eぶらあぼ 2015.10月号
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92CD『恋は野の鳥』マイスター・ミュージックMM-3058 ¥3000+税9/25(金)発売©Junichi Ohono池田昭子(オーボエ)女性5人による魅惑の管楽アンサンブル登場!取材・文:寺西 肇Interview NHK交響楽団の池田昭子(オーボエ)を中心に、読売日本交響楽団首席の倉田優(フルート)、セントラル愛知交響楽団1st奏者の箱崎由衣(クラリネット)、新日本フィルハーモニー交響楽団首席の河村幹子(ファゴット)、そして、神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席の豊田実加(ホルン)と女性の名手ばかり5人で結成された木管五重奏団「池田昭子クインテット」がデビュー盤『恋は野の鳥』を発表。「もっと繊細な響きになるかと思ったのですが、意外に重厚で迫力のある五重奏になったのが驚き」と池田は言う。 「知的でクールな女性奏者を集めて、木管五重奏が出来れば…」と、池田はかねがね“妄想”していたとのことだが、フィリアホールで「女神(ミューズ)との出逢い」というステージ(今年の5月に開催)が決定し、そのチャンスは意外にも早くやってきた。 「コンサートが決まってから、イメージを膨らませて今回のメンバーにお声がけし、奇跡的に皆さんのスケジュールを合わせることができたのです」 メンバーは年齢も様々だが、5人の共通点はあるのだろうか。 「とても真面目に音楽に取り組むこと。短い期間に深く音楽に集中してリハーサルができ、方向性を決めることができました。女性らしい細やかさが光るアンサンブルになり、とても満足しています」 オーケストラ奏者、そしてソリストとしても活躍する池田にとって、木管五重奏の魅力とは? 「各々の楽器の発音形態が違うので、合わせるのが難しいのですが、その分、楽器の組み合わせによって、様々な響きや音色の変化ができて、とても魅力的なアンサンブル。特にアレンジものでは、この編成ならではの楽しみ方があります」 デビュー盤は、ビゼー「カルメン組曲」やドビュッシー「小組曲」など編曲ものから、ジョリヴェ「セレナーデ」など木管五重奏のためのオリジナル作品まで、全6曲を収録。 「まずはフランスのオリジナル作品を。ジョリヴェは難曲なので挑戦でしたが、録音できて良かったと思います。そして、木管五重奏に馴染みのない方も楽しんでいただけるよう、秀逸なアレンジ作品を配しました。特にジョリヴェの第1・第3楽章やドビュッシーの流麗なフレーズが、女性的なしなやかさで、より美しく表現できたと思います」 アルバムは“歌心”が全篇に溢れている。 「音楽のエネルギーや、美しさをきちんと表現するメンバーなので、自然とそうなったのではないでしょうか」 それぞれ異なるオーケストラで活躍中なので、なかなかスケジュールを合わせるのが難しいとのことだが、次回作の予定は? 「今回、この五重奏がとても楽しくて、『また、必ずやろうね!』と話し合って、終えました。さらに魅力的なレパートリーを引っ提げて、また必ず第2弾を録音したいですね」10/28(水)19:00 東京文化会館(小)問 チケットスペース03-3234-9999 http://www.ints.co.jp辻本 玲(チェロ)若き名手の美音と音楽センスに酔う文:笹田和人©竹原伸治 俊英揃いの日本の若手チェリストの中にあっても、特に高い注目を浴びている辻本玲。フィンランドのシベリウス・アカデミーやスイスのベルン芸術大学に学び、ガスパール・カサド国際チェロ・コンクールで第3位入賞などの実績を引っ提げて、今年6月には日本フィルのソロ・チェロ奏者に就任した。ピアノの須関裕子と共演する、今回のリサイタル。辻本が「開放的で若々しい」と評するブラームスの第2番と、「ロシア的な翳りやユーモラスな面を持つ」というプロコフィエフ、ふたつのソナタを柱に。ここへ、バッハの無伴奏組曲から「大らかな音楽」と語る第3番に加えて、「大人の香りを感じる“かっこいい曲”」というカプースチン「ブルレスク」やショパン「ノクターン第2番」、チャイコフスキー「感傷的なワルツ」、カサド「愛の言葉」と小品の花束を添える。「今回は、本格的なソナタと、楽器の多様性を表現する小品で構成した」と辻本。若き名手の美音と音楽センスに酔いしれたい。

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