eぶらあぼ 2015.10月号
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72李 心草10/5(月)19:00 中国国家交響楽団10/6(火)19:00 テジョン・フィルハーモニック管弦楽団10/7(水)19:00 大阪交響楽団東京オペラシティ コンサートホール大阪響&テジョン・フィル合同演奏会10/8(木)19:00 北上市文化交流センター さくらホール問 日本オーケストラ連盟03-5610-7275 http://www.orchestra.or.jpアジア・オーケストラ・ウィーク 2015アジアのオーケストラ・シーンを体感文:飯尾洋一 アジアほど多様で活発な文化が息づく地域もない。『アジア・オーケストラ・ウィーク』(AOW)に足を運べば、音楽文化においても、アジアが広大であることを実感できるだろう。AOWは2002年に開始されて以来、毎年アジア太平洋地域の各国からオーケストラを招いてきた。今回で14回目を迎える。今年の参加オーケストラは、中国国家交響楽団(中国)、テジョン・フィルハーモニック管弦楽団(韓国)、大阪交響楽団(日本)の3楽団。東京オペラシティ コンサートホールを舞台に、それぞれのオーケストラが持ち味を発揮する。また、10月8日には大阪響&テジョン・フィルの合同演奏会も岩手県の北上市で開催される。 中国国家交響楽団は、2002年の第1回以来2度目の出演となる中国を代表するオーケストラ。1956年に設立された中国中央楽団を母体とし、96年に中国文化部により組織された。現在の首席指揮者はミシェル・プラッソン。これまでにカラヤンやオーマンディ、小澤征爾といった名指揮者たちとの共演歴を持つ。今回の公演で指揮を務めるのは首席常任指揮者の李心草(リー・シンサオ)。京劇を基にした关峡の交響幻想曲「霸王別姫」、何占豪/陳鋼のヴァイオリン協奏曲「梁山伯と祝英台」(独奏:吕思清〔リュ・スーチン〕)といった母国の作品に加えて、R.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」を演奏する。現在の中国のオーケストラの演奏水準を知るという意味でも興味深い。 テジョン・フィルハーモニック管弦楽団も2005年に続いて2度目の登場となる。韓国の中部に位置する研究学園都市テジョン(大田)市が運営するオーケストラで、指揮は芸術監督・首席指揮者のグム・ノサン。ウィーン国立音楽大学に学び、オトマール・スイトナーに師事した経歴を持つ。ウェーバーの歌劇《オベロン》序曲、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(独奏:キム・ダミ)、チャイコフスキーの交響曲第5番というオーソドックスなプログラムを聴かせてくれる。 日本からは初登場となる大阪交響楽団が参加する。1980年創立で、2000年より大阪府堺市を本拠地とするオーケストラだ。指揮は音楽監督・首席指揮者の児玉宏。リストの交響詩「オルフェウス」、ワーグナーのファウスト序曲、ブルックナーの交響曲第9番(ノーヴァク版、1951年)の3曲による意欲的なプログラムが用意される。 アジアのオーケストラの現在をわたしたちに伝えるAOW。今年も多くの喜びと驚きをもたらしてくれるにちがいない。東京オペラシティ Bビートゥーシー→C 175 山宮るり子(ハープ) ハープの無限の可能性を感じてほしい文:宮本 明10/13(火)19:00東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター  03-5353-9999http://www.operacity.jp 名手グザヴィエ・ドゥ・メストレの愛弟子で、2011年リリー・ラスキーヌ国際ハープ・コンクールで日本人初の1位に輝いたハープの新鋭・山宮るり子。8年間のハンブルク留学から今年6月に帰国して国内での活動を本格化した彼女が『B→C』シリーズに登場する。昨年末の東京での初リサイタルでは、有名曲のハープ編曲も入れて親しみやすいプログラムを組んでいたが、今回はJ.S.バッハのパルティータ以外、C.P.E.バッハやサンカン、黛敏郎、ドナトーニ、パターソンなどはすべてハープのためのオリジナル作品。ハープというと、どうしても優美で華麗なアルペジオをイメージしがちだが、この楽器のさまざまな顔を知ってほしいというのがかねてからの彼女のスタンス。新しい奏法や独自の音色、さらには視覚的なアクセントも含めて、私たちの知らないハープの世界をプレゼンテーションしてくれる。彼女自身が、もしこの演奏会にタイトルをつけるなら「無限の可能性を求めて」、と語っているように、ハープの可能性を濃厚に味わう一夜だ。 思清グム・ノサンキム・ダミ児玉 宏

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