eぶらあぼ 2015.10月号
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77イェルク・デームス(ピアノ)ウィーンの巨匠が繰り広げる多彩なステージ文:寺西 肇ギドン・クレーメル(ヴァイオリン) & クレメラータ・バルティカ“ニュー・シーズンズ”鬼才が描く新しい「四季」文:オヤマダアツシリサイタル 10/27(火)19:00 あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールA.レブランク弦楽四重奏団との共演11/1(日)14:00 山梨コラニー文化ホール 11/8(日)14:00 東京文化会館(小)花村恵理香(ヴァイオリン)との共演 11/7(土)14:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 ※11/1公演のみ 問:響鳴会0551-20-712310/21(水)19:00 サントリーホール問 ミュージックプラント03-3466-2258 http://www.mplant.co.jp他公演10/23(金)神奈川県立音楽堂(チケットかながわ0570-015-415)、10/24(土)愛知県芸術劇場コンサートホール(中京テレビ事業チケットセンター052-320-9933)、10/25(日)兵庫県立芸術文化センター(0798-68-0255) “音楽の街ウィーン”が育んだ、誇り高きピアニズム。その黄金時代の輝きと薫りを今も継承し続けている巨匠こそ、イェルク・デームスだ。80代も半ばを超えながら、いささかも音楽への探究心を失うことがないどころか、むしろ、いっそう研ぎ澄まされた凄まじいまでの集中力で、聴衆を圧倒する。そんな巨匠が再び来日し、ソロはもちろん、精鋭弦楽四重奏団や若きヴァイオリニストとのデュオまで、多彩なステージで私たちを魅了する。 1956年のブゾーニ国際コンクールでの優勝をきっかけに、世界的な演奏活動を展開。61年の初来日以来、わが国でもお馴染みで、高い人気を誇るデームス。今回の来日ではまず、モーツァルトの第11番とベートーヴェンの第31番という、2つの名ピアノ・ソナタを軸に、ハイドン「アンダンテと変奏曲」、ブラームス「6つの小品 op.118」、シューベルト「4つの即興曲 D899」を 「フォー・シーズンズ」(四季)…ではなく「ニュー・シーズンズ」? ギドン・クレーメルが提示してくれる音楽の新しいフォルムは、敏感なアンテナを持つ聴き手に対して常に挑戦的であり続け、試金石のように存在を誇示してくる。「これを聴いておかないと時代に乗り遅れるかもしれないよ」という具合に。 ヴィヴァルディの「四季」を軸として、ピアソラほか多彩な「四季」を巻き込んできたのが、クレーメルの(言わば)“シーズンズ・プロジェクト”。その新しいプレゼンテーションが「ニュー・シーズンズ」であり、今年の7月にドイツ・グラモフォンからCDがリリースされたばかりだ。今回の来日公演はそのCDからも、反復音楽の迷宮とバロック音楽におけるアレグロの快感が混在したようなフィリップ・グラスの「アメリカの四季」(ヴァイオリン協奏曲第2番)を演奏。また、クレーメルがその音楽性に惚れ込んで委嘱した梅林茂作曲の「日本の配した“ウィーン音楽の粋”と言うべきソロ・リサイタルを開く。 そして、カナダを代表する精鋭アンサンブル、アルトゥール・レブランク弦楽四重奏団と共演し、ブラームスの傑作・ピアノ五重奏曲を弾く。同四重奏団は、さらにベートーヴェンの第9番とショス四季」は、来日公演だからこそ、日本の聴衆だけが感じることのできる特別な体験をもたらしてくれるだろう。さらには、もはやクレメラータ・バルティカの持ち曲となった感のあるピアソラの「ブエノスアイレスの四季」ほか(ピアソラを最初にクラシック音楽シーンへ持ち込んだ一人が、クレーメルであったことを再認識したい)、すべタコーヴィチの第7番、2つの弦楽四重奏曲も披露。また、デームスが作品解釈などを教授する愛弟子でもある、ヴァイオリンの花村恵理香と、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番などで共演。バッハ「半音階的幻想曲とフーガ」などのソロも披露する。て興奮を呼び起こす曲ばかりだ。彼らのコンサートは、新しい発見を目的とした一夜の旅である。花村恵理香アルトゥール・レブランク弦楽四重奏団イェルク・デームスギドン・クレーメル ©Andreas Malkmus/ECM Records

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