eぶらあぼ 2015.10月号
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70イ・ムジチ合奏団陽光に満ちたイタリア・バロックの愉悦文:笹田和人オスモ・ヴァンスカ(指揮) 読売日本交響楽団満を持してのシベリウス・プログラム文:飯尾洋一第586回 サントリーホール名曲シリーズ11/27(金)19:00 サントリーホール第181回 東京芸術劇場マチネーシリーズ11/28(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール第553回 定期演奏会12/4(金)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jpイ・ムジチ合奏団 with 荘村清志 10/20(火)19:00 紀尾井ホールイ・ムジチ合奏団 ——ローマ派・コレッリの生徒たち&「四季」10/24(土)19:00 サントリーホール問 カジモト・イープラス0570-06-9960 http://www.kajimotomusic.com他公演10/2(金)杉並公会堂、10/3(土)長岡市立劇場、10/4(日)佐久市コスモホール、10/9(金)ウェスタ川越、10/11(日)宝山ホール、10/17(土)ザ・シンフォニーホール、10/18(日)横浜みなとみらいホール、10/22(木)秋田アトリオン音楽ホール、10/25(日)豊田市コンサートホール※詳細は各会場のウェブサイトなどでご確認ください。 フィンランドの国民的大作曲家ジャン・シベリウスが今年生誕150年を迎える。日本でも愛好家の多い作曲家だけに、多数の演奏会でシベリウスの作品が取りあげられている。 なかでも注目したいのは、フィンランドが誇る世界屈指のシベリウス指揮者、オスモ・ヴァンスカが読売日本交響楽団を指揮する2種類のオール・シベリウス・プログラムだ。ひとつは「カレリア」組曲、ヴァイオリン協奏曲(独奏:エリナ・ヴァハラ)、交響曲第1番(11/27,11/28)。もうひとつは交響曲第5番・第6番・第7番からなるプログラム(12/4)。前者が民族的色彩の濃い前期シベリウス・プロ、後者が独自の透徹したリリシズムに貫かれた後期シベリウス・プロとでもいえるだろうか。シベリウスのふたつの顔を名匠の棒のもとで堪能することができる。 オスモ・ヴァンスカの名が知れわたったのは、音楽監督を務めた母国のラハティ交響楽団の水準を飛躍的に引き上 ヴィヴァルディ「四季」が世界的な大ブームを巻き起こしたのは、約40年前のこと。その火付け役こそが、イ・ムジチ合奏団のディスクだった。そんな、広く音楽ファンになじみ深い名門合奏団が、今秋も来日を果たし、イタリア伝統の明るい音色と端正なテクニックで、バロック音楽の魅力を知らしめてくれる。 1952年、ローマの名門サンタ・チェチーリア音楽院の卒業生たちによって結成されたイ・ムジチ合奏団。大指揮者アルトゥーロ・トスカニーニはラジオでその演奏を聴き、「音楽はまだ死んでいなかった!」と大絶賛したという。世界的な「四季」ブームを経ても、歌心はそのままに、決して一ヵ所に立ち止まることなく、しなやかにスタイルを進化させて、彼らは常に最先端を走り続けてきた。 まずは紀尾井ホールにて、昨年でデビュー45周年を迎えた、日本が誇るギターの名手・荘村清志をゲストに迎え、ヴィヴァルディとジュリアーニの協奏曲を披露。そこへ、ピアソラ「ル・グラン・タンゴ」やセルバンテス「5つのキューげ、シベリウスの交響曲全集等で高い評価を獲得したことがきっかけだった。その後、ヴァンスカはミネソタ管弦楽団音楽監督を務め、一段と声望を高めた。読響とは2002年から共演を重ねているが、シベリウスの7つの交響曲のなかでこれまでに指揮をしたのは第2番・第4番・第5番のみ。だれもが認めるシベリウス指揮者としては決して多くない。 記念の年を迎えて、満を持して披露されるシベリウス・プログラム。心に深く刻まれる名演を待ち望みたい。バの舞曲」など、情熱に彩られた南米の作品や、コレッリの傑作を下敷きにしたジェミニアーニの合奏協奏曲第12番「ラ・フォリア」を配する。 サントリーホールの公演では、彼らの“十八番”であり続けている「四季」をオスモ・ヴァンスカ ©読売日本交響楽団荘村清志 ©得能通弘 CHROME核に据えたステージ。ヴィヴァルディと並ぶ大作曲家コレッリ、その弟子であるヴァレンティーニ、ロカテッリと3つの合奏協奏曲の佳品が組み合わされる。陽光に満ちたイタリア・バロックの愉悦が、堪能できよう。イ・ムジチ合奏団

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