eぶらあぼ 2015.10月号
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80©Lars Borges/Mercury Classicsリサイタル10/17(土)フィリアホール(045-982-9999)、10/18(日)岡崎市シビックセンター(0564-72-5111)、10/26(月)あいれふホール(エクローグ音楽事務所0940-42-8747)、10/28(水)浜離宮朝日ホール(パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831)、10/30(金)パルテノン多摩(小)(042-376-8181)、10/31(土)壬生町中央公民館城址公園ホール(0282-86-7117)日本センチュリー交響楽団との共演10/23(金)、10/24(土)ザ・シンフォニーホール(日本センチュリー交響楽団06-6868-0591)ミロシュ(ギター)クラシックをあまり聴かない方々とも音楽を共有したい取材・文:寺西 肇Interview 澄み切ったサウンド、しなやかな感性、そしてハリウッド俳優ばりのイケメンぶりでも人気のギタリスト、ミロシュが、昨秋に続いて日本でツアーを行い、中南米の名曲からビートルズのナンバーまで多彩な作品を披露する。「ギターで演奏できる曲には、素晴らしい作品が、まだまだたくさんありますし、様々な国、様々な時代の作品を、聴衆の皆さんと分かち合いたい」とミロシュは話す。 「私は『クラシックをあまり聴かない方々とも、音楽を共有したい』との思いを、常に持ち続けています。今まで、録音でもそんな気持ちを反映できるように取り組んできましたし、リサイタルでも、もちろんそう。コアな作品だけでなく、ポピュラーな楽曲も聴いてもらうことで、聴衆が普段と違う一面を見せてくれるのが大好きなんです」 昨年の来日リサイタルでは、スペインの名曲を中心に聴かせたミロシュ。今回は、ヒナステラやサビオ、モレルら中南米の作曲家にひとつの力点を置く。 「私にとって、中南米のレパートリーは特に重要で、大好きな作品ばかり。ヴィラ=ロボスらは20世紀のギターの発展を支えてきましたし、今回演奏するサビオやカルドーソ、モレルの作品もそう。ギタリストにとっては、核となるレパートリーと言えるでしょう」 そして、19世紀イタリアの作曲家レゴンディの作品も配する。 「彼自身が卓越したギタリストで、ギターの歴史を考える時には欠かせない。今回は、ロマンティックな哀愁が魅力的な『夢』を弾きます」 また、「何度も演奏していますが、常に挑戦」というバッハの「シャコンヌ」を、彼自身の編曲で演奏。さらに「子どもの頃、ロックスターを目指していた」という彼らしく、名ギタリストのセルジオ・アサドが編曲したビートルズ・ナンバー(10/28公演のみ)も弾く。 一方で、アラン・ブリバエフ指揮の日本センチュリー交響楽団とは、ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」で共演。 「短期間で多くの『アランフェス』の演奏機会を与えられているのは貴重で、とても良い経験。特に、日本の楽団は素晴らしく、技術も優れていますね。今回もとても楽しみです」 今後の目標については、以下のような力強い言葉が返ってきた。 「ギターは私の一部であり、多くの新たな世界を見せてくれます。多様な方向へ成長していきたいですし、様々な国々の皆さんとエネルギーやアイディアを交わしたい。そして、ギター界のためにも、クラシックに関わる機会が少なかった人々にこそ、ぜひ聴いていただきたいです」11/17(火)19:00 あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール11/19(木)19:00電気文化会館ザ・コンサートホール11/20(金)19:00 トッパンホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677ペーター・ヤブロンスキー(ピアノ)名手が繰り出す巧みな“音色遣い”にも注目文:高坂はる香©Benjamin Ealovega 近年ピアニストとしてだけでなく、祖国スウェーデンの音楽祭やレコードレーベルの音楽監督、オーケストラの指揮など、多岐にわたる活動を行うペーター・ヤブロンスキー。その自由で充実した日々は、40代半ばを迎えた彼にますます豊かなインスピレーションを与えているようだ。毎回趣向の異なるレパートリーで、多様な顔を見せてくれる。 2年ぶりの来日となる今年は、前半でショパンを取り上げる。父親がポーランド人で、半分ショパンの祖国にルーツを持つ彼が、ポロネーズ、マズルカ、「雨だれ」や「葬送ソナタ」を組み合わせ、独自の物語を編む。後半はドビュッシーから「映像」第1集と「喜びの島」。モダンな感性が生きた、美しい色彩の演奏が期待できそう。最後には、卓越したリズム感が発揮されるコープランドの「エル・サロン・メヒコ」を置く。プログラミングに強いこだわりを見せるヤブロンスキーならではの、コントラスト鮮やかな内容。曲目ごとにがらりと変わる、巧みな“音色遣い”にも大いに注目したい。
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