eぶらあぼ 2015.10月号
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64徳永二男、堤剛、練木繁夫による珠玉のピアノトリオ・コンサート Vol.212/12(土)14:00 ヤマハホール問 ヤマハ銀座ビルインフォメーション  03-3572-3171www.yamaha.co.jp/yamahaginza/hallCD『ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲〈大公〉』マイスター・ミュージックMM-3056¥3000+税©鍋島徳恭堤 剛(チェロ)ベテラン・トリオが魅せる「大公」取材・文:宮本 明Interview ヴァイオリンの徳永二男、チェロの堤剛、ピアノの練木繁夫。豪華な顔ぶれのトリオによるCD「ベートーヴェン:大公トリオ」がリリースされた。雄大さや気品。この作品の魅力を存分に味わえる一枚だ。最年長の堤は言う。 「私たちはよく"we speak the same musical language"と言います。同じ音楽語をしゃべることができれば、音楽が自然に溶け合う。この3人にはそれがあります」 3人が初めてトリオを組んだのは1998年。さらに、子供時代から桐朋の音楽教室で学んだ共通のバックグラウンドもある。 「互いにどんな音楽観や音感を持っているかわかっているのが一番の強みだと思います。徳永さんは、彼のお兄さんの兼一郎さんが私の1級上だったこともあり、子供の頃から一緒に育ってきたようなもの。彼の“つんちゃん”という愛称は当時からのものです。練木さんとは10年近く年齢が違うので、私の妹なんかのほうがよく知っているのですが、インディアナで一緒になり、私の師匠のシュタルケル先生と世界中で共演されていた。ソロはもちろん、室内楽奏者として彼の右に出るピアニストはいないかもしれません。ピアノ三重奏のかなめは、なんといってもピアノです。チェロとヴァイオリンでは音の立ち上がりがコンマ何秒か違うのですが、そのタイミングを絶妙に作ってくれる。あまりにも巧みなので聴いている人は気づかないぐらい。そこがすごい」 ピアノ三重奏の魅力は、各楽器の個性が華やかに書かれていることだという。 「トリオは各自が個性を出しながらも同じ音楽語を対話してまとまっていく。同じ室内楽でも弦楽四重奏は、ある意味まず自分を殺して、4人でひとつの言葉を話しながら、その中で個々の良さを出す。究極的には同じですが、そんな違いがあります。『大公』はいろんなものが詰まっている作品。聴いても弾いても、難しいことを考えずに楽しめるし、逆に、突き詰めていけばもっと深いところに入っていける名曲です」 3人は、今後もヤマハホールで継続的に開催するコンサートと並行してCD録音を続けていく予定だ。次回は12月12日。メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番を収録する。 「私が最初に勉強したピアノ三重奏の大曲。齋藤秀雄先生に叩き込まれました。自由でロマン的だけれどまとまったアンサンブルが要求される、メンデルスゾーンの音楽の原点のような作品。この3人の良さが出ると思います」 強烈な前進意欲を持ち続けるベテラン・トリオの一層の成果が楽しみだ。都響 × アプリコ 「田園」 & 「飛天遊」西洋の名曲と和の響きの出会い文:笹田和人 「世界の音楽とつながろう!」と題して、様々なジャンルの作品を多角的に紹介している大田区民ホール・アプリコ。その一環で、東京都交響楽団と取り組むのは、西洋の名曲と和の響きが織りなす圧巻のステージだ。 今回は、緻密な音楽創りで知られるマエストロ梅田俊明が指揮。まずは、西洋音楽史の中でも、燦然と光を放ち続けるベートーヴェンの交響曲第6番「田園」を聴く。これに対峙するのが、松下功作曲の和太鼓協奏曲「飛天遊」。特に海外での評価が高く、初演からの20年間に100回近く再演が重ねられた人気曲だ。和太鼓奏者として初めてカーネギー・ホール公演を行うなど、世界的に活躍する名手・林英哲がソリストを務める。「洋の東西を超えて、人の心に伝わる曲と出会えたことは、本当にうれしいこと」と、ベルリン・フィルとの共演で同曲の演奏経験もある林。さらに、水野修孝「日本大太鼓とティンパニのための『鼓動』」(ティンパニ:安藤芳広)が、2つの作品の橋渡しのように置かれる。梅田俊明 ©三浦興一10/3(土)15:00大田区民ホール・アプリコ問 大田区民ホール・アプリコ03-3750-1555http://www.ota-bunka.or.jp林 英哲 ©M.Tominaga

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