eぶらあぼ 2015.11月号
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176CDCDCDCD+DVDチャイコフスキー&メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲/三浦文彰ショスタコーヴィチ:交響曲第11番「1905年」/ラザレフ&日本フィルカンツォン/ベッケ&ベルギー金管アンサンブル「誰も寝てはならぬ」~プッチーニ・アルバム/カウフマンチャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲三浦文彰(ヴァイオリン)ハンヌ・リントゥ(指揮)ベルリン・ドイツ交響楽団ショスタコーヴィチ:交響曲第11番「1905年」アレクサンドル・ラザレフ(指揮)日本フィルハーモニー交響楽団ガブリエリ:第1旋法による8声のカンツォン/ブル:王の狩/フレスコバルディ:トッカータ/ウェーバー:ロマンス/ビゼー:「カルメン組曲」より/ピアソラ:ヴィオレンタンゴ/パストリアス:ザ・チキン 他ベルギー金管アンサンブルミッシェル・ベッケ(ソロ・トロンボーン)プッチーニ:《マノン・レスコー》《ボエーム》《トスカ》《蝶々夫人》《西部の娘》《つばめ》《外套》《トゥーランドット》のアリア 他ヨナス・カウフマン(テノール)アントニオ・パッパーノ(指揮)ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団 他エイベックス・クラシックスAVCL-25878 ¥3000+税収録:2015.3/20, 3/21、サントリーホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00572 ¥3000+税収録:2015.6/24、電気文化会館、6/28、東京文化会館(ライヴ)マイスター・ミュージックMM-3059 ¥3000+税※DVDにメイキングとオペラ全曲盤からのハイライトを収録(初回生産限定盤のみ)。ソニーミュージックSICC-30235~6(2枚組) ¥3000+税2009年ハノーファー国際コンクールで最年少優勝を果たして以来、内外で活躍する俊英ヴァイオリニストのエイベックス・デビュー盤。まずは、超定番カップリングにひるまず、自己を強く主張している点が素晴らしい。両曲とも落ち着いたテンポでたっぷりと奏され、特に緩徐楽章は甘美な節回しで魅了する。チャイコフスキーの終楽章のテーマの対比、メンデルスゾーンの終楽章の一音一音噛みしめるような演奏は、とりわけ個性的。三浦に寄り添いながらも雄弁なリントゥ&ベルリン・ドイツ響のバックも光っている。三浦の今後にも期待を抱かせる、注目の1枚。 (柴田克彦)ラザレフの日本フィル初登場時の演目でもある「11番」。当盤は今年実現した待望の再演の記録で、このコンビの音楽的成果を存分に示す出色の凄演になった。ロシア革命の端緒となった「血の日曜日」事件を描いた第2楽章後半は圧巻の極みで、緊張の頂点では打楽器の強打を柱に“完璧に整った爆音”が凄惨な流血の光景を描き尽くす。その一方、第3楽章ヴィオラの革命歌は終始超弱音で奏されるなど、示唆に富む解釈も多く刺激的。真摯で厳しいリハーサルを重ねてきたラザレフと日本フィルの特質がショスタコーヴィチの本質をわしづかみにした、驚くべき「11番」だ。(林 昌英)ベルギーにある著名オーケストラの精鋭11名による金管アンサンブルと、トロンボーンの最高峰ベッケがコラボした2枚目の国内盤。内容は終始華麗かつ鮮烈で、実に栄養価が高い。「王の狩」の超絶技巧、フレスコバルディ「トッカータ」の荘厳な開始と主部の音の綾、「カルメン組曲」の歯切れよさ、ピアソラ以降の抜群のノリ、「ザ・チキン」の絶妙なアドリヴ…等々、聴きどころは枚挙にいとまがない。全体に、曲の特徴を明確に表現する“音楽達者”ぶりが光るし、スムーズなフレージング(特にレガート)も特筆もの。3曲でソロをとるベッケの表現力にもむろん魅せられる。(柴田克彦)同じパッパーノ指揮によるヴェルディ《アイーダ》全曲盤のラダメス役も楽しみな“21世紀のキング・オブ・テナー”が、《修道女アンジェリカ》を除くプッチーニ・オペラ全11作品から聴きどころアリアを網羅した、夢の1枚。当盤はダウンロードやストリーミングでも聴けるが、実はカウフマン自身によるライナー・ノーツが秀逸。歌い手から見た作曲家プッチーニ論や曲目解説、レコーディング秘話など充実した内容なのだ。ある人気作品について「あまり魅力的な役柄ではないので、今後舞台では歌わないと思う」などの記述もあり、ファンなら見(読)逃せないはず。ぜひCDでお聴きください!(東端哲也)

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