音楽を解説する。初心者にも読みやすく、クラシック音楽全体を俯瞰できる。吉松隆の図解クラシック音楽大事典吉松 隆 イラスト・文学研パブリッシング ¥1200+税フランスの声楽家、音楽学者、作家の著者が、偉大な音楽教育者にして20世紀音楽の影の功労者であったナディア・ブーランジェについて語る。ストラヴィンスキーやフォーレ、サン=サーンスらとの交流や、コープランド、バレンボイム、リパッティ…数々の演奏家、作曲者への支援を鮮やかに回顧していく。ナディア・ブーランジェ名音楽家を育てた“マドモアゼル”ジェローム・スピケ 著 大西 穣 訳彩流社 ¥2800+税“ヴァーグナーの反ユダヤ主義”というテーマに20年以上取り組んでいる著者の前著『ヴァーグナーと反ユダヤ主義―「未来の芸術作品」と19世紀後半のドイツ精神』の続編。本書では、現代もドイツ国内では出版が禁止されているヒトラーの『我が闘争』の原文とヴァーグナーの主張との比較考察を試みる。ヴァーグナーの反ユダヤ思想とナチズム『わが闘争』のテクストから見えてくるもの鈴木淳子 著アルテスパブリッシング ¥2400+税“古楽とは、半ば習慣化していた旧来のクラシック音楽演奏の在り方をリフレッシュするために必要なムーブメントであった”と唱え、新聞記者を経て音楽をフィールドに執筆を行っている著者が、「古楽復興運動」の名演奏家たちの足跡を振り返り音楽の本質を探る。名演奏家の記念碑的録音・映像・著作を徹底的に示す。古楽再入門思想と実践を知る徹底ガイド寺西 肇 著春秋社 ¥2800+税「私は『クラシック音楽』が嫌いだ。この名称が嫌いなのだ」。『20世紀を語る音楽』の著者が、クラシック音楽からビョークまで、様々なジャンルを縦横無尽に横断。クラシック音楽に親しむきっかけとなった過程を告白しつつ、「クラシック音楽をポピュラー音楽のように、ポピュラー音楽をクラシック音楽のように」語りかける。これを聴けアレックス・ロス 著 柿沼敏江 訳みすず書房 ¥4600+税

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